概要
医療コミュニケーション学(ヘルスコミュニケーション学)は、医療・公衆衛生分野で、
伝える、わかる、納得する、協働するを科学します。
医療コミュニケーション学は、医療(広く公衆衛生を領域を含む)分野におけるコミュニケーションを対象とした学問分野です。海外では、米国を中心に多くの医科大学・医科系大学院に専門の講座、専任教員がおり、"Health Communication"と呼ばれることが一般的です。
医療コミュニケーション学は、医療・公衆衛生におけるコミュニケーションの現状分析・評価及び今後のあり方などについて、下記のような事項を研究・教育の対象としています。より具体的な内容は、大学院の講義、実習等をご覧ください。なお、日本ヘルスコミュニケーション学会による解説もご参照ください。
- 医療専門家(医師・医療機関・学会)などによる国民への医療関連情報(診療実績、治療成績、診療ガイドライン、研究成果、臨床試験登録など)の提供の方法・分析
- 医療専門家同士の研究・診療関連情報(雑誌、学会、インターネットなどによる)の流通
- 医療消費者(患者など)によるインターネットなどによる情報発信、情報交流
- マスコミなどによる国民への医療関連情報伝達
- 上記のすべての相互作用・相互交流
本研究室の特徴
博士課程修了者の進路等
- アカポスに就く人が多い(博士課程修了者10/13、博士課程退学で教員就任者2)
⇒コミュニケーション教育、研究のニーズは高いのに、ヘルスコミュニケーションで学位を取る人が他にほとんどいない - 研究費が取れる(博士課程修了者:文科科研費の研究代表者7/13、博士課程退学で教員就任者1/2)
*博士在籍時の代表での各種研究費取得者累計6/21
⇒研究の社会的ニーズは高いのに専門の研究者がほとんどいない -
昇進が早い(博士課程修了者/退学者から、既に准教授6名、講師1名)
⇒上の世代でヘルスコミュニケーション研究をしている人がいない
教員、在籍者、修了者の特徴
- 社会人経験者多い(教員4/4、博士課程在籍者6/6、博士課程修了者13/13)
⇒コミュニケーションの重要性が分かるのは社会人経験者 - 女性が多い(教員2/4、博士課程在籍者5/6、博士課程修了者11/13)
- 母親が多い(教員2/4、博士課程在籍者4/6、博士課程修了者5/13)
⇒国際的に見ても、コミュニケーション研究者は女性が非常に多い
⇒社会人経験者(年齢が少し上)で女性が多いので、結果的に母親も多い - 出身学部は医療系・非医療系が半々(教員2/4、博士課程在籍者4/6、博士課程修了者6/13)
⇒医療者と市民の両方の立場からコミュニケーションを研究
沿革
日本では、医療コミュニケーション学の研究、教育は、非常に遅れており、専門の研究・教育組織は、日本の医科大学・医科系大学院の中で本分野が九州大学大学院に次いで全国で2番目に設置されました(2007年4月)。 以降、京都大学、慶應義塾大学、帝京大学等に専任教員が配置されるようになってきました。 医療コミュニケーション学分野発足時の教員は、木内貴弘教授、青木則明准教授の2名でした。その後の専任教員の人事異動は下記のとおりとなっています。
2007年4月1日 | 公共健康医学専攻疫学・保健学講座医療コミュニケーション学分野発足。附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センターの木内貴弘教授、青木則明准教授が、各々医療コミュニケーション学分野教授、准教授に就任。 尚、各々、附属病院大学病院医療情報ネットワーク研究センターの教授、准教授を兼任。 |
2008年9月1日 | 青木則明准教授が退職して、テキサス大学准教授に就任。西内啓が、社会医学専攻博士課程を退学して、助教に就任。 |
2010年1月31日 | 西内助教が退職。その後、ハーバード大学ダナファーバーがん研究センターに就職。 |
2010年8月1日 | 石川ひろのが、滋賀医科大学准教授から、准教授として着任。 |
2015年4月1日 | 岡田昌史が、筑波大学講師から特任講師として着任。奥原剛が、社会医学専攻博士課程を退学して、特任助教に就任。 |
2015年5月1日 | 加藤美生が特任助教とし着任。 |
2017年3月20日 | 教室10周年記念誌刊行 |
2018年4月1日 | 石川ひろの准教授が、帝京大学公衆衛生学研究科教授に栄転。奥原剛特任助教が助教に就任。上野治香客員研究員が特任助教に就任。 |
2018年9月1日 | 加藤美生特任助教が、帝京大学公衆衛生学研究科助教に栄転。 |
2019年1月1日 | 奥原剛助教が特任助教に就任。 |
2019年4月1日 | 奥原剛助教が特任助教から准教授に昇任。岡田宏子が、健康科学・看護学専攻博士課程を退学して、特任助教に就任。岡田昌史特任講師が退職。 |
2020年4月1日 | 上野治香特任助教が、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科講師に栄転。 |
2020年6月1日 | 後藤英子が、社会医学専攻博士課程を退学して、特任助教に就任。 |
2021年4月1日 | 香川由美が、社会医学専攻博士課程を修了して、特任研究員に就任。 |
2021年4月1日 | 常住亜依子が、社会医学専攻博士課程を修了して、特任研究員に就任。 |
2023年4月1日 | 横田理恵が、社会医学専攻博士課程を修了して、特任助教に就任。 |
2023年4月1日 | 常住亜依子が、九州保健福祉大学(現九州医療大学)専任講師に栄転。 |
2024年4月1日 | 調律子が、社会医学専攻博士課程を修了して、特任助教に就任。 |
2024年4月1日 | 古川恵美が、社会医学専攻博士課程を修了して、特任助教に就任。 |
2024年4月1日 | 横田理恵が退職して、星薬科大学薬学部専任講師に栄転。 |
2024年4月1日 | 香川由美が退職して、岩手医科大学教養教育センター神学・行動科学助教に栄転。 |
現在、医療コミュニケーション学分野の常勤の教員は、教授1名、准教授1名、特任助教4名からなっており、 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(専門職大学院修士課程)疫学・保健学講座医療コミュニケーション学分野 を主担当としています。 また東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻(大学院博士課程)、東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻(大学院修士課程・博士課程)も兼担しています。
課程名称 | 区分 | 取得できる 学位の名称 |
修業年限 | 受験資格の概要 |
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公共健康医学専攻 (専門職大学院) |
専門職修士課程 | 公衆衛生学修士 | 2年または1年 (実務経験による) |
大学卒業等 |
社会医学専攻 | 博士課程 | 博士(医学) | 4年 | 医学部医学科卒業者:大学卒業 他学科出身者:大学院修士課程修了者 |
健康科学・看護学専攻 | 博士課程 | 博士(保健学) | 3年 | 大学院修士課程修了者 |
刊行物
- 医療コミュニケーション学教室10周年記念誌【PDF:985KB】