UMIN-CTRの運営方針
UMIN-CTRの運営方針は、以下のようにまとめられます。(関連情報が、FAQにも載っていますので、そちらも参照してください。)
1.なぜUMIN-CTRが必要か
UMIN-CTR設立は、次のような意義があると考えています。
- 臨床試験を行う研究者の要望に応える
- 世界的論調との協調
- 出版バイアスの防止
- 倫理的義務
- 日本語も扱える臨床試験登録システムの必要性
2.どの種類の臨床試験を受付けるか
原則として、すべての臨床試験を受け付けます。ただし、試験の性質(製薬企業などが行う臨床試験、
特に、治験か否か)により、 結果的に登録される試験の種類が異なってくると考えられます。
いずれにしても、企業などを含む、臨床試験を実施するすべての方からの登録を歓迎します。
- 一般の臨床試験
原則として、すべての臨床試験の登録を受付けます。ランダム化していない臨床試験、単群試験 (one arm trial)、 PK/PD試験なども受付けます。
(「原則的」としているのは、現在、介入を伴う臨床試験に対応したシステムとして作成しているため、一部の試験(主に観察研究)を登録しようとした場合、
厳密には適合していない部分があるためです。観察研究を登録する場合は、特別の入力ルールを設けています。不明点はお問い合わせください。)
- 製薬企業などが行う臨床試験
開発中、市販後を問わず、すべての臨床試験の登録を受付けます。
医薬品の治験においては、臨床試験登録に関する国際製薬団体連合会 (International Federation of Pharmaceutical manufacturers & Associations:IFPMA )、
日本製薬工業協会(製薬協)の方針(「治験情報の登録と開示に 関する共同指針」)が表明されていますので、登録の申請があるとすれば、それに準じた種類の試験となると考えています。
3.誰が登録するか
試験の性質(製薬企業などが行う臨床試験か否か)により異なると考えています。
- 一般の臨床試験
責任研究者(その臨床試験について取りまとめる責任がある立場の研究者)に登録の責任があると考えます。
ただし、臨床試験を登録する作業そのものは、研究グループをまとめる事務局の方でも構いません。
- 製薬企業などが行う臨床試験
試験実施依頼者である製薬企業などに登録の責任があります。
なお、日本で実施する臨床試験を登録する場合、登録作業にはUMIN IDを保有している必要があります。
4.いつ登録するか(UMIN-CTRはいつまでに登録を要請するか)
2004年9月の医学雑誌編集者国際委員会 (International Committee of Medical Journal Editors :
ICMJE)の声明と
BMJの声明に沿って、
2005年7月1日より前か後かで、区切って考えます。
- 2005年7月1日以降に登録が始まる試験
最初の参加者の登録・組み入れ前
- 2005年6月30日までに登録が始まる試験
可能な限り早く (2005年9月13日前が望ましい)
ただし、上記の期限はUMIN-CTRからの推奨であり、上記の期限後であってもUMIN-CTRは臨床試験の登録を受け付けます。
しかし、最初の参加者の組み入れ後に試験登録をおこなった場合の結果(たとえば、論文が、臨床試験の登録時期を理由に受理されなかったなど) に対しては、UMIN-CTRは責任を持つことができません。あくまでも、臨床試験の実施責任組織、責任研究者に責任があります。
5.試験のID番号
UMIN-CTRは独自の試験IDを発行します。
なお、WHO(世界保健機関)は2006年中をめどに世界的な臨床試験登録制度を動かそうとしています。その制度において、WHOが、国際的に一意になる臨床試験に対するID番号を発行するとしていますので、その制度に合わせて行くことになると思われます。
6.すでの別の登録機関に登録した試験の取り扱い
UMIN-CTRは、すでに他の臨床試験登録システムに登録している試験の登録も受け付け、UMIN-CTRの試験IDを付与します。
その際は、発行されている試験IDと発行機関の情報も登録する必要があります。
7.試験のどの情報を登録するか
また、日本の臨床試験のレベル向上および日本の臨床試験の現状の分析を目的とした追加項目が設定されています。
詳細は『
用語の説明(簡易版)』を参照してください。
8.言語の取り扱い
UMIN-CTRでは、日本語と英語の両方の言語を取り扱います。
WHO(世界保健機関)が2005年4月に開催したWHO technical consultation on clinical trial registration standards meetingにおいて、 英語を母国語としない国で実施する試験においても、
英語で公開しなければならないデータ項目が合意されました。UMIN-CTRでは、この合意に 従います。
日本で実施する臨床試験では、一部のデータ項目を除き、テキスト型のデータ項目では日本語と英語で入力する必要があります。
どのデータ項目に対して英語情報が必要かは、『用語の説明(簡易版)』を参照してください。
9.登録した情報をいつ公開するか
UMIN-CTRでは、情報の本登録希望日(=公開日)を聞きます。その希望日以降、情報が公開されます。
10.どの情報(データ項目)を公開するか
臨床試験そのものの内容に関する情報を公開します。たとえば、情報を送信した組織に関する情報のように、管理目的で提供されたデータ項目は、 公開の対象外です。
どのデータ項目が公開されるかは、『用語の説明(簡易版)』を参照してください。
なお、データ項目のほかに、正式に登録された臨床試験に対する情報の最終更新日と更新履歴を公開します。
また、WHO(世界保健機関)が2005年4月に開催したWHO technical consultation on clinical trial registration standards meetingにおいて、 知的所有権に関連して、いくつかのデータ項目の情報公開を留保することが許容できるとされました。将来的に、一部のデータに関して公開が留保 できるよう、仕様変更する予定があります。
11.誰に公開するか
公開希望日以降、一般公開(UMIN IDを保有する人に限りません)します。
12.登録された情報はどのように正確性が確認されるか
次の方法で確認を行います。
- 入力時の自動データチェック(可能な項目)
- 登録者の目視による確認
UMINセンターで、登録された情報の正確性まで確認することは困難です。
そのため、登録前に登録者ご自身で可能な限り確認をお願いしたいと 思います。登録された臨床試験情報の内容および正確さについては、
情報を送信した組織および試験実施組織に責任があります。
また、次の項で触れるように、定期的に情報を更新して頂くことも、情報の正確性を高めるために重要だと考えます。
13.登録した情報の更新を行うか
登録した臨床試験情報に変更があった場合(主に、試験実施計画書の変更や試験に進捗があったなど)、可能な限り速やかに、その変更をUMIN-CTRに対しても反映をお願いします。
なお、UMINセンターから6ヶ月に1度の頻度で、情報送信組織に確認をお願いする電子メールを送りますので、少なくともそのタイミングで、確認と必要に応じて情報の更新をお願いします。 また、情報の最終更新日と更新履歴を公開します。
14.試験終了時に何を公開するか(UMIN-CTRは何の公開を要請するか)
原則として、主要な結果と、結果が公表された場合、論文等の書誌情報を公開することをお願いします。
なお、結果公開の時期については、試験の性質(製薬企業などが行う臨床試験か否か)により異なると考えています。
以下は、WHO(世界保健機関)が2005年4月に開催したWHO technical consultation on clinical trial registration standards meetingにおいて合意された結果に基づいています。
- 一般の臨床試験
試験終了後1年をめど
- 製薬企業などが行う臨床試験
初めて市販した医薬品の場合、市販後1年をめど。すでに市販されている医薬品の場合、試験終了後1年をめど
15.当該の臨床試験を審査したIRBへの問い合わせ
UMINセンターより6ヶ月に1回、当該の臨床試験を審査したIRBに、その試験に進捗があるかなどの問い合わせを行います。
16.UMIN-CTRの位置付け
- 国立大学組織の一部であるUMIN(公的機関)により運営される
- 臨床試験の登録および検索は無料
- 日本におけるone-stop search portal を目指す
- 情報が電子的に検索できる
17.UMIN-CTRは登録遵守のための方策としてどのような方法を考えているか
実際的には非常に難しい問題と考えており、現状では実効性のある方策はありません。
倫理審査委員会 (Institutional Review Board:IRB) や臨床試験を助成する団体が関与し、審査した臨床試験が確実に臨床試験登録を行っているかどうかを確認したり、
臨床試験登録を行っていないと助成が受けられなかったりするような仕組みができることが
望ましいと考えていますが、すぐには、実現困難と考えられます。継続的な検討課題であると思います。