遠隔医療実験:2−3 生活支援用
2.実験の結果
2−3 生活支援用
(1)プロブレム別の評価
患者の病名は以下の通りである。
表
生活支援の立場からは17のプロブレムがあげられた。ワーカー等が在宅療養生活
を支援する上で意識するプロブレムは精神面の問題に特に重点が置かれている。
表
(2)生活支援機器としての利用価値
各プロブレム毎に、TV電話等が往診や電話と比較して、生活支援機器としてどの
レベルにあるか評価してもらった。往診と同レベルという「1」の評価こそ少ないが、
「2」「3」に集中しており、生活支援のための機器として利用価値は高いという評
価になっている。往診と同レベルと評価されたのは「生活上の問題の有無の確認」に
使ったケースであった。サンプル数の差もあり、医療用との単純な比較はできないが、
生活支援の場合には、医師の問診よりカウンセリングに近いので、より高度な精神状
態の読み取りが要求されるものと考えられる。
表
(3)チェック項目別の評価
医療用と同様、記号を得点に置き換えた。
集計は、身体、表情、生活環境、介護、家族の5分類で平均し得点を集計した。結
果としては、生活環境の確認や介護状況の確認にはやや難しいとの評価になっている
が、全般的に評価は高い。
グラフは準備中
表
(4)改良すべき点
以下のような意見があげられた。
- 尿量、混濁の状態が観察できる程度の画質がほしい
- 動画像の流れをスムーズにする
- 画質の色調を鮮明にする
- 聴診も可能なように音声性能を上げる
- ボタン操作の簡素化等の操作の利便性向上
- 電源のON、OFFは1つのボタン操作でできるようにしてほしい
- 価格を下げる
- 音声の立ち上がりの改善
- 本体のカラーを明るい色にしてほしい
(5)追加機能として必要な点
以下のような意見があげられた。
- ズーム機能
- 回転台の開発
- 心電図、バイタル(T、P、BP)等のデータも同時に送られると良い
(6)活用すべき分野
以下のような意見があげられた。
- 保健・福祉分野(障害者、高齢者を中心として)
- 一人暮らしの高齢者の安否の確認、心理サポート、孤独感の解消
- 病人を抱えている家族の心理サポート、及び病人の病状把握
- 救急車に備えると患者の状態が分かりやすくなり、移動しながら処置ができる
- 一人暮らし、寝たきり、人工呼吸器使用中など通院が困難な人
- 交通の便が悪く医療機関のないような地域での利用
- 耳の不自由な人
(7)普及させる上での課題
以下のような意見があげられた。
- 費用(機器、回線設置料など)
- 操作性
- まだ病院や地域で今回の実験でのやり方等につき、その必然性の認識・意識の欠如がある為、普及以前の問題がある
- 一般の電話回線には接続できないこと(新たに工事が必要なので面倒)
- 光ファイバーの電話回線の普及(高画質)
- 24H対応できる場所(例:病院)
- プライバシーをどのように保護していくかが問題
(8)その他気づいた点
以下のような意見があげられた。
TV電話では話せないこと、家族の関わり方、介護負担の軽減を計るため、ケアを家族と一緒に行うこと、時には愚痴を聞くことや訪問も必要と思われる
- プライバシー保護のため、観察が困難なことがある
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