遠隔医療実験:2−4 利用者用
2.実験の結果
2−4 利用者用
(1)利用者のプロフィール
回答者は在宅療養者本人が7名、在宅療養者を介護をしている人が12名となって
いる。
表
(4)話したい相手
話したい相手として最も多くあがったのは「家族」であった。その他以下のような
名前があがっていた。
表
(5)通院、往診、訪問看護等の回数を減らせるか
電話と比較するとやはり相対的に、「効果がある」という回答が多い。しかしこの
後に出てくる他の効果と比較すると、若干通院、往診、訪問看護の回数削減効果に対
して、それほど期待は大きくないと考えられる。
またサービス提供者側がかなりこの効果を強調していたのに対して、利用者側の意
識はそれほどではなかった。往診や訪問看護が減ることに対する患者の不安感が読み
とれる。
表
(6)健康に対する不安感を軽減できるか
この効果については、はっきりと読みとれる結果となった。電話と比較して、かな
りの安心感が得られることが強調されている。
表
<自由意見>
- 体調が悪く心配なとき安心
- 診察を受けている感じがする
- 先生に毎日のようにお会いできるので大変心強い
(7)社会からの疎外感・孤独感の解消になるか
効果については肯定的な意見が多いものの、前の設問と比較するとやや評価は低い。
これはまだ通信先が病院等の施設に固定されており、アクセスできる先が限られてい
るためと考えられる。
表
<自由意見>
- TV電話では相手の人の表情が画面に出て、応援していてくれる安心感がある
- 先生から頂く電話が楽しみで、ベルが鳴ることで非常に安心する
- 安心感はある
(8)病状の変化への対応を早められるか
この効果についても、有効性を高く評価する回答が多かった。症状の変化に対して、
往診や通院を待つまでもなく、医師が対応できるメリットはやはり非常に大きいと言
える。
表
<自由意見>
- 電話より先方の姿が見えるので安心感がある
- 一日の状態が家にいても話が出来るのは大変心強い
(9)その他の効果に関する意見・感想
<電話の場合>
<TV電話等の場合>
- 具合の悪い時、テレビ電話だと顔色が見ていただける
- 顔(主治医)がみれることの安心感
- 上下肢の運動が見てもらえる
- えん下など直接の訓練指導をしてもらえた
- 自力で自分の顔色等もよくわかる
- 視力が弱いため写真など拡大して見ることが出来る
- 使用期間が短く、判断しかねる
- もっと長い期間使ってみたかった
- 今後も是非活用したい
(10)操作性に関する意見・感想
操作性については意見が分かれた。患者の症状の重度や実際に操作するのが患者か
介護者かによってかなり状況が異なるようである。
表
<自由意見>
- 必要な操作は何とか出来る
- 操作について多少心配であったが、マスターすることが出来た
- 急を要するときは操作が出来るかわからない
- 患者本人には困難が多かった
- ボタンを一つ押すだけなら、簡単でよい
(11)画像の鮮明度に関する意見・感想
画像に関しては、比較的良好な印象を与えている。
表
<自由意見>
- 画像は割合良かった
- もう少し明るさがあったらいい
- 映像がきれいでよく見える
(12)動画像のなめらかさに関する意見・感想
動画像については、やはりコマ数に関する注文があげられた。INSネット
1500での実験では、この問題はかなり解消されたとの、医師からの意見もあった。
表
<自由意見>
(13)画面の大きさに関する意見・感想
画面の大きさについても特に不都合といった意見は出されなかった。
表
<自由意見>
- 先方の顔がハッキリと見えるので良い
- 操作により大きくも小さくもなるので特別支障はないと思う
(14)機器の重さに関する意見・感想
今回の実験で使用した機器の中で、TV会議システムの場合は特に重いものなので、
設置場所等に苦労したケースもあった。D及びEの回答のうち2件はTV会議システ
ムである。
表
<自由意見>
- 機器の重さは丁度良い
- 永久的に使用したいが、設置場所について考えたい
(15)音質に関する意見・感想
音質については、基本的に話が出来ればよいというスタンスであったため、医療の
立場からの評価に比べると高い評価になっている。
表
<自由意見>
- 直接話すのと変わらない
- 受話器を使用せずに会話が出来て良い
- はっきりと聞き取れる
(16)追加機能に関する意見・感想
特にこれ以上の機能は希望しないという意見もいくつかみられた。在宅での療養生
活に対する不安感の強さを反映してか、緊急通報の機能については希望する人が非常
に多かった。
表
<自由意見>
(17)継続利用の希望
今後の引き続き利用したいと考える人がほとんどであった。しかし使いたくないと
答えた人も1名いた。理由としては操作が煩わしく、それに見合うだけの効用も得ら
れないということであった。この患者は社会からの疎外感、孤独感の解消効果につい
ても評価が低く、また操作性に対する評価も極めて低かった。また医師とのつきあい
の長さも他のケースと比較すると短い。
このようにすべての患者にとって、TV電話等は手放しで歓迎されるものではなく、
ひとりひとりの身体の状況等によっても差異があることを示している。
表
<自由意見>
- これより先も引き続き利用したい
- 状態の悪いときは面倒と思うことがある
(18)その他自由意見
- 呼出し音が小さく、聞き取りにくい
- 移動に対してのズーム機能があると良い
- 急に具合が悪くなったときに操作が難しい
- 必要なときに利用できるリース制の導入
- 不自由な体にはとても有り難い
- 先生に大変お忙しい思いをかけており心苦しいが、心の支えとして今後ともよろしくお願いしたい
- (医療者側の)バックアップシステムを充実させて欲しい
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