平成7年度「連絡会議」開催にあたって



             平成7年度「連絡会議」開催にあたって
    
                               実行委員長 開原成允
    
     東京大学で平成7年度の「国立大学附属病院医療情報処理部門連絡会議」を開催す
    るにあたり、これまでの本会の経過を振り返り、ご挨拶に代えたいと思います。
     この会は、別に採録したニュースレター第1号の「発足の経緯」にもあるように、
    昭和58年12月6日に東京大学の研修講堂で第1回の総会が開催されました。参加
    者は50人程度であったように思います。それから数えると今回は第13回目の会合
    になります。私は、毎回出席してきましたが、この間の病院の情報技術の発展とそれ
    に伴う本会の充実には目をみはるものがあります。しかし、「会」は大きくなること
    だけが目的ではありません。それ以上に、私はこの会は、大変ユニークな良い会に育っ
    たと思っています。その特徴を二つ記してみたいと思います。
     第一は、この会が病院のあらゆる職種の人の集まる場であるということです。病院
    では全ての職種の人が協力して患者の診療にあたることは当然なのですが、事務職員、
    看護職員、薬剤師、技師、医師などが、一堂に会して同じ問題を話あう場は意外にあ
    りません。この会では、どのような職種の人も参加して同じ問題を語り合えます。そ
    れがこの会の最も大きな価値です。これは、情報とは組織を横に連結するものである
    という性格に基づいているものなのでしょう。
     第二は、1年に1回、各大学の経験を発表し合う勉強会を持っていることです。常
    置委員会では要望書などをまとめることもしますが、それよりもこの会の価値は、こ
    の勉強会にあります。ここでは同じ環境にある人々がどの大学でもすぐ役にたつ実地
    の経験を学びあえるのです。参加者は年々増え、最近では400名にもなりました。
     私は機会あるごとに、この勉強会は「学会」ではないのであり、人に真似のできな
    いような最先端の難しいことを発表してもらっては迷惑であると言い続けてきました。
    しかし、時々いつ実現できるかわからないような理論や技術を発表している人があり
    ます。会の趣旨をもっと徹底させる必要がありそうです。こうした考慮から、今回は
    意識的に会場を学内に選びました。多少参加者にはご不便をおかけするかもしれませ
    んがお許し下さい。
     以上、この会の二つの特徴をあげましたが、この会が発展してきたのは大学病院関
    係者の支援があったからです。それに加えて、文部省も発足の時から暖かく、また時
    には苦言を呈しながら、この分野を育てて下さいました。両者のご支援に心から感謝
    しています。
     今、日本の病院の中では国立大学病院ほど恵まれた情報環境にある所はありません。
    また、今年は新しく通信衛星を使ったスペース・コラボレーションの始まる年でもあ
    ります。これからはこの恵まれた環境を活かして、日本の医療の向上のために更に努
    力しようではありませんか。


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