III.国際的な貢献


(1)世界情報インフラに向けた動き


 持続的な経済成長の実現、雇用の拡大、地球的環境問題への対応等の課題を解 決する上で、情報通信の果たす役割が重要であるとの観点から、各国において高 度情報通信社会に向けた取り組みが進められてきたところであるが、最近、こう した取り組みを世界的な規模で実施しようとする世界情報インフラ構想の実現に 向けた動きが急速に進展しつつある。

(2)全世界的な取り組みの必要性


 真の意味でグローバルな高度情報通信社会を実現するためには、先進国のみな らず開発途上国においても情報通信の高度化が進むことが重要であるが、そのた めには先進国政府が、適切な協力策を講じていくことが必要である。また、各国 共通のグローバルなビジョンを策定し、各国がその国内施策に反映させていくこ とも必要であり、その前提として、関係国際機関も含め、円滑な政策協調・情報 交換体制の整備を早急に行わなければならない。具体的には、民間投資の促進、 競争原理の一層の導入、技術革新の成果を踏まえた規制の見直しに配慮する必要 がある。

(3)世界的規模の共同プロジェクトの実施


 国際的な整備目標を設定し、様々なアプリケーション開発のパイロットプロジ ェクトを世界的規模の共同プロジェクトとして実施することを通じて、一般の人 々に対し、高度情報通信社会のもたらすメリットを示し、高度情報通信社会に関 する理解を深めることは大きな意味を持つ。

(4)情報の適切かつ自由な流通のための環境整備


 著作権等の在り方に関する国際的なルールの検討と国際的調和、プライバシー の尊重・個人データの保護、セキュリティの確保、ハードウェア・ソフトウェア を通じた世界的な相互運用性・相互接続性の確保に関する制度面での国際調和の ための検討・配慮が必要となる。

(5)G7会合に向けた我が国の対応


 本年2月、ブラッセルにおいてG7の閣僚会議が開催されることとなっている が、我が国としても、以上の観点から、この機会にグローバルな高度情報通信社 会の実現のための基本原則を合意・確立するとともに、国際的に協力可能なプロ ジェクトを立ち上げ、その成果を示してグローバルな高度情報通信社会の構築に 向けた国際的なインセンティブの醸成に可能な限り貢献していくこととする。



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