(4)情報化の進展に対応した著作権等の施策の展開
1.基本的な考え方
著作権等の制度は、ソフトの創作活動にインセンティブを与えるために不可欠
な法的基盤であり、高度情報通信社会実現の成否の鍵を握っているといっても過
言ではない。即ち、高度情報通信社会の実現のためには、ハード面の整備に併せ
て、国民の多様なニーズに応え、新しい魅力あるソフトが積極的に創作・供給さ
れる環境及びソフトを適切かつ円滑に利用することができる環境の実現が極めて
重要であり、このような観点から、高度情報通信社会における著作権等の在り方
について、国際的調和に留意しつつ早急に検討を進める。
2.著作権等の施策の展開
高度情報通信社会の進展に伴い、既存の音楽、言語、美術、写真、映画などの
多様なソフトが大量にデジタル・データとして流通することにより、ソフトが、
複製、加工、送信など、多様な形態で利用されるようになることが予想される。
また、新しい技術を利用して、従来の著作物のカテゴリーの枠を超える新しい形
態のソフトの創造も盛んになるものと考えられる。
このようなソフトの創作及び利用の多様化、高度化の中において、ソフトの創
作活動へのインセンティブを維持し、さらに向上させるとともに、実際にソフト
の利用が適切かつ円滑に行われ、また、著作物等の無許諾複製や無許諾利用を防
ぐために、以下のような対応を行う。
○望ましい著作権等の制度上の対応について、早急に検討を進める。
○権利の所在等の情報提供体制を整備する。
○権利処理のルールを確立する。
○著作物の利用を技術的にコントロールする等を可能とするシステムの普及・
高度化等を促進するとともに、利用をコントロールする措置に関する制度上の
対応の在り方について検討する。
○著作権等の制度の国際的調和を図ることが重要であり、世界知的所有権機関
(WIPO)等の場において、このための具体的かつ本格的な検討作業を行う
べく、我が国としても引き続き積極的に対応する。
目次へ 次章