3.教育・研究・学術・文化・スポーツ分野の情報化


 イ.教育分野の情報化
 全人的な人格形成を目指した教育活動の中で、高度情報通信社会の進展に対応 して、コンピュータ等の情報機器やネットワーク、データベース等を適切に活用 することにより、子供一人一人の個性に合わせた学習を充実し、創造力、思考力、 表現力の一層の涵養を図る。さらに遠隔教育やへき地教育における活用等を通じ て、教育機会の拡大や教育方法の充実を図る。
 このため、以下のような施策を総合的、計画的に推進する。
○基礎的な条件整備として、小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校、高等 専門学校、大学等において、コンピュータ等の情報機器やソフトウェア等の整備 を一層推進する。
○国立の高等教育機関の学内LANの整備を推進するとともに、公私立大学等に おける学内LANの整備についても積極的に支援する。
○(i)広域的な生涯学習の推進のための学習情報提供システムの整備、(ii) 教育用ソフトウェアを試用できる拠点として、教育用ソフトウェアライブラリセ ンターの設置、(iii)教育、文化等に関する総合的な情報提供のナショナル ・センター機能の整備 を推進する。


○(i)ネットワークを活用した適切な遠隔教育の在り方等について、先導的な 調査研究を推進、(ii)図書館、博物館、美術館等におけるマルチメディアの 活用方法や関連するソフトウェアの研究開発を進める。


 ロ.研究分野の情報化
 我が国が将来にわたり持続的経済発展を遂げていくためには、科学技術振興の ための基盤を未来への発展基盤として整備していくことが重要であり、このため 研究分野の情報化を推進することにより、世界最高レベルの研究開発環境を整備 ・維持し、常に研究水準の向上を図ることが不可欠である。
 また、研究情報ネットワークとして米国から始まったインターネットがその後 様々な分野における利用へと発展したように、高度情報化における研究者の先駆 的活動は、社会全般の情報化を促進し、高度情報通信社会を実現するための先導 的役割を果たすことが期待される。
 このため、以下のような施策を総合的、計画的に推進する。
○研究機関、省庁、国の枠を超えた研究機関間を結ぶ研究情報ネットワーク及び コンピュータ等の研究情報基盤を中長期的な視点に立ち、回線の高速化を図りつ つ、継続的な整備・充実を図る。
○データベース等のネットワークを流通する情報資源(コンテンツ)を質的・量 的に充実するとともに、ネットワークを介した高性能コンピュータの利用技術の 高度化等を推進するなど、ハードとソフトのバランスのとれた発展を図る。また、 情報資源の積極的な国際発信を図る。
○科学技術会議の場を積極的に活用することにより、各省庁、各機関相互間の協 調の下に連携協力を深める。


 ハ.学術分野の情報化
 学術研究の高度化に伴う学術情報の増大・多様化、特にマルチメディア情報の 円滑な流通に対応するとともに、我が国で不足していると指摘される学術情報の 海外への情報発信機能を強化する観点から、学術情報基盤の整備・充実を図る。  このため、以下のような施策を総合的、計画的に推進する。
 ○学術情報流通のための基幹ネットワークである学術情報ネットワークの高度 化・高速化、国際接続の拡充を実施する。
 ○大学等における学術情報の全学的な流通を促進するキャンパス情報ネットワ ーク(学内LAN)の高度化を図る。
 ○マルチメディアに対応したデータベース及び情報関連機器の整備・充実を図 る。
 ○マルチメディア機能を持った電子図書館システムやマルチメディア情報の高 速伝達に必要な通信方式等の研究開発を推進する。
 ○学術情報センターをはじめ、大型計算機センター、総合情報処理センター、 大学図書館など、大学等の学術情報流通の促進に中心的な役割を担う機関の一層 の整備・充実を図る。


 ニ.文化・スポーツ分野の情報化
 国民の文化志向の高まりと広がりの中で、文化財、芸術作品、舞台芸術などを より身近に観賞できるような環境を整備し、また、近年のスポーツニーズの多様 化・高度化に対応する環境整備を図る。
 このため、以下のような施策を総合的、計画的に推進する。
 ○文化財、美術品、地域文化、現代舞台芸術の各分野をはじめとする文化に関 する情報システム、ネットワーク、データベースについて整備の一層の充実を図 る。
 ○地域スポーツに関する情報提供システムの整備、スポーツ指導や指導者養成 における効果的な学習システムの在り方に関する研究の推進等を図るとともに、 競技スポーツにおけるトレーニング面でのマルチメディアの応用を進める。また、 スポーツ科学に関する研究や情報の収集・提供についてのナショナル・センター 機能を有する施設の設置を検討する。



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