II.高度な情報通信社会の実現に向けた課題と対応


 当面対応すべき具体的な政策課題と、講ずべき施策の基本的方向については、 以下のとおりとする。

(1)公共分野の情報化等(公共分野のアプリケーションの開発・普及等)


1.基本的な考え方


 公共分野の情報化については、我が国社会全体の情報化推進の起爆剤として期 待されているところであり、政府は、国民誰もが充実した公共サービスを享受で きるよう、自らユーザーとして先進的アプリケーションの開発・導入など先導的 な役割を果たしていく必要があるため、総合的、計画的に施策を講じていくこと とする。
 年内に本基本方針を受けて各省庁が分野毎の目標、中期的施策、その進め方等 を内容とする実施指針を策定し、明らかにする。

2.行政の情報化


 行政の情報化は、行政の事務・事業及び組織を改革するための重要な手段であ り、その積極的な推進を図ることにより、国民の立場に立った効率的・効果的な 行政の実現につながるものである。
 このため、行政のあらゆる分野において、情報システムの利用を行政の組織活 動に不可欠なものとして定着させ、行政内部のコミュニケーションの円滑化、情 報の共有化による政策決定の迅速化等の行政運営の質的向上と、国民への情報提 供の高度化、行政手続の効率化等の行政サービスの向上を図るため、セキュリテ ィの確保等に留意しつつ、「紙」による情報の処理からネットワークを駆使した 電子化された情報の処理へ移行し、「電子的な政府」の実現を進める。
 かかる観点から、行政の情報化については、行政情報化推進基本計画(平成6 年12月25日閣議決定)に基づき、平成7年度から以下のような施策を総合的、 計画的に推進する。また、これらの施策を具体的に実施するため、各省庁が共同 ・分担して取り組む共通実施計画及び各省庁別計画を早急に策定する。
 ○職員一人一人がいつでもパソコン等の利用が可能となる環境を整備し、一般 行政事務における文書の作成・保管・伝達等の事務処理について情報システム化 を総合的に進めるなど、行政情報の広範な電子化と高度利用を推進する。
 ○行政情報の省庁間での共有及び円滑な流通を図るため、データ項目等の基本 的な事項についての標準化、省庁の枠を超えた総合的な政策の企画立案を支援す る省庁間電子文書交換システムの整備、省庁間で共同利用できるデータベースの 整備などを行う。
 ○各省庁の発表する報道資料等の行政情報を国民等に提供する情報システムの 整備、申請、届出等の国民との間の行政手続の電子化・オンライン化の推進など、 行政サービスの高度化を行う。
 ○技術進歩に対応した情報システムの高度化、施設のインテリジェント化等の 執務環境の整備及び省庁間ネットワークの整備など、各種の基盤整備を行うとと もに、情報化に対応した制度・慣行の改善を図る。



目次へ  次章