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平成10年8月27日

医薬品等安全性情報149号(概要)


1.プロトンポンプ阻害薬による中毒性表皮壊死症と皮膚粘膜眼症候群

該当商品名: オメプラゾール : オメプラゾン(吉富製薬)
オメプラール(アストラジャパン)
ランソプラゾール: タケプロン(武田薬品工業)
年間推定出荷額: オメプラゾール  97億円
ランソプラゾール 104億円

 プロトンポンプ阻害薬は胃粘膜壁細胞の胃酸分泌の最終段階を担っているプロトンポンプを阻害することにより、胃酸分泌を抑制する胃潰瘍、十二指腸潰瘍治療薬である。オメプラゾールが平成3年1月、ランソプラゾールが平成4年10月に承認された。
 市販後これまでにオメプラゾールで本剤との因果関係が否定できない中毒性表皮壊死症が2例(うち死亡1例)、ランソプラゾールで中毒性表皮壊死症が1例、皮膚粘膜眼症候群が2例報告された。一方海外に於いてもオメプラゾールで因果関係が不明なものも含め中毒性表皮壊死症が7例、皮膚粘膜眼症候群が10例、ランソプラゾールでそれぞれ2例、1例報告されていることから、使用上の注意の重大な副作用の項にその旨記載し、注意喚起を行った。


2.ベラプロストナトリウムによる間質性肺炎

該当商品名: ドルナー(東レ)
プロサイリン(科研製薬)
年間推定出荷額: 300億円

 ベラプロストナトリウムはプロスタサイクリン誘導体で、慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感を改善する薬剤であり、平成4年1月に承認された。
 発売以降、本剤の投与との因果関係が否定できない間質性肺炎が3例(うち死亡1例)報告されたことから、使用上の注意の重大な副作用にその旨記載し注意喚起を行った。


3.クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)と硝酸薬の併用による重篤な副作用について

 該当商品名:本邦未承認(米国商品名:バイアグラ)

 クエン酸シルデナフィルは我が国においては未承認の医薬品であるが、米国等において「バイアグラ」の商品名で勃起障害治療薬として発売されている。米国に於いて本剤は硝酸薬との併用が禁忌になっているが、これらの薬剤との併用によるものを含む死亡症例が多数報告されたことから、米国FDA及び販売元の米ファイザー社が注意喚起を行っている。
 一方、我が国で、本年7月には本剤と硝酸薬を使用した男性で、死亡に至った症例が報告された。
 今後も安易な個人使用は危険であり控えていただきたいと考えているが、参考のために情報提供を行うものである。



照会先

 厚生省医薬安全局安全対策課

 担当:松田、桂、高橋

 3503-1711(内線)2748,2751,2757