第53回日本体力医学会学術集会

シンポジウム「国民体育大会のメディカルチェックの現状と将来」

 

演題「一般検診の検査結果とその意義」

 

鈴鹿回生総合病院

○藤澤 幸三

加藤  公

三重大学第一内科

山門  徹

 

 

[目的]日本体育協会スポーツ医・科学サポート研究の推進事業に呼応して、三重県に於いても平成6年度より国体出場選手全員に全額県費によるメディカルチェックを施行、本年度で5回を迎えている。本県における実施方法・内容・結果等を報告し、その効果並びに問題点について検討を加えたい。

[実施方法及び対象]平成3年度設立の三重県スポーツ医・科学委員会及び実行委員会医学班の重点事業として、平成6年度より国体出場選手全員に対して全額県費負担のメディカルチェックを計画した。丁度三重県に於いては、スポーツ医・科学の質的向上と日体協公認スポーツドクター、日整会認定スポーツ医、日本医師会健康スポーツ医等、三者のスポーツドクターの横の連絡網確立の機運に乗じて、三重県スポーツドクター連絡協議会を設立した時期であった。メディカルチェック実施に関しては、人数的にも質的にも日体協公認スポーツドクターだけでは対応が難しいと判断して、全面的に三重県スポーツドクター連絡協議会へ委託する事となった。医学班では、日体協のスポーツ医・科学サポート委員会のプロトコールを参考に、スクリーニング用プロトコールを作成し、各会員医師と三重県体協の直接契約の元に実施した。スクリーニング結果を三重県スポーツ医・科学委員会内のメディカルチェック委員会で検討し、要精密検査の選手を選出し、専門医の受診を指示し、再度出場の可否を検討した。その後、三重県スポーツドクター連絡協議会の運用が困難となり、三重県医師会スポーツ委員会が設立されたのを機会に、我々の協議会もドッキングする形で組織の再編成を行い、現在に至っている。

[結果]国体出場決定から開催日までの非常に短期間、しかも練習時間を割いての実施というnegative要因があるにもかかわらず、実施初年度が467名中461名(受診率98.7%)であったが、その後、過去3年間は100%全員の受診を認めている。要精密検査は、平成6年12%、平成7年度11%、平成8年度10%、平成9年度12%とほぼ同率の傾向を示している。要治療者は平成6年4名、平成7年0名、平成8年1名、平成9年度3名となっている。メディカルチェックの結果、国体出場停止になった者はいなかった。

[まとめ]全員の受診100%を確保しているのは、三重県体協の啓蒙活動とスポーツ医・科学委員会を中心とした指導体制、スポーツ指導者の医・科学に対する認識向上、実施機関としての三重県医師会スポーツ委員会等との順調な組織作りの結果ではないかと思われる。しかし、メディカルチェックの内容に関しては議論の多いところであり、 これほどの予算を使っての事業でどれほどの結果が出ているのか、常に疑問、自責の念にかられて活動 している。本事業実施5年目を迎えて、再検討しなければならない時期であると認識している。




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