国体選手の医科学サポートの将来
中嶋寛之
日本体力医学会は、発会の由来からして国民体育大会と切り離せないものがある。
この度のシンポジウムでは、日本体育協会スポーツ科学委員会における研究報告を中心にこれまでの実状と将来の課題について述べてみたい。
そもそも日本体育協会における当初のプロジェクト名は、「国体選手の健康管理に関する研究」であり平成2年から3年間突然死予防などの健康管理を目的とするものであったが、その後は「国体選手の医科学サポートに関する研究」と変り競技力向上も併せて目的とし現在に至っている。
健康管理に関しては、メディカルチェックの結果、再検査や治療を指示された選手が毎年5〜10%を占め、なかには参加中止の例もある。また、貧血や整形外科的疾患の治療により競技力向上に成果をあげた県もあり、医学的管理は例外の県を除けば全国的に行きわたりつつある。
医科学サポートの中では、体力づくり、栄養サポート、心理サポートなどが行われているが、まだ十分満たされては云えない。
その他には、帯同ドクターの派遣、ドクターズミーティングの開催などがなされ、開催時の医事業務の円滑化や相互の情報交換が測られている。
現在の問題点としては、1)帯同ドクターの選手団内での位置づけ、2)国体医事委員会の設立などがあげられるが、その背景には将来的に国体におけるドーピングコントロールの実現化をふまえている。
国体の開催自体が二巡めにあたり、マンネリ化、施設・マンパワーの後利用などが論議の的となっているが、医科学サポートの立場からの施設面の充実、マンパワーによるスポーツ医学周辺知識の普及は、高齢者会の21世紀に備えて健康教育を全国的に毎年広めていくことにつながり新たな国体の意義を見出すものと云えよう。
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