国民体育大会のメディカルチェックの現状と将来
ードクターの立場とシステムの活用ー
横須賀共済病院 整形外科 河野卓也
1.神奈川県における国体選手の医科学サポートシステム
神奈川県で国体選手に行っている主な医科学サポ−ト事業は,(
1)国体選手のメデイカルチェック,(
2)国体強化指定ジュニア選手の体力測定とメディカルチェック,(
3)巡回スポ−ツ医事相談,(4)高等学校体育連盟の医科学サポート事業の4つである.これら4つの事業に関与するドクターの組織が神奈川県体
育協会スポーツ医学委員会(以下委員会)である.委員会は,各科臨床医(主に
勤務医)
19人と学識者5人の計24人で構成される.神奈川県の医科学サポ−トは委員会が中心となり,他の組織と連携して事業を実施している.診療面で協力す
るのは,開業医の組織である神奈川県医師会健康スポーツ医部会であり,(
1)は委員会が健康スポーツ医部会と事業協定を結んで実施している.また財政面で
協力する公的組織は,神奈川県教育委員会と,国体の強化のために設置された生
涯スポーツ振興会議である.
(2)は生涯スポーツ振興会議が委員会に事業委託し,(
3)は委員会が実施し,(4)は高等学校体育連盟からの依頼で委員会からドクターとトレーナーを派遣して実施している.このうち
(1)の事業について次に述べる.
2.国体選手のメデイカルチェックのシステム
組織:委員会が事業を企画・実施し,健康スポ−ツ医部会からは診療面で協力
を受けている.対象:国体のブロック大会と本大会に出場する全選手を対象と
し、毎年約
1000〜1100人である.方法:独自のメデイカルスポ−ツノ−トを用いている.これは問診表,健康診断票,総合判定,運動処方の各項目よりなる.
40歳未満の選手約
1000人を一般健康診断とし,各競技団体ごとに選手が選ばれる・plain
ニ,選手は県内各医療機関を受診し健康診断票を記載してもらい,大会参加申込書とともに県体育協会に提出する.提出された健康診断票と問診票は委員
会のドクタ−が判定会議を開き検討,分析し,心電図は循環器の専門医がすべて
判読する.データはコンピュ−タ−による自動判定にしている.そして最後に委
員会による総合判定をノ−トに記載する.フィ−ドバック・
plain ヘ,ドクタ−が各競技団体の代表者と直接面接してその結果と対応について通知する.選手個
人へのフィ−ドバックとしては,検査デ−タをわかりやすく説明した解説書を添
付し,ノ−トは選手が保管する.また異常のある者に対しては二次健康診断を受
診するよう指示する.
40歳以上の選手70〜80人は特別健康診断とし,慶応大学スポ−ツ医学研究所でメディカルチェックを行っている.
3.ドクターの立場とシステムの活用
神奈川県における国体選手のメディカルチェックなどの医科学サポートに関与
するドクターの立場は様々であるが,中心的役割を果たすのが委員会である.他
の組織が実施する医科学事業にも委員会が協力する体制をとっているので,事業
はスムーズに流れるようである.
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