要約−第5章

第5章 情報通信技術面の現状と今後の見通し

5−1 移動通信技術の現状と今後の見通し

 今後、新しい携帯電話システムである簡易型携帯電話システム(PHS)が実用化 される見込みである。PHSは、電波の到達距離が短いというシステムの特性を活か し、徘徊老人の所在確認し保護するシステムへの活用が考えられる。

 無線呼出しは、大量のデータ送信が可能になる等、一層の高機能化が進むと共に小 型化が進む。音声なども自由に送れるようになるため、徘徊保護など多様な用途で活 用することが考えられる。

 携帯データ端末はすでに様々なメーカーから製品化されているが、今後はPHS等 の双方向無線通信網や光ファイバ網との組み合わせにより、介護スタッフの支援や高 齢者のコミュニケーション支援に十分役立つものになっていく。

5−2 マルチメディア通信技術の現状と今後の見通し

 現状では、テレビ電話は個人で購入するには高価であり、画像の精度やスムーズさ 等にも制約がある。今後は、画面精度の向上等の高機能化が進み、技術的には高度な 医療行為も支援できるレベルに達し、低価格化も急速に進んでいくと考えられる。

 テレビ会議システムはダウンサイジングが進み、分散した多数の施設を同時に結ん で会議を行うなど、より高度なテレビ会議が可能になる。各施設の連携をとっていく 上で非常に重要な役割を果たすと考えられる。

 現在でも医療分野での画像伝送の利用は比較的盛んである。今後は、ハイビジョン 動画等が光ファイバ網などの高速ネットワークを通じて自由に伝送できるようになり、 高度な遠隔医療サービス等を本格的に提供可能になると期待される。

 現在の仮想現実感技術はまだ試験的なレベルにとどまるが、今後、仮想現実感技術 が十分に成熟すれば、外出が困難な高齢者等にとって、仮想的な旅行の疑似体験など 生活を豊かにするさまざまなサービスでの活用が可能になると考えられる。

5−3 その他の関連技術の現状と今後の見通し

 センサー技術は、徘徊老人の出入り管理や部屋の中の動きを検知する生活センサー 等の簡単な機能のものが実用化されている。今後の方向性として、寝たきり老人の体 位検知やおむつの中の尿の検知等、高齢者介護に応用していくことと、会話支援など 高度な機能補完を実現していく高機能センサーの開発が考えられる。

 情報共有化を実現する技術として分散データベースの構築技術が進み、今後は各施 設がそれぞれの施設規模に応じたデータベースを設置しネットワーク上で他の施設と データを共有しあえる環境が整うと考えられる。


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