35・30周年記念誌

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臨床研究小委員会活動報告

UMIN臨床試験小委員会委員長
東北大学医学系研究科医学統計学分野教授
東北大学病院臨床試験データセンター長
山口 拓洋

1.はじめに
 読者のみなさまはご存じの通りですが、2005年7月1日以降に症例登録が開始される臨床試験については、一般国民が無償で検索できる非営利の団体が運営するサイトに当該臨床試験が登録されていない限り、投稿を受け付けないことがICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)から宣言され、UMINは日本で初めて臨床試験事前登録を開始しました。その後UMINはICMJEに公認され、2008年1月に発表されたJAMAの投稿規程においても、登録を認めるサイトとして日本からはUMINが紹介されることとなりました(以上については、大橋等をご参照ください)。その際にUMINにおいて臨床試験登録システムワーキンググループが設置され、臨床試験登録をはじめとした臨床試験に関する様々な話題が議論されてきました。
 以降、約20年が経過し、臨床試験・臨床研究をとりまく状況は益々複雑化している状況を鑑みまして、臨床試験の有識者が集まり、UMINでの臨床試験登録システム、INDICEでの臨床試験運用等についての意見交換やUMINへのアドバイスを行うための小委員会の発足がUMINセンター長の木内貴弘先生からご提案され、2021年1月のUMIN協議会にて小委員会設立についてご承認をいただき、筆者が委員長に指名されました。木内センター長とご相談し、委員の選任を経まして、2021年5月より活動が開始されています。

2.活動内容
 臨床研究小委員会の業務は、以下の 2 点です。
1)UMIN臨床研究関連システムの開発、改修にあたっての方針策定、助言(特に統計、データマネージメント関係)
2)UMINセンター内部で対応できないような質問事項への返答に対する助言(特に統計、データマネージメント関係)

 臨床研究小委員会は、現在7名の委員から成り立っており、議題が発生した際に不定期で開催しています。また、臨床研究小委員会にはメーリングリストがあり、適宜議論が行われています。
 最初の小委員会では、木内センター長からUMINの臨床研究関連のサービスの説明を受けまして、意見交換が行われました。
1)UMIN INDICE(インターネット医学研究データセンター)
2)UMIN INDICEクラウド
3)UMIN臨床試験登録システム(CTR)
4)CDISC標準対応

 その後、いくつかの議題についてメーリングリストを通しての議論が行われております。また、UMINの臨床試験登録システムに臨床試験を多数登録している某会社の宣伝行為に関して照会事項があり、メーリングリストでの議論に加えて、臨時の小委員会を開催し意見交換、UMINとしての方針について議論が行われました。

3.今後の活動について
 昨今の臨床試験をとりまく環境の急激な変化において、また、臨床試験の効率化、デジタル・トランスフォーメーション(DX)等が進むなかで、UMINセンター、UMIN臨床研究関連システムが果たす役割は非常に大きく、臨床研究小委員会の責務は益々重要になってきます。柔軟かつタイムリーな対応が可能となるよう、より活発な小委員会活動を推進したいと考えております。関係のみなさまのご尽力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

(参考)
 大橋靖雄.臨床研究の基盤としてのUMIN.大学病院医療情報ネットワーク University hospital Medical Information Network 二十周年記念誌.