35・30周年記念誌

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看護小委員会活動報告

UMIN看護小委員会委員長
東京大学医学部附属病院看護部長
武村 雪絵

1.はじめに
 UMIN看護小委員会は、平成2 年5月の第42回全国国立大学病院看護部長会議において看護部長会議内にUMIN特別委員会として設置することが承認されて活動を開始した。設置時の目的は、「国立大学病院の看護業務の効率化と質の向上に資するため、UMIN を利用することによって、各大学看護部間での情報交換をスムーズにできる可能性を検討し、実施への準備を行うこと」であった。
 この35年間で情報技術・科学技術は大きく進歩した。令和3年に新型コロナウイルス感染症流行により対面での交流が制限された際は、インターネット・イントラネットが重要な情報共有・情報発信の手段となり、オンライン会議が一気に身近なものになった。このことに伴い、会議資料の電子化・ペーパーレス化も進んだ。看護部長会議にとって、UMINの活用がますます重要になったといえる。

2.看護小委員会歴代委員長
 看護小委員会の歴代委員長は下記のとおりである。
 「国立大学病院看護部長会議の運営に関する申し合わせ(平成17年5月26日制定)」により、現在は、国立大学病院看護部長会議常置委員会委員長(国立大学病院看護部長会議会長)がUMIN看護小委員会委員長を兼ね、常置委員会委員がUMIN看護小委員会委員を兼ねている。常置委員会は年4回開催されており、看護部長会議の活動と密接にUMINが活用されている。
就任期間
委員長
所属大学
平成 2年5月 〜 平成 4年6月
小島 通代 看護部長
東京大学
平成 4年7月 〜 平成 6年3月
中原 千恵子 看護部長
京都大学
平成 6年4月 〜 平成10年3月
森山 弘子 看護部長
東京大学
平成10年4月 〜 平成16年3月
入村 瑠美子 看護部長
東京大学
平成16年4月 〜 平成22年3月
榮木 実枝 看護部長
東京大学
平成22年4月 〜 令和 4年3月
小見山 智恵子 看護部長
東京大学
令和 4年4月 〜 現在
武村 雪絵 看護部長
東京大学
3.看護小委員会におけるUMINの活用
 看護小委員会でのUMINの活用としては、看護小委員会ホームページの運用、看護の質評価指標調査の実施、メーリングリストの運用、看護部長会議ホームページの運用を挙げることができる。
3.1.看護小委員会ホームページの運用
 UMIN看護小委員会ホームページは平成8年度に開設された。開設時は、看護部長会議の年間行事予定、特別委員会の課題、委員名簿と、文部科学省や厚生労働省、日本看護協会へのリンクを掲載していた。過去には更新が滞る時期もあったが、現在は年間に複数回更新され、国立大学病院看護部長会議で作成した成果物や会議資料のアーカイブとして機能している。
 令和5年度から常置委員会をペーパーレス化し、令和7年度からは全国看護部長会議をペーパーレス化することが決定した。今後、全国看護部長会議の資料もUMIN看護小委員会ホームページ内にアーカイブすることを計画している。
 令和6年12月現在、看護小委員会ホームページに掲載されているコンテンツは以下のとおりである。
□ 国立大学病院看護部長会議
◆国立大学附属病院の今後のあるべき姿を求めて〜その課題と展望〜(看護部編)
◆あるべき姿の実現に向けて
【看護実践】
高度で先進的な医療に係る看護実践の標準化と研修プログラムの開発
・心移植看護マニュアル
・補助人工心臓看護マニュアル
・肺移植看護マニュアル
・肝移植看護マニュアル
・腎移植看護マニュアル
・ロボット支援手術看護マニュアル
・心移植研修プログラム
・補助人工心臓研修プログラム
・肺移植研修プログラム
・肝移植研修プログラム
・腎移植研修プログラム
・ロボット支援手術研修プログラム
【教育】
卓越したジェネラリストの教育プログラムの開発
・卓越したジェネラリストクリニカルラダーのフレームワーク
・フレームワーク検討の経緯
・文化的対応能力を育成する教育要素
【地域貢献・社会貢献】
受援体制整備の手引き―災害時における自施設への受援体制の整備―
【運営】
組織の意思決定への積極的な参画
・国立大学病院看護管理者職務規程(平成30年11月)
・看護管理者育成プログラム
◆名簿
看護部長・副看護部長名簿(令和6年度)
◆会議規定・申し合わせ
国立大学病院看護部長会議会議規程(令和4年度改正)
・国立大学病院看護部長会議の運営に関する申し合わせ
・国立大学病院看護部長会議会計に関する申し合わせ(平成28年5月改訂)
・年会費に関する病院長会議からの通知
・国立大学病院看護職員人事交流・転任に関する申し合わせ
・医療技術職員人事交流推薦調書(九州地区版)
・国立大学病院看護部長親睦会規程(平成28年度制定)
・看護部長会議親睦費に関する申し合わせ(平成28年度制定)
◆全国会議【令和6年度実践報告】
国立大学病院看護部長会議 開催大学(令和6年度更新)
・看護補助者の活用と定着促進への取り組み(富山大学)【動画】
・令和6年度能登半島地震 近畿・中部地区国立大学病院の対応報告(近畿・中部地区)【動画】
◆新任看護部長業務連絡会議
新任看護部長業務連絡会資料(令和6年度)
◆常置委員会
常置委員名簿(令和6年度)
・会議・委員会等の年間計画(令和6年度)
・文部科学省大学病院支援室資料【過去6年分】
・議事要旨【過去6年分】
◆特別委員会
特別委員会活動計画(令和2年度)
・特別委員会活動計画(令和3年度)
・特別委員会活動計画(令和4年度)
・特別委員会活動計画(令和5年度)
・特別委員会活動計画(令和6年度)
□UMIN看護小委員会
◆名簿(令和6年度)
□過去掲載記録
□UMIN看護小委員会関連メールアドレス
□看護関連サイト
3.2.看護の質評価指標調査の実施
 平成10年度より「看護部実態調査」に国立大学病院看護部実態調査システムを利用している。それ以前は調査票による調査であったため、手作業での集計が必要であったが、システム利用により大幅に作業の負担が軽減した。
 平成16年度には、国立大学法人化が国立大学病院の看護の質にどのように影響するかを継続して評価する必要があるとして、調査内容・調査項目を見直し、調査の名称を「看護の質評価指標の測定調査」に変更した。特別委員会B委員会(関東・甲信越地区)が担当となり、毎年調査を実施している。
 「看護の質評価指標の測定調査」のデータは、各大学や国立大学病院全体で看護の質改善に取り組むための資料として活用されている。また、日本看護協会や厚生労働省等が主催する看護政策・保健医療政策を検討する会議に国立大学病院看護部長会議から出席する際に、国立大学病院の状況を説明する貴重なデータとして活用されている。そのため、社会の動向に応じて、毎年、調査内容・調査項目の見直しを行っている。
 令和6年度の調査内容は以下のとおりである。
I.構造指標
1.病院概要
2.看護要員配置
3.入院基本料に係る患者対看護要員数
4.専門学歴別職員状況
5.新規採用者の専門学歴別状況
6.看護系以外学位取得状況
7.採用状況
8.免許および資格取得者並びに研修修了者
9.看護職員経験年数
10.退職者数
11.定着率
12.休暇取得状況
II.アウトカム(成果)指標
1.褥瘡発生率
3.3.メーリングリストの運用
 国立大学病院看護部長会議では、UMINが提供するメーリングリストサービスを利用して、全看護部長のメーリングリスト、および、全看護部長・副看護部長のメーリングリストを作成し運用している。当初は官職指定アドレスを登録していたが、利便性を考慮し、各大学や病院が発行しているメールアドレスの登録も認めている。
 国立大学病院看護部長会議内の情報共有はもちろん、厚生労働省や日本看護協会、看護系学会等社会保険連合(看保連)、国立大学病院長会議、国立大学保健医療学系代表者協議会看護分科会など、関係団体からのお知らせの配信や緊急調査の協力依頼など、メーリングリストを用いた情報交換が活発に行われている。
 課題としては、各大学の情報セキュリティ対策が強化されたことに伴い、メーリングリストで配信されたメールが一部の大学に届かない事象が発生していることがある。令和6年度にこの事象が発覚し、調査したところ、約10大学にメーリングリストによるメールが届いていないことがわかった。現在、メーリングリストに予備のメールアドレスを追加することや、[要返信]メールに返信がない大学へは発信者が個別に照会すること、緊急性の高いメールは「地区内で共有依頼」を行うこと、グループ作成機能を用いるなどメーリングリスト以外の配信も併用することなどの対策を講じている。メーリングリストの有用性は高く、解決が望まれる。
3.4.看護部長会議ホームページの運用
 平成18年度にUMINサーバー上に国立大学病院看護部長会議ホームページが開設され<http://kangob.umin.ne.jp/>、現在も運用を続けている。ホームページを開設した背景には、平成18年度の診療報酬改定で7対1入院基本料が新設され、算定を開始するために、42国立大学病院で合計4,600人以上の看護師の増員を必要としていたことがある。国立大学病院が高度急性期病院・教育病院としての機能を担い、良質な医療・看護の提供と良質な臨床教育を継続するために、看護師を質・量ともに確保する必要があり、国立大学病院看護部長会議として組織的に看護師確保に取り組むこととなった。平成18年5月の第58回国立大学病院看護部長会議において看護師確保のためのアクションプランが決議され、国立大学病院看護部長会議ホームページを開設し、広報活動を開始した。
 平成26年12月に、国立大学病院看護部長会議は「国立大学附属病院の今後のあるべき姿を求めて〜その課題と展望〜(看護部編)」を発表し、運用分野「提言5」として「国立大学病院における看護の活動・成果の発信」を掲げた。翌平成27年5月の第67回国立大学病院看護部長会議では、運営分野「提言5」の実現化目標「国立大学病院看護部長会議のホームページを活用し、国立大学病院看護部としての取り組みや研究成果、看護の役割、社会貢献等を国民や社会、国外にも広く発信する」ことが決議された。
 現在はこのアクションプランに従って、特別委員会B委員会(関東・甲信越地区)が下記のとおりホームページを管理・運用している。
平成 18 年度
1.ホームページ開設
平成 19 年度
1.内容の充実とアクセスしやすい環境を整備するための検討
2.トップページの更新と掲載内容の変更
3.各大学病院ホームページへのリンクの設定
4.キーワード広告の掲載
平成 20 年度
1.アクセスする際の検索エンジン対策の検討
2.専門看護師・認定看護師数の変更
平成 21 年度
1.ホームページ検索エンジン対策の実施
2.各大学病院のリンク先の変更(看護部 HP への直接リンクの対応)
3.病院一覧への URL 表示の追加(看護部 HP の URL を追加)
4.専門看護師・認定看護師数の変更、その他表示間違い等の修正
平成 22 年度
1.ホームページ検索エンジン対策の実施
2.各大学病院のリンク先の変更(看護部 HP への直接リンクの対応)
3.専門看護師・認定看護師数の変更
4.トップページの検討
平成 23 年度
1.ホームページ検索エンジン対策の実施継続
2.各大学病院のリンク先の変更
3.専門看護師・認定看護師数の変更
4.URL 変更への対応
平成 24 年度
1〜3.前年と同様
4.病院名変更への対応
平成 25 年度
1〜3.前年と同様
4.病院住所等変更への対応
平成 26 年度
1〜3.前年と同様
4.リンク先の変更
平成 27 年度
1〜3.前年と同様
4.トップページの更新と掲載内容の変更(「あるべき姿」の掲載)
5.問い合せ用メールアドレスの作成
平成 28 年度
1.ホームページのリニューアル
平成 29 年度
1.ホームページの内容確認・最新データへのアップデート
2.各大学へのリンク徹底のための周知と対応
3.各大学の取り組み実践事例の掲載開始
平成 30 年度
1〜3.前年と同様
4.看護部長会議の活動成果等の掲載について検討
令和元年度
1〜3.前年と同様
4.看護部長会議の活動成果等のホームページ上への掲載開始
平成29年度に遡って掲載)
令和 2 年度
1〜2.前年と同様
3〜4.新型コロナウイルス感染症の拡大により全国会議は対面開催が中止され、 実践事例の掲載に換えてコロナの対応の写真を掲載
令和 3 年度
1〜2.前年と同様
3.各大学の取り組み実践事例の掲載を再開
4.前年度に引き続きコロナ対応写真を掲載
令和 4 年度
1.3〜4.前年と同様
2.各病院 HP から看護部長会議 HP へのリンクの推進(バナーを作成)
令和 5 年度
1.3〜4.前年と同様
2.各大学から当ホームページへのリンクの状況調査
臨時)能登半島地震への緊急メッセージを掲載
 現在のコンテンツは下記のとおりで、令和5年度は毎月1300〜2200件のアクセスがあるなどアクセスは増加傾向にある。スマートフォンに対応しており、スマートフォンからのアクセスが約6割を占めている。
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・認定看護管理者数の推移
・特定行為研修修了者数
全国のネットワーク
全国国立大学病院の連絡先
・病院・看護部ウェブサイトへのリンク
・看護部連絡先
看護師・助産師を目指す方へ
仕事・研修風景の写真集
4.さいごに
 このように、国立大学病院看護部長会議は、看護小委員会を通じてUMINを活用しながら様々な活動を展開してきた。今後も国立大学病院が使命を果たし、良質な医療・看護、良質な教育を提供するために、活動していきたい。