35・30周年記念誌

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UMIN 35周年のお祝いと更なる将来への期待

UMINセンタースタッフ(演題登録担当)
岸 克彦

 大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)は、サービスを開始して以来、日本の医学・医療情報の交流のために努力してきました。多くの研究者や医療関係者にとって、論文検索や文献管理、臨床研究データの収集・共有など、研究活動を支える基盤として、欠かせない存在となっています。UMINが35周年を迎え、このような重要な節目に運営スタッフとして立ち会えたことを大変光栄に思います。

 私がUMINセンターに常駐したのは、今から10年以上前、演題登録システムの担当になりました。演題登録システムは、学術集会の演題応募にインターネットを利用して募集するシステムで、オンラインでの演題登録・提出・査読、プログラム編成など、様々な機能が提供されています。学術集会開催後は、収集・採択された演題は書誌情報(著者名、所属機関名、演題名)としてUMINデータベース検索システム(ELBIS)にて一般公開され、医学・生物学分野の学術情報の整備と医学・生物学関係者への支援を目標にサービスをご案内しております。UMIN演題登録システムは、その効率性と利便性において、日本の学術集会の運営を効率化し、研究者や運営者の負担を少しでも軽減するとともに、より多くの研究成果が共有される場を提供しています。UMINオンライン演題登録システムは、まさに日本全国の医学研究を支える重要なインフラとなり、多くの学会や研究会で不可欠な存在となっています。

 私の中で演題登録システムに青天の霹靂が起きたのは、演題登録システムのサービス終了が決定したことでした。当時の演題登録システムは運営費で賄われており、利用料金は無料で提供されていました。時が経つにつれ、時代の変化とともに運営費が削減され、2018年にUMINでの検討の結果、演題登録システムのサービス終了が決定されました。今まで大小あれ新しいサービスの開始や、既にあるサービスの運用などに関わってきましたが、演題登録自体のサービスが終了するというショックな出来事に対峙するのは初めてでした。演題登録システムのサービスが終了するという事実に、自分はこの先どうなってしまうのか、とても不安を拭えぬまま、演題登録システムの作業を続ける日々を送ると同時に、サービス終了の準備も行っていました。UMIN演題登録システムのサービス終了をお伝えするメールを、学会担当者様、学術集会運営担当者様、医療関係者様、演題登録システムに関わりのある方々に送信した時の反応は、非常に印象深いものでした。ご返信には、サービス終了を惜しむ内容もあれば、今までのサービス提供に感謝するメールなど、様々な反響をいただきました。中でも多かったご連絡は、演題登録システム有償化でのサービス継続でした。学術集会の演題応募を収集する一サービスに対し、これほど多くの方々から温かい言葉をいただけたことは、UMIN演題登録システムのサービスに関われたことを大変誇らしく思える瞬間でした。メールの反響は日に日に大きくなり、多くの関係者様方からの熱い要望を受けることになり、再度検討が行われました。その結果、演題登録システム有償化でのサービス継続が決定した際には、多くの研究者様、医療関係者様の助けがあってこその今の環境であることを痛感し、感謝の念に堪えませんでした。これからも感謝とともに、演題登録システムが日本の医学・医療情報に深く関わっていることへの責任と自覚を重視し、現状よりもさらに使いやすいシステムサービスを目指し、利用者の皆様からのフィードバックを積極的に取り入れ、継続的な改善を行うことで、日々研鑽を重ねていく所存です。

 最後になりますが、これからもUMINが日本の医学研究を支え続けるよう、微力ながらお役に立てるよう尽力させていただきます。