
35・30周年記念誌
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祝辞
文部科学省高等教育局医学教育課長
俵 幸嗣
この度、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)が設立35周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。
大学病院医療情報ネットワークは、国立大学病院の電子計算機を相互に接続して、様々な目的に活用することを目指して設立されました。設立当初は、8つの国立大学病院に限られて接続されていましたが、その後順次拡大し、現在では、インターネットを介して、学術関係団体から研究者個人まで、国立大学病院以外の医学・医療関係者も利用しております。
横井英人協議会長、木内貴弘センター長をはじめ、これまでに関わってこられた全ての職員の皆様のご尽力に、心から敬意を表すとともに、東京大学医学部附属病院をはじめとする大学病院など関係の皆様の多大なるご支援に対し、厚く御礼を申し上げます。
近年、情報技術の発展は目覚ましく、医療及び学術情報の高度化はますます重要になっております。そのような中、大学病院医療情報ネットワークは、利用登録者数を毎年、伸ばし続けており、提供される情報サービスについても、研究用、教育・研修用、診療用等と多岐にわたっており、大学病院の使命とされる研究、教育、診療に対応しております。このことは、大学病院医療情報ネットワークが日本における医学・医療分野のもっとも有力な公的ネットワークに発展を遂げていることを意味しており、誠に慶ばしい限りであります。
情報技術の発展だけでなく、医学・医療分野は教育や研修の変遷にも対応が必要です。平成16年度から医師の臨床研修が必須化されたことに伴い、大学病院医療情報ネットワークでは卒後臨床研修医用オンライン臨床教育評価システムの運用を開始いただきました。現在では、卒後研修だけでなく医学部学生の臨床実習の評価を行う卒前学生医用オンライン臨床教育評価システム運用を開始しており、医学生の臨床実習から、臨床研修医の臨床研修までをシームレスに評価ができます。文部科学省では、令和4年度に医学教育モデル・コア・カリキュラムを改訂いたしましたが、改訂版に対応したオンライン臨床教育評価システムを速やかに提供いただいたことをこの場をお借りして深く御礼申し上げます。
加えて、大学病院医療情報ネットワークでは、個別症例データシェアリングシステムの運用を行い、臨床研究の匿名された個別症例データをサーバーで保管することで、臨床試験データの改竄・捏造や研究者に不利な統計解析結果の隠蔽の防止を図るとともに、匿名化された症例データをバックアップやセキュリティ体制の整備されたUMINデータレポジトリにより、将来にわたってデータが散逸することなく管理され、データの共有による新しい治験の発見に利活用されるなど、我が国の医学研究の発展に寄与しております。
大学病院医療情報ネットワークが、今日このように発展し、各方面から高い評価を得ておられますことは、運営委員会・協議会及びこれを支える関係者の皆様のたゆみない御努力のたまものであり、深く敬意を表する次第であります。
今後とも大学病院医療情報ネットワークが設立35周年の節目を契機として、我が国の医学教育・研究への貢献と医学・医療上の交流を先導する存在として益々発展されることを祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。