35・30周年記念誌

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UMINセンターの日常

UMINセンター副センター長
東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野准教授
奥原 剛

 UMINセンターは、東京大学医学部附属病院の管理研究棟という、歴史と趣を湛えた建物の4階にあります。レンガ造りの建物に入り廊下を進むと、天井にはむき出しのパイプが複雑に交差し、時代の面影を感じさせます。無数の人々の足音に磨かれ艶を帯びた廊下は、時と人の記憶を静かに物語っています。4階に上がり右へと進み、幾度となくペンキが塗り重ねられ趣を増したクリーム色の鉄の扉を開けると、そこがUMINセンターです。
 UMINセンターの朝は9時前から始まります。9時前に“事務局”と呼ばれる部署のメンバーが出勤してきます。
「今朝すごいいい夢見てさあ」
「へえ、よかったじゃん」
「〇〇ちゃんが夢に出てきてさあ」
「最高じゃん」
 といった男性メンバーのほのぼのとした会話で朗らかに始まる朝もあります。その傍らで女性のメンバーが、その日みなさんが飲むコーヒーと緑茶とルイボスティーを大きなピッチャーに淹れて用意してくれます。今どきは「女性がお茶くみ」というのは時代錯誤なのだと思いますが、私はいつも「ありがたいなあ」と思いながらいただいています。10時前になるとエンジニアのメンバーが出勤してきて、20名超のUMINセンターの全員がそろいます。
 UMINセンターでは毎日何十通ものメールが飛び交います。10年ほど前に私がUMINセンターの一員になったときは、「なんで対面の口頭で共有しないのだろう?」と思ったこともありました。しかし、メールだと一度に全員に情報共有ができて記録にも残るというメリットがあります。メールに面喰ったかつての私が時代錯誤だったのでしょう。
 もちろん対面の会議もあります。テーマごとに週にいくつもの会議があります。毎週木曜日の15時からUMINセンターの全員で定例会議を開きます。定例会議ではエンジニアの一人ひとりがその週の業務の進捗を報告します。事務局からはUMINのサービスの利用状況データ等が報告されます。しかし、UMINセンターは4つの小部屋に分かれていて、20名超の全員が集まれる大きな部屋がありません。そのため各人が座席から同時にZoomに接続して定例会議を行います。
 UMINセンターの全員が対面で集まる年に一度のイベントが忘年会です。UMINセンターのほとんどのメンバーが参加します。皆さんで食事とお酒を共にすると、各人の知られざる一面が明かされることもあります。個人情報ですから詳しくは書けませんが、メイド喫茶が好きな男性や、実はかなりの酒豪の女性など。毎日顔を合わせているのに、実はお互いのことをほとんど知らないのかもしれませんね。
 そして年が明け、UMINセンターの新しい1年が始まります。縁があって今この時この場所に集まった皆さんの、どこにでもあるようでここにしかない日常が、UMINセンターの運営を支えてくれているということを、記念としてここに記しておきたいと思いました。