
35・30周年記念誌
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UMINセンター35周年に寄せて
UMIN担当システムエンジニア
株式会社 日立製作所
石井 雅人
私がUMINの担当SE(System Engineer)として着任したのは2012年4月のことで、サーバ室の移設と第6期システムが稼働した直後でした。当時はUMINシステムの全貌を理解できておらず、Webサービス数の多さに圧倒されたことが強く印象に残っています。また、UMINは、過去の膨大な資産を継承しつつ、時代に即したシステムを構築することが可能な環境にあるため、最新のOSや開発言語の適用、様々なインフラ技術の導入など、常に進化し続けられることが特徴であることも痛感した一つとなります。このような中で、特にインフラ関連の進歩は著しく、先進的な技術をシステムに取り込むため、検討しながらシステム構築対応してきたUMINシステムの環境について触れたいと思います。
第6期システム中で大きく変化したものとして、仮想環境とユーザインタフェイス向上が挙げられます。仮想環境としては、ハードウェアの進歩も後押しし、運用で十分な性能を適用できることを検証しました。特に処理負荷の低いサーバに関しては、サーバの集約から台数削減を実現でき、これ以降、UMINセンター内で仮想環境での構築が浸透していきます。また、この頃にはスマートデバイスの進歩が著しく、特にスマートフォンからのアクセスが増加しました。UMINのWebサービスにおいてもユーザインタフェイスを意識したデザインを採用するようになり、2013年頃にはUMINホームページを刷新し、現在のデザインとなりました。この点からも、UMINは常に利用者の立場でサービスを提供する姿勢があると改めて感じられました。
UMINセンターでは5年周期でシステム機器の更新を実施しており、私は第7期システムの構築が初めての体験となりました。構築では第6期中に検討した仮想環境を導入し、ハードウェアの最適配置などでシステムを一層効率化すると共に、ユーザ利用面でのサービス向上を重視し、ユーザ数増加に伴うメールセキュリティ強化への対応でメールアプライアンス機器も刷新するなど、システム性能面が向上しました。システムとしては安定稼働し始めた直後、新型コロナウイルス感染症がUMINの稼働維持対応に影響を及ぼしました。UMINセンターの設置している場所が大学病院内であることも関係し、それまでUMINセンターへのごく普通の出勤が制限される事態になり、その対応が急務となりました。世間でもリモートワーク、在宅ワークなどの環境整備が取り沙汰され、UMINセンターもリモートアクセス環境整備を急ピッチで実施しました。ここで功を奏したのが、VPN接続環境になります。第7期システム時にはVPN接続によるリモート接続環境は整えていました。この環境を急遽利用するため、設定と動作確認を短期間で実施し、在宅でのリモート接続が可能になりました。以降本環境は現在も運用し続けています。
このような状況において2024年時点で稼働している第 8期システム構築を実施しました。第 8期の対応で大きなものとしては、メールのセキュリティ対応が挙げられます。UMINメールアドレスは、UMIN設立当初からのユーザが学会誌、論文誌などに利用されている方も多く、メール環境は重要なサービスの一つです。一方で、UMIN以外のメールサービスが一般利用に普及しており、UMINのメールサービスとしては一部縮小してもよい時期に来ているのではということから、個人として登録しているユーザに対してはメール転送のみサポートすることに方針転換しました。近年のメールはセキュリティ認証が強化されてきており、UMINのメールシステムも対応することが必須となり、日々進歩している認証機能に継続的に対応することが求められる状況です。このような機能に対応することは、UMINシステムが大切にしているユーザビリティの向上にも繋がると考えられ、今後も利用者にとって更に使いやすいシステム、サービスの提供を心がけて参りたいと考えております。また、2023年12月には、今後の耐震性を考慮したサーバ室移設が重要な対応でした。新旧サーバ室は容積がことなるため、システム構成に変更はないものの、機器類の配置を変更するために機器間の配線構成変更が生じました。移設後のシステム起動時はこの上ない緊張感がありましたが、無事移設完了した時は達成感が凌駕しました。
UMINの今後を考えると、システムは、新技術への対応も積極的に実施しつづけており、現在はオンプレミスでの構成ですが、将来的に、一部クラウド化など時代の流れに対応していくと思います。UMINセンターが設立35周年を迎えたことは非常に喜ばしく、更に、UMINセンターのシステムのこの先も先端技術を取り入れつつ進化し続ける姿を見ながら、益々の発展を切望しています。