35・30周年記念誌

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UMIN 35周年のお祝いと更なる将来への期待

元UMIN協議会会長
前熊本大学病院医療情報経営企画部長・教授
宇宿 功市郎

 UMIN 30・35周年、おめでとうございます。
 UMINの立ち上げから35年経ち、今回、UMIN 30・35周年記念誌に寄稿をさせていただく機会をいただきましたこと、光栄なことだと思っております。私は平成21年度から平成23年度にかけてUMIN協議会長を務めさせていただき、木内先生を始めとして、UMINセンターの皆さま、加えてUMINを様々な面から支えておられる皆さま方とUMIN運営に関わらせていただいたことを大変ありがたいことであったと思っております。

 この35年間は、情報通信技術の進歩とそれに伴う変化を日常の活動に如何に生かし、新たな技術の創出に繋げていくかが各分野、とくに医学医療の分野でも議論が行われ、実践と現場への導入に取り組まれた時代であったと思います。

 UMINのように多種多様の機能を兼ね備えた情報システムの構築運営には、1)情報の利活用を行うための情報発生源での情報入力とコントロール、蓄積アーカイブするための情報項目と形式の共通化、標準化、2)これらの事項をなかなか決められないことで発生する労力増大をコントロールすること、3)利活用の範囲が医療現場での業務での利用から、検査データの共有、X線画像の共有、臨床研究での活用へと発展していくこと、4)医療安全での利用、医学医療教育での利用、セキュリティ確保、個人情報保護などのリテラシー確立と情報の取り扱いをコントロールすること、5)医療情報利用者の範囲が広がり、参加者の職種の拡大に伴って要求内容や項目が多くなり、入力量が増える中で、アーカイブを的確にコントロールすること、など多方面にわたることを考慮に入れておくことが必要になります。これら多岐の課題に細心の気を配りながらUMINの構築、運営、発展がなされてきているわけです。更に、どのように情報を取り扱うか、取り扱えるか、また技術的枠組みが発展した際にはそれまでの情報の蓄積アーカイブをいかに継続していくかについて、システムの構築時点のみならずその後の技術発展の方向性をみながら全体の構築とその後の整合性のとれた更新を行うことが必要になっています。これらの複雑で困難な作業を木内先生、UMINセンターの皆さんが、たゆまぬ努力で35年に渡り続けられてきたことは驚異のことであると感銘を受けています。

 私の在任中には、INDICE StandardにおいてCDISC標準による臨床研究登録、会員制ホームページサービスでWiki/BBS/Blogの提供、UMIN IDを用いたシングルサインオンに関する共同研究、UMIN WebメールシステムでS/MIMEを用いた暗号メールシステムの運用、簡易版EPOC(Minimum EPOC)の運用、クラウド版のINDICEの開発、UMIN情報システムの更新、UMIN利用者情報(所属機関等)の毎年度ごとの更新の義務化、誹謗中傷書き込み等のクレームについてホームページ調査委員会で判断する仕組みの構築など、臨床研究、医学教育支援、シングルサインオン等での利便性向上、セキュリティ向上に取り組み、これらのことを確実に実行されました。その他、国立大学病院を始めとして日本全体の医療関連機関、医療従事者向けに多くの仕組みの構築、運営、提供をUMINセンターでは継続して行われており、現在では様々な活動を行う際に欠かすことの出来ない仕組みとなっています。今後の人工知能AIを活用しての活動を行う際の貴重な情報源ともなっています。

 このようにUMINは、情報技術の進歩・発展の創世期から構築、運営を開始され、たゆまぬ努力で発展を遂げられてきています。今後、日本全体の医療関係をはじめとする情報集約の基盤としての活用が期待されますし、新たな仕組みを引き続き開発されていくものと推察しております。UMINが今後とも力強く前進されるものと期待しているところです。

 UMINの幅広さ、奥の深さ、これからの重要性は、なかなか言い尽くせないのですが、関係された皆様のご努力でこのように発展されていること、本当に素晴らしいことです。今後益々充実、機能拡張をされ、多大な能力を発揮されていくこと、祈念をしております。UMIN30・35周年、本当におめでとうございます。