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UMIN20周年とデータベースセンター

東京大学医学部附属病院事務部長
櫛山 博


 UMIN20周年おめでとうございます。 平成元年にUMINが設置され早くも20年がたちましたが、その間のコンピュータの発展及びコンピュータをネットワークで結んだインターネットの普及はすばらしく、世界が大きく変わってきました。これは、我々事務においても同じで、これまでの仕事の方法が大きく変わりました。現在は、東大病院に設置されました「国立大学病院データベースセンター」(以下、「DBC」と記載)で調査集計等を行っています「病院資料」一つに取りましても、私が文部省医学教育課の係員の時には、各大学病院に紙の調査票で依頼し、そこに手書きでデータを記入の上回答いただき、送付いただいた調査票を集計項目・大学病院別に整理し、当時新宿区若松町(現在の国際医療センターの前当たり)にありました総理府統計局に持ち込み、集計方法などを説明し、集計をしていただいていました。そこでは、大勢の女性がそろばんで合計や縦横の検算を行っており、その風景に圧倒されたのを今でも覚えています。検算が合わないと電話連絡があり、その内容を各大学に電話で伝え、電話で回答いただき、調査表の数字を修正し、地下鉄丸ノ内線に乗り、総理府統計局まで持参し説明していました。まだ、FAXが設置され始めた頃で、FAXの利用もなかった頃の話です。
 その後、病院資料の集計は、東大病院の中央医療情報部で集計いただくことになり、東大病院に通っては、当時中央医療情報部長の開原先生と集計内容などについて打合せを行ったのを覚えています。開原先生からは、中央医療情報部の端末を文部省に1台設置していただき、NTTの専用回線(当時最も早い1200bpsでした。)で結び、集計内容が文部省医学教育課で閲覧やグラフ化できるようにしていただきました。当時の文部省としては画期的なものでした。開原先生には大変お世話になり、ありがとうございました。
 UMINを活用している事務的なものでは、文部科学省からの通知等を印刷して郵送していたものを、UMIN上に掲載することにより迅速・省力化出来、またデータとしての蓄積が可能となるような文書広報システムや各大学病院の患者数情報が毎月リアルタイムで参照でき、各大学病院の運営上にも有益な患者票等収集システムなどを構築していただきました。これは、迅速な情報収集や情報提供を可能とし、各大学病院の運営改善のためのデータとして活用されております。
 現在、UMINとDBCで協議を進め、平成20年度中には実現させたいと思っていることとして、一部の大学病院の担当者が集計して提供されている毎月の診療報酬請求額について、患者票等収集システムと同様に各大学病院で入力いただくことにより、各大学病院で活用できるようなシステム開発・提供があります。このことについては、現在文部科学省とも協議中です。また、DBCでの調査依頼、データの収集、集計結果の各大学病院への提供について、現在のメールやCD-Rの郵送による提供からUMINのVPNを活用した情報伝達方法を導入すべくUMINとDBCで平成21年度当初の実施を目指して協議を進めております。
 さらには、UMINのVPNを利用することにより、DBCのサーバに格納されたDPCデータを各大学病院の端末で分析できるようなシステムについても検討を進めております。これは平成21年度中には実現したいと考えております。
 このようにDBCの一層の活用や事務的な業務改善には、今やUMINが欠かせないものとなってきております。インターネットの飛躍的な普及は今後もますます速度を増して進むものと考えられ、そのような中で事務的なことのみならず教育や研究面など様々な面でUMINの活躍が期待されているところです。
 今後のUMIN一層の発展とUMINによる各国立大学病院をはじめとした関係機関の一層の連携を祈念しております。
 なお、DBCについて、馴染みのない方もおられると思いますので、紙面の余白をお借りしてDBCの運営体制等の概念図を掲載させていただきます。