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UMIN発足20周年に寄せて

大阪大学歯学部附属病院口腔総合診療部准教授
長島 正


 UMIN発足20周年をお祝いし、心からお慶び申し上げます。
 私がUMINの存在を知ったのは、10年ほど前のことですが、ある学会の演題にオンラインにて応募した時であったと記憶しています。その時は、単にオンライン登録システムのエンドユーザの1人として利用しただけで、それ以降、UMINの存在を意識したことはありませんでした。
 その後、当時直属の上司であった野首孝祠先生(現大阪大学先端科学イノベーションセンター特任教授)の下、歯科医師臨床研修制度の体制作りに関わるようになり、国立大学歯学部附属病院卒後臨床研修共通カリキュラム編集作業に携わった一環として「臨床研修評価システム」を開発しました。このシステムは、Visual BASICを用いたWindowsアプリケーションで、実際に大阪大学歯学部附属病院における臨床研修評価に活用し、現場の研修医および指導医の要望を取り入れ、毎年バージョンアップを重ねていました。
 一方で、平成18年度4月から歯科医師臨床研修制度が必修化されることになり、臨床研修制度に対する国民への説明責任を果たすため、全国共通の評価システムの必要性が論じられるようになりました。臨床研修必修化まで1年となった平成17年春、国立大学歯学部附属病院長会議の常置委員会である歯科医師臨床研修問題ワーキングチーム(座長:俣木志朗東京医科歯科大学教授)において、オンライン評価システムの開発に着手することが決まり、同ワーキングチームの一員であった野首教授から「EPOCに関する情報を出来るだけ集めるように」との指示がありました。当時私はEPOCの存在を知りませんでしたので、大阪大学医学部附属病院の臨床研修センターのホームページにてEPOCがオンライン医科臨床研修評価システムの愛称であること、さらにUMINにて運用されていることを知り、早速UMINのホームページを訪れました。
 久しぶりにUMINのホームページを訪れた私がまず感じたのは、トップページの情報量が非常に多岐にわたり充実していることでした。その中でEPOCのポータルサイトを探し出し、公開されている情報をすべてチェックしました。その結果、歯科版オンライン評価システムの開発にはEPOC開発の経験を持つUMINに協力いただくことが不可欠であると判断し、野首教授と私はUMINセンター長の木内貴弘先生にお電話を差し上げ、EPOCの歯科版に相当するシステムの開発を考えていること、可能であればUMINとしてご協力願いたいことをお伝えし、木内先生のご快諾を得た上で、事前打ち合わせとしてUMIN事務局を訪れることになりました。
 最初にUMIN事務局を訪れた際、私が開発したWindowsアプリケーションとしての「臨床研修評価システム」を持参し、これをたたき台としてオンライン版評価システムを開発したいとお話ししたところ、木内先生から私が開発したシステムを高く評価頂き、感激したことを昨日のように覚えています。
 その後、オンライン評価システムの開発が正式に決まり、システムの名称をDEBUT(Dental training Evaluation and taBUlation SysTem)とすることを決め、ほぼ毎月のようにUMIN事務局に通いながらその開発作業をすすめました。DEBUTを開発する上でEPOCというお手本が非常に役立ったことは言うまでもありません。しかし、歯科研修はその実施形態が医科研修とは著しく異なっていることから、独自の機能として国立大学共通カリキュラムの研修項目など症例数の入力や数値的資料の収集も可能とし、さらに各研修施設での研修状況に柔軟に対応できるようなシステムとしたいなど、無理を承知でお願いしました。このような我々のわがままにも柔軟に対応いただき、10ヵ月足らずという短い開発期間であったにも関わらず立派なシステムとしてリリース出来たのは、木内貴弘先生を始め、門川英男さん、北村奈央さんの献身的なご協力の結果であると深く感謝しております。
 さて、私自身、DEBUTの開発に携わることによって、UMINに対してより親しみを感じるようになりました。現在、UMINが登録者に対して公開している色々な機能のうち、電子メールシステム、ファイル交換システム、メーリングリストシステムについては、私が日々の教育、研究および臨床活動を行う上で重要なインフラとして欠かせないものとなっています。このように、データベースシステム、学会抄録登録システム、査読システム、EPOC、DEBUT等に代表される大規模システムだけでなく、痒いところに手の届くツールとしての機能も有していることがUMINの可能性をさらに高めているのは明らかです。
 最後になりましたが、UMINが医療関係者に必須のツールとして、今後益々発展されますことを祈念いたします。