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オンライン歯科臨床研修評価システム(DEBUT)

東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部長
同歯科臨床研修センター長
国立大学附属病院長会議常置委員会
歯科医師臨床研修ワーキングチーム座長
俣木 志朗


 UMINが発足して20周年を迎えられたこと、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
 私とUMINとの関わりについて顧みますと、当初はUMINとは、私にとっては医学・医療に関する情報の相談役のようなものでした。ですから、私はいろいろな医学・医療の情報を利用していた、単なるエンドユーザーの一人にすぎませんでした。しかし、平成18年度から歯科医師臨床研修制度が必修化されることになり、私とUMINとの距離は急速に近づくことになりました。
 平成10年代の初頭から歯科医師臨床研修制度の必修化へ向けての準備作業に関わっていた関係上、私は各種の会議において歯科医師の臨床研修制度に関連する仕事のお手伝いをすることが多くありました。そのひとつとして、平成16年度には国立大学歯学部附属病院長会議の下に歯科医師臨床研修必修化に向けて設置された検討ワーキングチームがありました。そこでは歯科医師臨床研修の必修化を目前に控え、諸制度の整備、諸課題への対応準備を進めてゆくにあたり、約半年間をかけて歯科医師臨床研修制度の置かれている現状および背景について種々検討を行いました。そして、平成17年3月のまとめの段階では、研修評価システムの整備の一環として、オンライン医師臨床研修評価システムEPOCと同じような評価システムの開発を歯科医師臨床研修でも目指すべきであることを答申書に盛り込みました。その背景には、その後にDEBUTの開発に関わるワーキングメンバーとなった大阪大学歯学部の野首先生、長島先生を中心とした、国立大学歯学部附属病院卒後臨床研修共通カリキュラムに基づいた研修項目の集計や研修システムの開発を進めてきた実績がすでにあったからです。しかし、答申書にはシステム開発の文言を書き入れたものの、実際にはどのように進めていけるかは皆目わからない状態でした。
  一方、国立大学附属病院長会議の常置委員会においても歯科医師臨床研修問題ワーキングチームを立ち上げていただき、必修化に向けての準備を行いました。歯学部を持たない国立大学附属病院の歯科口腔外科においても、研修歯科医の受け入れ定員ベースからみてもかなりの規模で研修が行われており、当時委員長であられた京都大学の内山先生には大変お世話になりました。
 今から思いますと、国立大学附属病院長会議の下での活動が多少なりともDEBUTの開発につながったものと考えています。 
 4月上旬になって、東大病院の櫛山事務部長からオンライン歯科臨床研修評価システムの開発について、大至急UMINセンターの木内先生と相談するようにとの連絡が入り、それから急速に話が進展しました。
 当初は(実は今でもそうですが)、何をどうすればよいのかまったく分からず、UMINセンターのサポートが唯一の頼りでした。また、その当時2年先行して実施されていた兄貴分のオンライン医師臨床研修評価システムEPOCの実績がおおいに助けになったことは言うまでもありません。   
 UMINセンターに何度も足を運んでは、木内先生、SEの門川さん、北村さんほかセンターの皆様には本当に有益なアドバイスを数々頂きました。私にとって最も印象的だったのは、DEBUTの命名についてです。評価システムの主要な仕様がまだ何も決まっていない段階で、すでに木内先生はDental training Evaluation and taBUlation sysTemという名称からDEBUTという、まさにこれからデビューしようとしている新歯科医師臨床研修制度の評価システムに実に相応しい、素晴らしいニックネームを提案されました。木内先生のセンスの良さと鋭さに感服したことを今でもよく覚えています。平成18年度運用開始を目指して、急ピッチに準備を進めることができましたのも、UMINセンターの皆さんのおかげと、ワーキングチームのメンバーの努力によるものです。
 平成18年3月14日に行われたDEBUTの全国説明会では、DEBUTに対する期待の大きさを反映して、全国から歯科大学・歯学部附属病院はじめ医学部附属病院、一般病院の教職員が多数集まりました。1回だけでは会場に収容しきれず、2回目の説明会を春分の日に開催しました。説明会のたびにプロのビデオ収録チームが会場に派遣されてきたのを見て、さすがUMIN事務局!と感心したものです。後日説明会のビデオ画像を見ることができたとしても、実際にPCを使いながら体験したいというユーザーの方々の要求が非常に多かったようです。
 今から考えますと、多くの方々のご尽力、ご支援がなければオンライン歯科臨床研修評価システムDEBUTは生まれていなかったのではないかと思います。多くの関係者の思いがいっぱい詰まったDEBUT、この開発に関わった皆様に心から感謝を申しあげます。私自身としては、ほとんど何も貢献できたことはありませんが、開発準備段階から現在までDEBUTに関わる機会を得たことに深く感謝しております。
 今後さらにDEBUTが普及するように力を注ぐとともに、UMINのさらなる発展を心からお祈りしております。今後ともご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。