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祝 辞

文部科学省高等教育局医学教育課長 
新木 一弘

 本日ここに、大学病院医療情報ネットワーク二十周年記念式典が挙行されるに当たり、心からお祝い申し上げます。
 大学病院医療情報ネットワークは、昭和六十一年度に全国立大学の病院業務がコンピュータ化されたことにともない、大学病院間の医療、教育、学術及び業務上の改善・協力の促進を図るために、平成元年度に東京大学を拠点として、大阪大学など八大学での運用が開始されたことがはじまりであります。
 当初は、国立大学病院に限られたものでありましたが、平成五年度からは、インターネットを介したサービスを開始し、学術関係団体から研究者個人まで、国立大学病院以外の医学・医療関係者も利用ができるようになりました。提供される情報についても、着実に発展を遂げられ、研究・教育・診療・大学病院業務等に関する非常に多岐にわたる情報を提供し、医学医療関係者にとって大変魅力的なものとなっております。現在、利用登録者が約三十万人を超え、国際的にも例のない大規模かつ多機能な公的研究教育情報ネットワークとして、様々な医学研究教育活動に利用されるに至りましたことは、誠に慶ばしい限りであります。
 このように、大学病院医療情報ネットワークは、最新の医学・医療情報の提供、医学・医療上の交流の支援という観点から、広く一般の医学・医療関係者にも情報を提供し、その医療・教育・学術・研修活動を支援するなど、我が国の医学・医療の発展に大きく貢献するとともに、情報技術応用分野でも先進的な役割を果たしてこられました。
 大学病院医療情報ネットワークが、今日このように発展し、各方面から高い評価を得ておられますことは、運営委員会・協議会及びこれを支える関係者の皆様のたゆみない御努力のたまものであり、深く敬意を表する次第であります。
 我が国の医療を取り巻く環境は、少子高齢化の急速な進展、医療の高度化等により大きく変化し、国民の健康に対する考え方も一段と多様化してきております。このような状況において、医療及び学術情報の高度化はますます重要になっております。
 治験・臨床研究については、原則として事前に当該情報を適切に公開することで、その透明性を確保し、もって被験者保護と治験・臨床研究の質が担保されるようWHO(世界保健機関)が主導して世界的に取り組んでいるところであります。また、ICMJE(医学雑誌編集者国際委員会)に参加する雑誌に投稿する際には、原則としてWHOの認めるWHO Primary Registry等に事前に当該研究を登録しておく必要あります。 このような状況の中、今年10月に、WHOが認定する治験・臨床研究登録機関として、大学病院医療情報ネットワークの臨床試験登録システムを含む『Japan Primary Registries Network』が認められたところであり、国内医療関係者のみならず、各方面から注目され、その期待は大きいものがあると存じます。
 今後とも大学病院医療情報ネットワークが設立二十周年を契機に、今後益々の充実発展を遂げ、すべての医学・医療関係者が共通に必要としている最新情報や知識を提供し、医学・医療上の交流を積極的に支援し、日本の医療のみならず、世界の医療の向上に一層貢献されることを心から祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。