平成8年度老人診療報酬等の改定の概要
平成8年度老人診療報酬等の改定の概要
I 改定の趣旨
1 今回の改定は、平成7年l2月の中央社会保険医療協議会の意見を踏まえ、
老人の心身の特性にふさわしい医療の確保、良質な医療の効率的な供給という
考え方を基本とし、老人診療報酬、老人保健施設療養費及ぴ老人訪問看護療養
費の改定を行うものである。
2 方針
(1)老人慢性疾患患者にふさわしい療養環境の整備を図るため、
@療養型病床群の療養環境に対する評価の充実を図る。
A療養型病床群入院医療管理料の改定、療養型病床群移行計画加算の新設等
により、一般病棟、老人病棟の療養型病床群への移行の促進を図る。
B入院時医学管理科、看護料について、老人の長期療養に対する適正な評価
を行う。
(2)老人慢性疾患患者の心身の特性にふさわしい外来医療の提供のため、慢性
疾患に対する指導、検査、投薬及ぴ注射を包括した老人慢性疾患外来総合診
療料の新設を行う。
(3)老人の病態に応じた適切なリハビリテーションを提供するため、急性期り
ハビリテーション、入院・外来における維持期リハビリテーションの評価の
充実を図る。
(4)在宅医療の充実を図り、在宅の寝たきり老人が安心して療養できる環境を
整備するため、
@24時間連絡体制の評価、特別地域加算の新設等により、老人訪問看護事
業の推進を図る。
A在宅末期医療に対する評価の充実を行う。
B訪問指導及ぴデイ・ケア等の推進を図る。
(5)痴呆性老人対策の推進のため、老人性痴呆疾患治療病棟・療養病棟の評価
の充実及ぴ老人性痴呆疾患療養病棟の施設基準の見直しを行うとともに、痴
呆性老人に対するデイ・ケアの強化を図る。
(6)付添看護解消計画加算の継続等により、付添看護の解消の徹底を図るとと
もに、老人その他看護の人員配置基準の引上げを行う。
(7)入所者の入所期間に応じた基本施設療養費の評価を行う等、老人保健施設
における適切な施設療養を確保する。
(8)在宅の寝たきり老人等に対する訪問歯科医学管理を評価し、老人在宅歯科
医療の推進を図るとともに、老人の特性に応じた歯周疾患指導料の新設等に
より、老人歯科医療の充実を図る。
(9)保険薬局による在宅の寝たきり老人等に対する薬学的管理指導の評価の充
実を図るため、寝たきり老人訪問薬剤管理指導料の算定回数制限の緩和等を
行う。
U 具体的内容(主要項目)
[医科]
1 老人慢性疾患患者にふさわしい療養環境の整備
(1)療養型病床群の療養環境に対する評価の充実
療養型病床群療養環境加算(T)(1日につき) 40点 → 100点
療養型病床群療養環境加算(U)(1日につき) 20点 → 60点
療養型病床群療養環境加算(V)(1日につき) 30点(新設)
療養型病床群療養環境加算(W)の条件に加えて、食堂、談話室及
び浴室が整備されていることを評価
療養型病床群療養環境加算(W)(1日につき) 10点 → 15点
(2)療養型病床群への移行の促進
@療養型病床群移行計両加算の新設
療養型病床群移行計画加算(1日につき) 30点(新設)
一般その他看護、老人特例看護又は老人その他の看護を行う病棟が、
平成9年9月末までに療養2群入院医療管理を行う病棟へ移行する
ための人員増等に関する計画を策定・実施している場合に、看護料
の加算として算定。
A療養2群入院医療管理料の引き上げ
療養2群入院医療管理科(T)(1日につき) 813点 → 853点
療養2群入院医療管理科(U)(1日につき) 749点 → 778点
療養2群入院医療管理科(V)(1日につき) 698点 → 725点
療養2群入院医療管理科(W)(1日につき) 664点 → 690点
B小規模病院の病棟における療養型病床群と一般病床との併存の特例
100床未満の小規模病院の病棟のうち、一定以上の看護・介護体
制を満たす病棟について、特例的に、1つの病棟内の療養型病床群
とその他の一般病床との併存を評価。
(3)老人の長期療養の適正評価
@療養病棟、老人病棟等における入院時医学管理料の評価の見直し
療養病棟、老人病棟(1日につき)
1月以内 265点
3月以内 216点 3月以内 225点
6月以内 149点 → 6月以内 162点
1年以内 129点 1年以内 137点
1年超 98点 1年超 105点
A一般病棟における1年を超える老人入院患者の看護料に逓減制を導入する。
2 老人慢性疾患患者の心身の特性にふさわしい外来医療の提供
(1)老人慢性疾患外来総合診療料の新設
老人慢性疾患外来総合診療料(1月につき)
イ 院外処方せんを交付する場合 1470点(新設)
ロ 院外処方せんを交付しない場合 1770点(新設)
医療機関の選択により、老人慢性疾患を主病とする患者に対して、
計画に基づき1月に2回以上の指導及び診療を行った場合に、1月
に1回に限り算定。主病に関する生活指導、検査、投薬及び注射の
費用を包括して評価。
(2)医療機関機能に応じた外来診療の評価
@紹介率に応じた病院の初診料の紹介患者加算の新設
A200床以上の病院の初診の特定療養費化
B病診連携を踏まえた情報提供料の見直し
3 老人の病態に応じた適切なリハビリテーションの提供
(1)総合リハビリテーション施設における老人リハビリテーションの評価
急性期リハビリテーションの充実を図るため、総合リハビリテーシ
ョン施設におけるリハビリテーションを老人理学療法科(T)、老
人早期理学療法科(T)及び老人作業療法科(T)として評価。
老人理学療法科(T)、老人作業療法科(T)(1日につき)
6月以内 複雑なもの 690点(新設)
6月以内 簡単なもの 200点(新設)
6月超 複雑なもの 600点(新設)
6月超 簡単なもの 175点(新設)
老人早期理学療法科(T) 740点(新設)
(2)維持期リハビリテーションの評価
@入院生活リハビリテーション管理指導料(1月につき)300点(新設)
老人病棟、療法病棟に入院している老人患者に対し、理学療法士又
は作業療法士が行う病棟での日常生活動作訓練及び指導を評価。
A老人リハビリテーション外来移行加算(1日につき) 30点(新設)
外来リハビリテーションにおける、入院治療から在宅療法への移行
のための訓練及び指導を評価
4 在宅医療の推進
(1)老人訪問看護事業の推進
@24時間連絡体制の評価
24時間連絡体制加算(1月につき) 2、000円(新設)
利用者からの相談に応じられる体制にある訪問看護ステーショ
ンを評価。
A過疎地域における訪問看護の推進
特別地域加算(l日につき)訪問看護基本療養費の100分の50を加算
過疎地域の訪問看護ステーションにおいて、患家への訪問に長時間
を要した場合を評価。
B急性増悪等の利用者について、主治医からの特別の指示に基づき2週間に
限り、週3日の訪問回数制限を緩和する。
(2)在宅末期医療の評価の充実
@在宅末期医療総合診療料の導入
在宅末期医療総合診療料(1日につき)
院外処方せんを交付する場合 1500点(新設)
院外処方せんを交付しない場合 1700点(新設)
A在宅老人ターミナルケア加算 1000点→1200点
算定要件を死亡前2か月以上の訪問看護から死亡前1か月以上の訪
問看護に緩和。
(3)寝たきり老人に対する在宅ケアの推進
@寝たきり老人在宅総合診療料(1月につき)
イ 院外処方せんを交付する場合 2200点→2300点
ロ 院外処方せんを交付しない場合 2500点→2600点
24時間連携体制加算 1500点→1600点
A寝たきり老人訪問診療料
寝たきり老人訪問診療料(T) 700点→ 790点
寝たきり老人訪問診療料(U) 730点→ 820点
急性増悪等により頻回な訪問診療を必要とする患者に対して2週間
に限り、週3日の訪問回数制限を緩和。
B寝たきり老人訪問看護・指導料
保健婦又は看護婦による場合 500点→ 530点
准看護婦による場合 450点→ 480点
急性増悪等により頻回な訪問看護・指導を必要とする患者に対して
2週間に限り、週3日の訪問回数制限を緩和。
C寝たきり老人訪問リハビリテーション指導管理科 500点→ 530点
D寝たきり老人訪問薬剤管理指導料
算定回数の制限を月1回から月2回に緩和。
麻薬管理指導加算 50点(新設)
E寝たきり老人訪問栄養食事指導料 500点→ 530点
F長時間の老人デイ・ケアの評価
老人デイ・ケア料(T)
5時間以上6時間未満の場合 510点→ 520点
6時間以上の場合 780点(新設)
老人デイ・ケア料(U)
4時間以上6時問未満の場合 710点→ 768点
6時間以上の場合 1028点(新設)
5 痴呆性老人対策の推進
(1)老人性痴呆疾患治療病棟及ぴ老人性痴呆疾患療養病棟の評価
老人性痴呆疾患冶療病棟入院料(1日につき)
3月以内の期間 1270点(新設)
3月を超えた期間 1170点(新設)
老人性痴呆疾患療養病棟入院料(1日につき)
老人性痴呆疾患療養病棟入院料(A)看護6:1、介護6:1
1100点(新設)
老人性痴呆疾患療養病棟入院料(B)看護6:1、介護8:1
1070点(新設)
従来の老人性痴呆疾患治療病棟・療養病棟入院医療管理料を廃止し
地域加算、精神科措置入院診療料、精神科専門療法料以外の診療料
をすべて包括した老人性痴呆疾患治療病棟・療養病棟入院料を新設。
(2)老人性痴呆疾患療養病棟の施設基準の見直し
痴呆性老人の長期療養にふさわしい施設としての老人性痴呆疾患療
養病棟の普及促進のために、施設基準を緩和。
(3)痴呆性老人に対するデイ・ケアの強化
老人デイ・ケアの痴呆性老人加算の新設
痴呆性老人加算 75点(新設)
デイ・ケアの対象である痴呆性老人10人につき、介護職員1人以
の加配を行い手厚いケアを行った場合に算定。
6 付添看護解消の徹底
(1)付添看護解消計画加算等の継続
老人付添看護解消計画加算(1日につき)
平成8年12月31日まで 20点
平成9年9月30日まで 10点
(2)老人特別介護料の長時間加算の拡大等
12時間または16時間を超えて特別介護を行った場合に、加算で評
価。
(3)老人その他看護の人員配置基準の引き上げ
重点指導対象病棟の対象範囲を「老人その他12」まで拡大。
(3月告示10月実施)
7 老人保健施設における適切な施設療養の確保
(1)入所者の入所期間に応じた基本施設療養費の評価
老人保健施設の家庭復帰支援機能の一層の強化を図る観点から、入
所時基本施設療養費について入所者の入所期間に応じた逓減制を導
入。
入所者基本施設療養費(T)(1月につき)
264、800円 → 入所の日から6月以内の期間 264、810円
入所の日から1年以内の期問 254、820円
入所の日から1年を超えた期間 244、800円
入所者基本施設療養費(U)(1月につき)
270、000円 → 入所の日から6月以内の期間 279、630円
入所の日から1年以内の期問 265、650円
入所の日から1年を超えた期問 251、670円
(2)痴呆性老人対策の推進
@老人保健施設デイ・ケアの痴呆性老人加算の新設 750円(新設)
A老人保健施設痴呆性老人ナイト・ケア施設療養費(1日につき)
7、450円→7、500円
特別老人保健施設痴呆性老人ナイト・ケア施設療養費(1日につき)
9、930円→9、980円
[歯科]
1 歯周疾患指導管理及ぴ歯周組織検査の評価
(1)老人歯周疾患基本指導管理科 65点(新設)
歯周組織検査加算 50点(新設)
(2)歯科口腔疾患指導管理科
歯周組織検査加算 50点(新設)
2 老人歯科慢性疾患生活指導の評価
(1)老人歯科慢性疾患生活指導料 170点 → 190点
3 在宅寝たきり老人等に対する訪門歯科医学的管理の評価
(1)寝たきり老人訪問口腔指導管理科 430点(新設)
[調剤]
1 内服調剤料
(1)一包化加算 20点 → 30点
(2)老人用製剤加算 25点 → 35点
2 在宅寝たきり老人等に対する訪問薬剤管理指導の推進
(1)寝たきり老人訪問薬剤管理指導料
算定回数の制限を月1回から月2回に緩和。
(2)麻薬管理指導加算 50点(新設)
麻薬が処方されている在宅寝たきり老人等に対する薬学的管理指導
を評価。
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