血液製剤  近年の輸血は、限られた血液資源をより有効に利用し、不用な成分 による副作用を少なくするために、血液成分のみを投与する成分輸血 が主流となってきた。  輸血の適応としては、血球成分の補充、循環血漿量の補充、血液凝 固因子の補充、有害物質の除去(交換輸血)などである。 a.全血輸血・・採血後72時間以内に使用するものを新鮮血、それ   以後21日までを保存血という。新鮮血のなかには血小板の他に   凝固因子が含まれる。新鮮血の適応は、止血困難な大量出血、大   量出血を来し易い手術、交換輸血など、保存血の適応は、循環血   液量が急激に低下する手術時の出血や外傷による出血性ショック   である。 b.濃厚赤血球・・血液バックを遠沈し血漿部分を取り除いたもの。   血漿成分が少ないので循環負荷が軽く、抗原抗体反応が少ないた   め、赤血球のみを必要とする貧血改善に広く用いられる。 c.新鮮凍結血漿・・採血後6時間以内に血漿を−18度以下に凍結   保存したもので有効期間は1年間である。血液凝固因子と蛋白分   画が含まれ、凝固因子、蛋白の補充、出血性ショックや低アルブ   ミン血症を伴う循環血液量の減少、血漿交換などに用いる。 d.血小板輸血・・1単位20〜30t中に40億個以上の血小板が   含まれている。室温保存で採血後約48時間まで使用されるが、   それまでの間ゆっくり振盪しなければならない。血小板産生低下   による白血病、再生不良性貧血、抗癌剤による骨髄抑制などに適   応する。 e.顆粒球輸血・・約5000tを処理することにより、1〜15億   個以上の顆粒球を採取する。難治性白血病や抗癌剤投与による二   次性好中球減少症、骨髄移植後の骨髄機能回復の見込みがあるも   のが適応となる。 f.その他・・血漿中の各蛋白分画を製剤化したものがあり、これら   は血液型や肝炎発生の問題も少なく合理的である。感染症の予防   治療に用いられるヒト免疫グロブリン製剤をはじめ、ヒト血清ア   ルブミン、ヒト蛋白血漿、血液凝固因子製剤がある。                             6−E