悪阻症状  妊娠初期に妊娠によっておこる消化管症状で、おう吐が頻発して食 事や水分の摂取が不能となり、体重減少、皮膚乾燥、尿量減少など栄 養障害の徴候のあらわれたもの。 〈要因〉1情緒障害:妊娠したくない願望、妊娠・分娩への恐怖、親       に対する異常な依存心、夫への反感や失愛、精神的スト       レスが誘因となっている場合が多い。     2内分泌の変調:妊卵の着床とともに黄体ホルモンや絨毛性       ゴナドトロピンが大量に分泌され内分泌環境に著しい変       化を生ずる。しかしこの変化があまりに大きく急激なた       め調整しきれない状態に陥りやすい。この失調状態は副       交感神経緊張状態をまねき、つわり症状を誘発する。 〈症状〉妊娠悪阻は、おう気、おう吐、食思不振、嗜好の変化を3大     特徴とするが、それぞれ程度は軽い。重症悪阻になると強い     おう吐をくり返し食事は見るのも嫌で、水分さいも摂取不能     で飢餓と脱水を主とした状態、すなわち極度のやせ、皮膚の     乾燥、舌苔、血液の濃縮、発熱、肝機能傷害による黄疸など     が発現。これがさらに極端になると、血圧下降、頻脈、無尿     意識障害、昏睡をきたし、ついには死亡することさえある。 (治療)@入院療法(心身の安静)     A心理療法:患者への思いやりを基礎にして訴せの理解、病      態の説明、励ましなどを行なう。     B食事療法:摂取可能であれば好きな物を少量ずつ与える。      摂取量が不十分な場合は輸液を行なう。悪心・おう吐が激      しく食事の摂取が困難な場合は絶食療法を行なう。     C輸液療法     D人工妊娠中絶 (看護)@心身の安静:精神的援助、環境整備、面会者の制限     A食事療法:水分を取りすぎない、朝の空腹時に少量の食物      を食べる、少量分食、糖分・炭水化物を多量に摂取、酢物      冷たい物が食べやすい。     B排泄の管理:排便調整、尿量・尿比重の観察、検尿(ケト      ン体)。     C身体の清潔:皮膚の観察・身体の保清。     D異常の早期発見                            6−W