児心音徐脈 胎児の基準心拍数120/分未満を徐脈というが、さらに100〜1 19/分を軽症、100/分未満を重症とよぶ。 @早発一過性徐脈(early deceleration) 子宮収縮に同期して起こる徐脈であり、収縮曲線の山頂と心拍曲線の 谷と一致する。このパターンは、児頭内圧の一時的亢進によったもの で、児の反応を示しており、良好なパターンと考えてよい。 A遅発一過性徐脈(late deceleration) 子宮収縮開始よりもやや遅れて徐脈がおこり、収縮曲線が最高に達し てからもまだ徐脈が続き、収縮が終わったあと、ある程度時間が経過 してから収縮前の心拍数に回復するもので、母児間におけるガス交換 の減少を示す。糖尿病、高血圧、妊娠中毒症、腎炎、予定日超過など の胎盤機能不全や母児低血圧、その他子宮収縮剤の過剰投与によって 子宮筋のけいれん性収縮がおこっても遅発一過性徐脈をきたす。 遅発一過性徐脈は常に胎児の危険を示すから、ただちに母体低血圧の 改善(側臥位・輸液)、母体循環血液量の増加(輸液)、酸素投与、 子宮収縮剤の中止、急速逐娩術などを行う。 B変動一過性徐脈(variable deceleration) 早発一過性徐脈・遅発一過性徐脈と異なり、子宮収縮と関連して常に 反復して起こるのではなく、起こったり消失したりする。多くの場合 心拍曲線はU型やW型を示す。これは臍帯が圧迫されて胎児の循環動 態が急激に変化するためにおこるもので、臍帯の下垂・巻絡・脱出な どによって起こる。 一過性のものは母体の体位変換などで消失するが、長時間持続する場 合には、輸液による母体循環血液量増加をはかり、酸素を投与する。 それでも改善しなければ急速逐娩術を行う。                             6−W