児心音 胎児の心拍数により生じる音。心拍音は、胎児胸壁→羊水→子宮壁→ 母体腹壁と伝わり、トラウベ型聴診器により音として捉えられる。 トラウベを用いての母体腹壁よりの聴取は早くて妊娠5ケ月、一般に は、6ケ月ごろより可能である。超音波ドプラー法では、妊娠11週 頃から検出が可能である。 <胎児心拍数の変化> @胎児心拍数基線:正常は毎分120〜160で、120以下を徐脈 160以上を頻脈という。徐脈が長く続くのは胎児仮死の兆候であり 100以下になれば胎児に重大な危険がさし迫っていることを示す。 A胎児心拍数基線細変動:ふつうの胎児心拍数図上で読み取れるのは 1分間2〜6回の基線の微細な変動である。変動の高さが小さくなり 1分間5回未満となったときは基線細変動の消失と判定される。これ は胎児の睡眠様安静状態や麻酔・トランキライザー投与などでも出現 するが、これが長く続いたり、遅発一過性徐脈と合併するときは重症 の胎児仮死である。 B一過性徐脈:以下の3種類がある。  a.早発一過性徐脈:胎児心拍数の一過性の減少のうち、その始ま    りや終わりが子宮収縮と同時に起こるもの(児頭の一時的圧迫    迫)  b.遅発一過性徐脈:胎児心拍数の減少開始が常に子宮収縮より遅    れるもの(子宮への血流減少や胎盤機能不全)  c.変動一過性徐脈:心拍数の減少開始時期も、減少の程度も変動    が大きいもので、子宮収縮ごとに一過性徐脈の形が変わる。(    臍帯の一過性圧迫) C一過性頻脈:胎児心拍数が一時的に1分間に15以上増加するもの をいう。子宮収縮・胎動・触診・音刺激などと関連して発生するが、 これは胎児が健康で反応性がよく保たれていることを示す。                             6−W