下腹部痛  種々の器質的疾患及び機能的状態によっておこる下腹部の疼痛。 産科的下腹部痛の原因疾患 (妊娠初期)  1.流産  2.切迫流産  3.子宮外妊娠 妊卵の着床部位の異常である。突然の下腹部痛が       おこる。卵管破裂の場合は激烈な仙痛で、子宮外出血も       始まり、時にはショック症状を程す。 (妊娠後期)  1.早産 妊娠24週から37週未満の分娩をいう。  2.胎盤早期剥離 妊娠中毒症や腹部外傷により起こる胎盤付着部       の剥離。腹部の疼痛、子宮筋の強直性収縮、性器出血が       主症状。重症例は胎児死亡、あるいは母体の出血性ショ       ク、DIC併発等引きおこすので、全身状態を改善しで       きるだけ早く分娩を終了させる。  3.子宮破裂 分娩に際して子宮体あるいは子宮下部の子宮壁が破       裂するものである。巨大児、狭骨盤、軟産道強靭、陣痛       異常、手術瘢痕などによって子宮下部が過度に伸展拡張       されておこる自然破裂と、外傷性子宮破裂がある。症状       として強烈な陣痛の反復、子宮収縮輪の上昇があり、破       裂症状として激しい穿刺性下腹部痛がおこる。また子宮       破裂による出血等のためショック症状に陥る。 (その他)  1.虫垂炎・卵巣腫瘍の茎捻転・便秘・下痢等妊娠に合併した場合       が考えられる。                            6−W