逸脱行為  社会や集団における社会的規範や価値観から逸脱した行為をいう。 逸脱か否かは、その人の属している社会の許容度によって決まるので 絶対的なものではなく、相対的な面がある。  アルコール中毒や薬物依存、性的偏倚などの人格障害に基づくもの や精神分裂病の昏迷状態や うつ病の躁状態などにみられる。 〈看護のポイント〉 1.人格障害の場合 @治療的雰囲気を保ち、患者に問題意識をおこさせる。 A患者の日常の情報を多く得ておき、不当な要求や甘えには毅然とし  た態度で接し、あいまいな返答はしない。 B患者の内面の悩みに耳を傾ける。 2.昏迷状態の場合 @感情や気分などの意志表現がみられないため、突然の興奮や衝動的  自傷、自殺行為に注意する。 A身体症状を観察し、苦痛の軽減をはかるとともに、合併症を予防す  る。 3.躁状態の場合 @刺激的な言動は控え、よい聞き手になる。説明は簡潔明瞭におこな  い、無意味な議論は避ける。 A看護者は一貫した態度で接し、患者のペースに巻きこまれないよう  にする。 B周囲へ影響を及ぼす場合が多いので、トラブルに十分注意する。 C不眠や身体的疲労が重なり、基本的行動ができなくなると、身辺が  乱雑、不潔になりやすいので、身体の観察に努め、清潔の保持と整  頓の援助をおこなう。 〈注〉 人格障害:平均より著しく逸脱した人格により、強い適応障害をきた      したもので、不都合な場面に遭遇するとすぐに自ら謝罪的      態度をとるもの(防衛的態度)、嘘をつき周囲を惑わすも      の(欺満的態度)、何事にもけちをつけるもの(攻撃的態      度)の三種類がある。                            3−E