鼻出血  鼻腔、副鼻腔、上咽頭に出血部位があって、外鼻腔から出血する場 合、あるいは、後鼻腔から血液が咽頭に流下する場合をいう。 [要因] 1.原因不明の特発性のものが、多い。これは、外界の刺激をうけや すく、血管に富むキーゼルバッハ部位よりのことが多い。 2.出血傾向をきたす全身疾患によるもの。 3.局所に、外傷や腫瘍がある場合の症候性鼻出血。 4.女子の無月経による代償性月経。 [治療] 1.前鼻腔より、キーゼルバッハ部位に綿栓を入れて、鼻翼を側方か ら指で圧迫する。 2.出血が、持続すれば、粘膜麻酔剤(キシロカイン)血管収縮剤( ボスミン)をつけたタンポンガーゼを、前鼻腔から鼻鏡でみながら、 挿入して圧迫する。 3.以上で止血しない場合は、後方からの圧迫も必要となり、ガーゼ 球に、2本のタコ糸をつけたベロックタンポンを、後鼻腔に挿入する 4.他に、セルフォームなどのゼラチン製剤で、圧迫止血をはかった り、出血点が明らかな場合は、局所の焼灼、電気凝固術を行う。外頚 動脈の範囲分からの出血には。外頚動脈や上顎動脈の結さつ術を行う 5.全身的には、興奮をしずめ、必要に応じて、輸液や輸血を行う。 6.症候性鼻出血には、原因療法の治療を行う。 [看護のポイント] 1.出血量とバイタルサインの測定を行ない、全身状態の管理に努め る。 2.患者や家族の興奮をしずめ、敏速な処置を行うことにより、出血 を最小限にとどめる。 3.安静と保温に努め、吸引は再出血を行さない程度に行う。 4.鼻腔に圧迫処置が施行されている間は、口呼吸になる為、口腔内 の清潔と病室の湿度の調整に努める。 5.安楽な体位をとらせ、鼻をかまず、鼻咽喉に流下した血液を、喀 出させる。 6.血液を嚥下している場合は、黒色便の排泄を促す為、排便調整を 行う。高血圧がある場合には、怒責をさけることにより、血圧の再上 昇を防ぐ。                              7E