嚥下困難  嚥下とは、飲食物を口腔から胃まで送る一連の動作である。それは 三叉、顔面、舌咽、迷走、舌下の諸神経と、口腔、咽頭、喉頭、食道 の多くの筋肉との複雑な機構により円滑に行われている。この諸器官 が種々の原因で、機能的又は、器質的障害をきたすと、食塊や、液体 の通過が、妨げられる。このような状態をいう。 [要因] 1.口腔、咽頭、喉頭部、食道の腫瘍による狭窄からくるもの。 2.運動神経の麻痺で、嚥下時の咽頭の共同反射運動が不充分なとき 3.知覚鈍麻で、気道内誤嚥の防止機構が、円滑にはたらかないとき 4.強い痛みの為に、嚥下運動が行なえないとき。 5.心身症によるもの。 [症状] 1.固形物が通りにくく、次第に水も通らなくなり、唾液を嚥下でき なくなると、流涎がおこる。 2.神経性のものでは、固形物は、嚥下しやすいが、水を飲むと、む せたり、鼻に逆流したりする。 [治療] 1.腫瘍では、手術・抗癌剤による腫瘍の縮小をはかる。 2.全身疾患や急性伝染病、精神疾患の一症状としての嚥下困難の場 合は、基礎疾患の治療に努める。 3.症状により、流動食の摂取、経管栄養、中心静脈栄養を、考える [看護のポイント] 1.嚥下困難の程度を、充分に把握し、適切な栄養方法を考える。 2.摂取カロリー、ビタミン、電解質の補給は、充分であるか? 3.筋麻痺がある時は、健側の頬部の方に食物を入れる。 4.誤嚥による肺合併症の予防に努める。 5.嘔気、嘔吐、便秘、下痢に注意する。 6.ノイローゼ、ピステリーの場合は、精神的安静をはかる。                             7ーE