┌─────────────┐ │ IV.社会保険方式の導入 │ └─────────────┘ 1.社会保険方式の意義 (1)介護リスクへの対応 ・ 長寿化に伴い、介護の問題は国民誰にでも起こりうる普遍的なリスクとなっ ている。しかも、介護の機関や費用の予測は難しいため、各人の自助努力で備 えることは困難。 このため、社会全体で介護リスクを支え合う観点から、社会連帯を基礎とし た「社会保険方式」によって対応すろことが最も適切。 (2)国民全体にとっての意義 ・ 社会保険方式の導入は、国民全体にとって有意義。 1. 高齢者〜介護リスク社会全体で支え合う。 2. 現役世代〜老親介護に対する不安の解消、将来の高齢期には自らも受益。 3. 企業〜従業員福祉の向上。家族介護による従業員の離職等が防げる。 ・ こうしたシステムを制度化し、運営することは、本格的な高齢社会において 公的責任を新たな形で具現化するもの。 (3)公費(措置)方式との比較 ・ 社会保険方式は、公費(措置)方式に比べ、様々な点でメリット。 1. 高齢者によるサービス選択に資すること 2. サービス受給の権利的性格が強いこと 3. ニーズに応じてサービス供給を拡大させる機能があること 4. 負担と受益の対応関係が明確で、国民の理解につながりやすいこと (4)私的保険の役割 ・ 私的保険は、社会保険を補完する役割が期待される。社会保険の導入により 事務体制が整備され、私的保険の事業展開のための基盤づくりが進むことが期 待。 2.社会保険の主な論点 (1)保険者 ・ 1.市町村とする考え方、2.より規模の大きな主体とする考え方、3.各主体が 機能分担する考え方がある。さらに、医療保険や年金保険の保険者の役割の検 討も必要。いずれにせよ、各主体が重層的に支えていくことが期待される。 (2)被保険者・受給者 ・ 65歳以上の高齢者を被保険者・受給者とするのが基本。現役世代も、世代間 連帯等の観点から被保険者に位置づけることを検討。 高齢者以外の障害者については、総合的な施策の推進が望まれるが、介護サ ービスのみを取り出して社会保険とすることは慎重な検討が必要。 (3)費用負担 ・ 国民全ての公平な負担が重要。1.高齢者に対する年金給付の意義、2.医療保 険や年金保険の保険者の役割、3.公費の組み入れ、を検討することが必要。 (4)保険給付、利用料 ・ 要介護判定やケアマネジメントの適切な実施が必要。現物支給を基本に、償 還払いも認めることが適当。利用料は、一定率または一定額の応益負担が考え られる。 【参考資料】