7.重層的で効率的なシステム (重層的なシステム) ・ 高齢者自身の自立を基本としつつ、社会連帯という視点に立って、家族や行政 機関、サービス提供機関、地域、企業などといった様々な主体が、高齢者を支え ていくことが重要である。 行政機関は、地域のニーズに応じた介護サービスの基盤整備と提供システムづ くり、サービスの質の確保、人材の育成、それらに要する費用に対する財政支援 などの役割と責任を担うこととなる。サービス提供機関は良質なサービスを提供 し、また、地域や企業も高齢者を様々な角度から支援していくことが求められる。 新たな介護システムが適切に機能するためには、このように各主体が役割を分 担し合い、高齢者を重層的に支えていく体制が必要となる。 (行政の責任と役割) ・ 市町村は、地域住民に最も身近な行政主体として、高齢者のニーズを的確に把 握するとともに、老人保健福祉計画に基づく介護サービスの整備目標の策定と地 域のサービス体制づくり、サービスに要する人材や施設の確保整備など、主とし て介護サービス提供の役割と責任を負うことが考えられる。 都道府県については、人材育成、サービス体制の広域的な調整、財政面におけ る市町村の支援を行うことが、また、国は、制度の法政化や全国民に共通するサ ービスや負担についての標準の設定、財政面の支援など、制度の維持・運営に関 する役割と責任を負うことが考えられる。 (効率的なシステム) ・ 新たなシステムは、規制緩和や行政簡素化の方向に沿ったものでなければなら ない。その点で、保健、医療、福祉の連携の強化や利用者によるサービス利用の 決定などは、行政改革の観点からも大きな意義を有するものと言えよう。さらに、 事業運営にあたっては、ICカードシステムなど情報処理通信システムの活用をは じめ事務処理の機械化、効率化を積極的に推進すべきである。 ・ また、実際の制度・事業運営にあたっては、行政の直営のみにこだわることな く、地域の特性に応じて、様々な関係機関や組織の事業参加を求め、住民により 近い場で専門家による事業が遂行される体制が最も望ましい。