1.予防とリハビリテーションの重視 (予防重視の考え方) ・ まず第一に、寝たきり等の防止に最大の力を注ぎ、若い頃から日常生活におけ る健康管理や健康づくりを進めるとともに、脳血管障害や骨粗しょう症、更には 老人制痴呆などの原因疾患の予防や治療に関する研究を推進していく必要がある。 ・ 予防重視の考え方は、介護サービスの提供においても貫かれる必要がある。従 来の制度においては、例えば、福祉用具にしても、高齢者本人の障害が固定して からようやく貸与されるケースも見られたが、このようなことがいわゆる寝たき りを招き、かえって社会的費用の増加をもたらした面があることも否定できない。 新介護システムにおいては、サービスが必要な場合には、迅速かつ簡単な手続き によりサービス利用が行われるような体制が求められる。 ・ また、介護を必要とする状態になった高齢者は、二次障害や三次障害を次々と 引き起こす場合が多い。したがって、実際のケアにあたっても、次に起こり得る 事態を予測し、それを防ぐための予防的な対処を行うことが重要である。既に発 生した障害に対応するだけという後手後手のケアは、高齢者の「生活の質」の向 上につながらないばかりか、予防的なケアに比べ結果として多くの労力と社会的 費用を必要とすることになる。 (地域リハビリテーションの推進) ・ そして、心身の機能が低下したことにっよって万一介護を必要とするような状 態になった場合には、できる限り早い段階から適切なリハビリテーションを提供 する必要がある。また、高齢者の社会参加を支えるためには、リハビリテーショ ンの概念を大きく広げていくことが重要である。従来の施設や病院等における医 学的、機能回復的なリハビリテーションだけでなく、高齢者本人の意思によって 地域社会の様々な活動に積極的に参加できるように、日常生活の中にリハビリテ ーションの要素を取り入れ、地域全体で高齢者を支える取組みを推進していくこ とが求められる。