3.在宅ケアの推進 (在宅ケアの重視) ・ 高齢者は、それぞれ長い人生経験の中で培い、形成してきた人間関係や価値観、 ライフスタイルを有しており、高齢者の自立した生活は、そうした「人生の継続 性」の上に成り立つものである。 言うまでもなく、家族は生活の基盤であり、高齢者の多くは、できる限り住み 慣れた家庭や地域で老後生活を送ることを願っている。このような希望に応え、 まず第一に、高齢者が無理なく在宅ケアを選択できるような環境整備を進めるこ とが不可欠である。 (家族による介護) ・ 高齢者にとって一番大切なものは何か、という問いに対しては、ほとんどは 「家族」という答が返ってくる。それ程高齢者にとって、家族の存在は大きい。 在宅ケアにおいて家族が果たす役割は極めて大きく、実際に、家族が両親や配 偶者を愛情を込めて懸命に介護している家庭が数多く見られる。こうした家族に よる介護については、制度的にも適切に評価されるべきである。 ・ しかし、一方で、家族による介護に過度に依存し、家族が過重な負担を負うよ うなことがあってはならない。在宅ケアにおける家族の最大の役割は、高齢者を 精神的に支えることであり、そのためには高齢者と家族との間で良好な人間関係 が維持されていることが当然必要となる。家族が心身ともに介護に疲れ果て、高 齢者にとってそれが精神的な負担となるような状況では、在宅ケアを成り立たせ ることは困難である。 (在宅サービスの拡充) ・ したがって、現在大きく立ち遅れている在宅サービスを大幅に拡充し、在宅の 高齢者が必要な時に必要なサービスを適切に利用できる体制作りを早急に進めて いく必要がある。そして、一人暮らしや高齢者のみの世帯であっても、希望に応 じ可能な限り在宅生活ができるよう支援していくべきである。特に、重度の障害 を持つような高齢者や一人暮らしで介護が必要な高齢者については、24時間対応 を基本としたサービス体制の整備が求められる。