第4回 保健医療福祉サービスの情報化に関する懇談会議事概要 日時等 :平成7年4月28日(金)15:00〜17:00      厚生省特別第1会議室 出席委員:石井委員、開原委員、黒木委員、斎藤委員、佐藤委員、佐谷委員、篠原委員      高橋(紘) 委員、高橋(武) 委員、坪井委員、仲村委員、古川委員 1.事務局より、「関連制度の点検について」及び「情報システムの標準化」の資料に  ついて説明が行われ、フリートーキングが行われた。 ○ 遠隔医療については、現在の医師法で阻害している面はないというが、初診時は  患者に対面せず診断することはできないのではないか。 ○ 情報通信技術が発達しても、触診の部分が将来的にも困難である。 ○ 医療機関の情報化に関連して広告規制については、厚生省として法改正まで踏み  込んで考えているのか。 ○ 東京都が医師会と協力して医療機関に関するデータベースを作り、ある病院で情報  提供サービスを行っているが、それも広告という概念の中に含まれるのかどうか。 ○ 院内掲示事項は、不特定多数でない医療法上契約された患者に対する広告である  ので、それをそのままメディアに載せることは医療法に抵触する。 ○ 1965年から3年間アメリカの国立保健研究所(NIH)の資金により、アメリ  カで遠隔地3か所を結んでテレ・メディシンの実験を行ったが、モノクロのテレビ画  面でも内科疾患の96%、皮膚科疾患の90%の確率で診断が的中することが証明さ  れた。 ○ 触診の問題については、例えばデータ・グローブによって乳房のしこりが分かるか  もしれないというのは未来の空想図であって、アメリカの遠隔医療の実験ではシニア  ・ナースがステーションにいてテレビで医師の指示を受けて触診を行った。これまで  どの国においてもテレ・メディシンが成功して定着したものはないが、今後のニュー  メディアの発達により進むかも知れない。未来に向けて、医療の一部として路線を敷  いておいてもよいのではないか。ただし、在宅でのテレ・メディシンが普及すると、  新たな医療ニーズが生じるから医師側の対応が大変になり、十分に対応できなくなる  という矛盾も起こる可能性もある。 ○ 医師がなかなかいけないところにシニア・ナースが行って、医師の指示を受けて診  断できれば、医師の人件費を機材の購入などに振り向けることができ、効率化に結び  付くのではないか。   もう一つは、航空機内で急患が出て医師がいない場合、画像電送装置によって看護  婦資格のある者が指示を受けつつ、遠隔で応急処置ができれば結構なことでないか。 ○ タンカーのように乗組員を非常に少なくしている乗り物では、医師をのせることは  できないから、病気をデータベースで検索して、何番の注射器に何CC入れろといっ  た指示が出る装置がアメリカで売られている。 ○ 現場にきちんと看護婦や保健婦などがいて、遠隔で医師が指示するシステムを作る  というのは上手くいくのではないかと思う。 ○ 院外処方せんを即座に薬局に届けてくれれば医師は手間が省けて、患者も助かる。  アメリカには、医師が病院でサインすると、先方の電話機内臓のペンが自動的にサイ  ンするテレライターという機械があるが、そのサインは有効なものとして認められて  いる。 ○ 技術面でいえば、サインを筆圧、続き具合等をトレースして登録したものと照合す  る機械が日本においてもすでにある。 ○ 標準化という議題は、大変重要な議題であり、こういうテーマに力を入れるという  ことは、情報化の問題についても厚生省が現業官庁から政策官庁に移行していくとい  うことを表すものだ。 ○ コード化や標準化を進めるためには「力」が必要である。こういうものがあるとい  う標準を提示しただけでは決して標準化は進まない。提示したものを普及させるよう  努力しないといけない。例えば、統計をこういうコードで、様式で必ず提出しなさい  というルールにすれば普及する。 ○ 標準化の問題は、患者の側にメリットが見えにくい。また、標準化しないと損をす  るというケースも生じると思うが、標準化をどこまで押し進めるつもりなのか。 ○ 情報化を推進する上の課題として、現行の法規制を点検したが、意外とネックにな  っている規制はないという感想だ。そうであるならば、情報化が遅れている原因は何  だろうか。私が考えるに一つは、何のために情報化するのかが見えていないというこ  と。効率性、利便性、サービスの質の向上のために、情報化の推進がどのように医療  ・福祉政策を突き動かしていくのかといった発想の整理をしてみる必要もあるのでは  ないか。   もう一つは、規制が情報化を阻害していたのではなくて、経済的な支援措置がない  こと。それはどのようにインセンティブを与えるかという問題でもある。診療報酬や  税の支援措置がないと、規制を緩和しただけでは情報化は進まない。 ○ 望ましい情報整備をインフラとして整備していく場合、一体どのぐらいお金が掛か  るのか。費用対効果が試算できるのか。 ○ 福祉の現場が医療の情報を必要とし、医療の専門家は福祉の情報を必要としてい  る。医療は自己完結的に情報化、標準化を進め得るが、現実には福祉、特に介護と  いうカテゴリーを通じて、情報化の問題が表面化してくるのではないか。問題が表  面化する前に、まさに今標準化しないといけないのであって、現場ではさまざまな  小さな標準化の乱立が起こり始めている。福祉の分野は、まさに今「力」を発揮し  ないといけいない。 ○ 医師としての能力が70点の人を、コンピュータ等の情報化技術を使って80点  まで持っていければ経済的効果があって、病院側にも10点分報酬がもらえるとい  うことになればコンピュータは一気に普及する。法的な規制はないとしても、コン  ピュータの導入や情報化のコードの利用に当たっては、メーカーから見ていると多  少引っ掛かるところがある。 ○ 資料3の「パソコン通信のネットワークに寄せられた主な意見」の中に、コード  のー本化は国内だけではなくて、国際的なコードも考慮しないと労多く報い少ない  作業になるという指摘があるが、そのとおりである。厚生省で使っている医薬品コ  ードだけでも16ぐらいあり、用途の目的別に分類をしてきてそういう結果になっ  たものと思う。そういう歴史のあるものを一本化することは大変困難であり、互換  のソフトを作った方が早いのではないか。 ○ どんな標準化というのも完全なものはなく、それぞれのコードは目的を持ってい  るから、その個性をつぶしてーつにすると不都合がでる。しかし、大事なのは、そ  うはいっても標準化は必要なんだよと常に主張して、時代に合わせて改定し、普及  させようとする組織がないといけないのではないか。それが今まで医療になかった  ので、コードが乱立するといった事態があったのではないか。 ○ 21世紀の医療のビジョンを描いてみると、その中には情報化の問題が組み込ま  れてくるものと思うので、そのようなビジョンを描くことにより、例えば医療の分  野における情報化の役割というものが分かってくるのではないか。 ○ 意外と規制がないというが、医療情報の現場で20〜30年やってきた人間にと  っては様式が合わないことやシステムが異なるということで、大変な苦労をしてき  た。特に、保険請求のコンピュータ化には長い歴史を必要とした。最初に紙でなく  て電子情報でいいよと行政が言えば、もっと早くコンピュータ化が進んだものと思  う。また、点数改正のときのシステム更新費や事務費は膨大なものがあるが、コン  ピュータ化を上手く進めて、この費用を本来の医療に振り向けるべきである。 ○ 福祉行政にしても行政は親切すぎて、台帳をこういう形で保管しなさいと指示を  してくるけれども、それが逆に形式的規制になっている。法規制の本来の趣旨に立  ち戻って実質を見て、その実質と技術の進歩とを突き合わしていくべきである。 ○ 福祉行政は、これまでの措置という形態から少しづつ契約になっていき、介護保  険も導入されていくということになれば、措置行政のくびきを情報化しながら開放  していって欲しい。 ○ 法律が情報化を邪魔している分野は意外とないが、政省令の様式や実務面の運用  のレベルではあったかも知れない。そういうものを改めるためにどうすればいいか  ということを考えると、私は職員を始めとして情報化の必要性を意識としてもって  もらうことが大事なのではないかと考える。これはある組織、セクションだけが意  識をもっていてもだめなのであって、診療報酬請求処理の電算化を考える場合なら、  支払基金なども含まれる形でトータルな戦略を考えなければならない。 ○ 少なくてもこの懇談会の報告書をにらんで、厚生省として来年度予算要求にこの  情報化施策はこういうレベルでこうやればこうなるといった縦横のマトリックスを  作ってはどうか。そうしないと全体像はなかなか見えてこないのではないか。例え  ば、その整理として施策の成熟度で分けるとか、そうやればこうなるから予算が必  要である、モデル実験が必要であるということを分かるようにしてはどうか。 ○ 標準化の考え方として、共通利用性、再現性、安全性の3原則が出ているが、こ  の目標からは患者側のメリットが見えてこない。開発目標の中に、患者にとってこ  れだけ便利になるという点を明示していけないだろうか。 ○ 介護施策における情報化として、例えば、患者や高齢者が座ったままでもキーボ  ードを簡単に操作して会話できるようになれば、家族がいなくても家庭介護は可能  になってくる。そういう部分は急いでやるべきではないか。 ○ 考え方の整理として、急いでやるもの、余裕のあるもの、現在の仕掛けでは絶対  に不可能なものと分けて見てはどうか。 ○ 高齢化社会の中で、医療費の支払い状況などを見ると、やはり高齢者を家庭でど  う見るかということが問題であるが、現実ではかなりの人手不足である。そこのと  ころを情報システムによって補い、家庭で介護を受けながら安心して療養できるシ  ステムが出来たら良い。   そのためには、医療分野だから看護婦でなければいけない、介護だから保健婦で  なければいけないといったことはなくなっていくのではないか。例えば、褥瘡の手  当てくらいはヘルパーでも出来ると思う。 ○ 自治体の実際のニーズをくみ上げて、その中に新しい情報システムも生かして、  安心して老後が過ごせ、医療費はいらなくなって負担も軽くなるという国の考えは  良い。これが末端の市町村の自主性を持たせるように、それらの市町村に分かりや  すい形で、簡単なコードでシステムを作ってくれたらと思う。 ○ 予防医学や健康医学として、脈搏をパソコン通信で調べられ、栄養問題なども資  格者でなくてもできるものはないか。医療と介護で考えるのなら、予防を加えた3  つで考えて欲しい。 ○ 具体的に情報化により役に立ったとか、個人が生きるためのベーシックな能力と  してやらなけばいけないとという気持ちになることが重要なことではないか。これ  は医療関係者だけでなく、患者も、企業もそう思うことが大事である。 ○ インターネット等のネットワークや通信技術を使いこなす能力(メディア・リテ  ラシー)を持つべきであるというコンセンサスは大体世の中で出来ている。今の3  0代ぐらいまではほとんどそういう意識ではないか。厚生省の行政分野において情  報化を進める「力」というものも、国民の全体の総意ではないかと思う。今かなり  のコンセンサスが世の中でできていると考えるので、この懇談会の報告書ではかな  り思い切った方向の提言をしておくべきではないか。 ○ 結局技術を使うのは人間だから、その人が本来リテラシーとして能力を持ってい  ると、潜在意識的に織り込んだ行動をする。教育現場でもメディア・リテラシーの  テストとが進むと思う。サイバー・スペースの中のアクティビティーが、リテラシ  ー、人材を作るのである。 ○ 日本の郵便局もマルチメディアの拠点、ネットワークとして生まれ変わることも  検討されている。病院や保健所などの最もベーシックな草の根の通信機関が変わっ  ていくものと、大いに期待したい。 2.次回懇談会は、5月24日の10時半から「公的支援策、公私の役割分担等つい  て」を議題として開催されることとなった。