第3回 保健医療福祉サービスの情報化に関する懇談会議事概要  日時等 :平成7年4月12日(水)15:00 〜17:00      厚生省共用第6会議室 出席委員:飯田委員、大山委員、開原委員、黒木委員、斎藤委員、佐藤委員、      佐谷委員、高橋(紘) 委員、高橋(武) 委員、坪井委員、仲村委員、      古川委員、吉田委員 1.事務局より、「厚生省における情報化施策について」の資料について説明が  行われ、フリートーキングが行われた。 ○ 資料にあるいろいろなサービスは、いずれも将来その必要性が高まるだろうと  評価している。しかし、そういう情報を得ようとする国民の立場に立てば、これ  だけ数多くのシステム・情報が存在すると、かえってアクセスが困難で煩雑にな  り、国民の本当の得たい情報が速やかに検索できないという問題が出てくるので  はないか。いずれにしてもこの懇談会の役割は、将来に向かってどういうビジョ  ンを描くのかということではないか。そこを押さえておかないと、莫大な情報の  中で個としての国民が埋まってしまうことになるのではないか。 ○ この懇談会でこれまで、情報化を推進するに当たってはユーザーの立場に立つ  ということを第一に考えるべきとの議論があったが、まさに使う側としてシステ  ムが非常に煩雑になったときに、欲しい情報がどこにあるのか分からないという  ことは、極めて重要な問題である。 ○ 情報へのアクセスをすべて家庭でできるようにすることを念頭に議論したらい  いのか、それとも分散された拠点でアクセスすることを考えたらいいのか、議論  をしておくべきではないか。 ○ 国民一人一人がそれぞれ居住するところで必要な情報を得ることが究極だが、  一挙にそこまでいかないのではないか。そうであれば、地域のどういう単位で、  どこへ行けば情報が得られるのかをきちんと国民に知らせる体制をとるべきであ  る。また、いろいろな情報について違う場所に行かなくてもある所に行けば、す  べての情報がそこで提供できるということが重要だ。   21世紀の福祉社会については、現在、新ゴールドプランにより、介護を中心と  した福祉施策をこれから飛躍的に拡充をしていくことになっているが、その際に、  これまで行政により措置として行われてきた福祉サービスを、国民が身近なとこ  ろで選べるようにしていく必要があると考えている。国民が選択できるというこ  とがキーではないか。したがって、そのためには選べるだけの十分な情報を提供  することが、非常に大事になってくる。   今後、在宅介護支援センターが相当大幅に地域の中で拡充される計画になって  いる。中学校区に1か所とか、相当狭い地域の中でそういうセンターが出来上が  ると、このセンターを情報の受発信センターとして機能させていくべきではない  のか。そういう絵を厚生省としてきちんと描いていくべきではないか。 ○ 現在実現しているシステムは実は40年前に既に描かれていて、それが徐々に出  来上がっているだけであって、余り驚くことではないという感想をもっている。  むしろそのシステムを基幹病院同士の幹線から、エンドユーザーのドクターや患  者まで拡大するのかどうかの位置づけを考えないといけないのではないか。   また、情報化の実現に当たっては、長期、中期、短期の計画を立てるべきであ  る。例えば、中毒情報をコンピュータを使って自動応答システム化するといった  ことは今すぐにでもできる。しかし、テレメディスンが普及するのはまだ先であ  ろう。このように時間軸で整理して、技術的な問題で先になるのか、資金的な面  で先になるのかの理由を明らかにしたらいいのではないか。   もう一つは、コンピュータに対する囲りの環境が随分変わってきている。昔は、  コンピュータが嫌いだから医者になったという者が多かったが、今はどんどん医  局にもコンピュータが入って、若い人は文献へのアプローチとかデータベースへ  のアプローチを簡単にやっている。しかし、それが一般家庭までいくかというと、  それはまた別の問題である。したがって、周辺の環境を含めて水平軸と時間軸の  2つに分けて、情報化を考えていくべきではないか。 ○ 厚生省は国として、個々のシステムを開発・普及させるというようなことでは  なくて、もう少し別の立場で政策を実施すべきではないか。   一つ例を挙げれば、遠隔医療のシステムを作ることではなくて、そもそもテレ  ビで遠隔地の患者を診療することが医療行為なのかということ自体がまだはっき  りしていない。厚生省がそこを明確にして保険点数をつければ、別にこんなシス  テムを作る必要はなく、民間に任せておけば自然に普及する。 ○ 保健医療福祉分野の情報政策があるとすると、現業官庁的なアプローチと政策  官庁的なアプローチがあるのではないか。そしてこれからは、現業的なアプロー  チから政策的なアプローチに比重が移っていくことになるのではないか。福祉の  分野でそれが非常にシビアに起こり始めている。   今、問題になっているのは、今までの措置システムの中では全部官が仕切って  いればよかったのが今度はサービスの情報化ということになると、福祉にしても、  医療にしても、官民共同になっていき、今までの現業官庁的なアプローチでは通  用しなくなる。例えば、市町村の中には条例で他の市町村や民間とオンライン接  続を禁止しているところがあるが、地域でケアをするとなれば民間も公もない。  政策的なアプローチからこうした制度的なものを変えていくという問題が出てく  るのではないか。   もう一つの大きな問題として介護については、医療、看護、福祉の狭間にあり、  全部縦割りになっているが、テレ・ケアなり、テレ・リハビリテーションなどに  より、その縦割りを横につなげていくことが必要になる。さらに、フィールドの  場で実践できる情報リテラシーを持った人材をどう作っていくかなど、現業型の  アプローチから政策型のアプローチへの転換が必要になってくる。 ○ 既存の施策は、本当に国民のニーズ、患者さんのニーズに立脚をしているのか  どうか少し疑問を感じる。それは、現在の医療システムを前提に考えられており、  どこかでブレイクスルーされていないからではないか。高度情報化社会というも  のが、いわゆる時間と空間を変えるということであれば、そうした視点に立って  情報化を考えていくべきである。   また、医療の情報化については病院内のデータベース等の問題と病院外の家庭  や病院間の問題に分けて考えてはどうかと思う。 ○ 情報化をするというのは、飽くまでも手段を作るということであって、目的で  はないはず。将来、情報化された社会において保健医療福祉がどうあるべきか、  その姿を描けるかどうかがこの懇談会の使命ではないか。 ○ 情報のシステム化は、保健医療福祉に関しての国民の状態やいろいろな指標を  改善するための手段であると思うが、そのためには国民全体のそういった指標を  どうするのかといった全体のグランド・デザインがまだ見えてきていない。それ  を作るのがこの懇談会の目的の一つであると思う。   また、これらのシステムが地域の住民一人一人にとってどういう効果があるの  かを見えるようにすることが必要ではないか。   厚生省はいろいろとシステムを作っているが、これらを統合した形で、どうい  うユーザーに対して、だれが提供主体になるのか、その効果はどう上がるのか、  それからどこでこういったシステムが使われるべきかといったようなことを分析  する必要があるのではないかと思う。 ○ 資料1のシステムはすべて必要があって出てきたと思う。むしろこれらの次の  段階として、システムの複合化のメリットをどうやって出していくかということ  を考えていく方がいいのではないか。複合化すると、例えば省庁との連携も必要  になってくるし、セキュリティーレベルも違ってくる。複合化のメリットが見え  ないのであって、そこをもう少しはっきりさせていくべきではないか。 ○ 保健医療分野は比較的体系だっているとの指摘があったが、例えば、診療報酬  請求事務については、公的なシステムを作る前に民間がやったので、システムの  互換性がなくなったという問題がある。診療情報を電子化するというのは、単に  診療報酬請求を楽にするためだけではなく、電子カルテとして医療機関で診療情  報を蓄積できると、医療機関の機能評価にも役に立つし、医薬品コードが統一コ  ードになってくると、物品管理が非常に楽になる。また、施設間の情報伝達が容  易になると、福祉と医療との連携にも資する。   要するに、国がある程度統一的な方針を定め、そのシステムに乗る乗らないは  医療機関の自由にして、システムに乗った方がすべてにおいて経済効果も上がる  し、サービスの質の向上にもつながるというものを国が提示すればよいのではな  いか。 ○ 国が情報の標準化をやれば、情報システムはすごく進む。今でも実は簡単にで  きることがたくさんあり、それを意外にやっていない。   例えば、病院を評価する上で一番大事なのは、その病院がどういう患者を見て  いるかだが、施設によって統計のとり方が異なるから比較ができない。国として   統計のとり方の指針を示すことが必要ではないか。 ○ 同じように保健の分野でも、こういったシステムを作る前段階として、例えば、  地域のデータを地区診断するときの比較をするための評価基準をきちんと決める  ことが必要である。そういうところを国の方で検討することが、保健の分野でシ  ステムがうまくいくための必要条件となるのではないか。 ○ 病院の中には、コンピュータを活用して、薬局の待ち時間を大幅に短縮してい  るところが増えている。思考のアプローチが今の医者は全く違う。それを進める  と、初診の予約をすれば、病院に登録している関連開業医からはコード番号を言  ってもらえば、もうカルテは出来ているというということも手掛けられる。   もう一つは、空きベッドの情報を夜間受付に置けば、小児科であっても空いて  いれば、一人で暮らしている80歳の患者に心配ならば一晩泊ってお帰りください  という親切もできる。あの病院はいつ行っても適切に対処してくれるというよう  な発想が医者の方にない。情報化を進めるための視点は、やはり恩恵を受ける患  者の側からの立場で見なければいけないのではないか。 ○ 情報化の意義としてサービスの向上ということがあげられるが、一方で業務の  効率化ということが重要である。サービスの向上による満足度と事務の効率化の  バランスということを議論の基準に置くべきである。 ○ 例えば、離島医療の問題も遠隔医療の中に入ると思うが、そこで使っている情  報システムはそれ程高度なものでも複雑なものでもない。しかし、現場の医師は、  高度な画像診断を要求する。そういうことは、むしろ産業側の開発に任せなけれ  ばならないといった問題点はある。 ○ 今現在のシステムについてできるものについては、必ずしも無理やりに情報化  を進め、システムを複雑にする必要はないという議論もあると思うが、そこのと  ころをどう整理するのか。   例えば、病院の待ち時間は病院管理の立場からすれば、情報化の問題ではない  のではないか。機械を使った方が楽になる面はあるかもしれないが、必ずしも高  度な情報システムを使わなくても解決できる問題である。 ○ 情報システムの導入や標準化等の問題について、行政がもっとイニシアチブを  取ってどんどん進めていけるよう、そういう項目をこの懇談会で指摘するべきで  はないか。   また、各システムをどんどん改善、改良していくという方向性も必要である。  X線フィルム等の電子保存などは標準化に苦労しているが、評価できることであ  る。それから、診療報酬だけではないインセンティブを行政として考えなくては  いけない。逆に、処方せんの捺印をやめるとか、保険証のカード化とか、メリッ  トはだれでも分かっているが、なかなかできないこともある。保険証については  ICカードなり光カードにすれば、あれほどいい媒体はない。そこら辺の共通基  盤的なところをやるのが国の役目だと思う。 ○ これまでの情報システムは、ユーザーが発した情報に価値を見出すのではなく、  ハードウェアやソフトウェアに価値を見出している。したがって、ユーザーから  見れば自分の情報が一番重要なのに、ハードウェアやソフトウェアの違いが原因  で、その情報が出てこなくなることが生じる。情報の安全性、再現性、共通利用  性の確保は、我々が扱う情報に最も価値があり、周りの機械やソフトウェアはそ  のための単なる道具であるという考え方に変わっている。このような観点から見  た情報システムは今までは残念ながら作られていない。であるから、厚生省は国  民が望むことを代表する官庁の一つとして、ユーザーの立場から情報システムは  どうあるべきかを語り、何のためのシステムかを明確に描くことが重要である。 ○ 遠隔医療システムの哲学というのは、実に厚生行政的である。東大病院で受け  られる医療を利尻島でも、あるいは八丈島でも受けられるようにするという思想  であると思う。これまで最新技術はまず関東圏、東京から導入していくという発  想があるが、どうだろうか。緊急通報システムでも、高齢人口40%の雪国の過  疎地が、是非私たちのところへ光ファイバーなどのインフラが欲しいという。冬  閉じ込められたら電話ではだめだから、双方向性の画像通信による医療、介護、  リハビリテーションが必要である。   厚生行政はそういう意味で言えば、大都市部で享受出来る価値を、情報という  技術のテクノロジーを利用して全国的に享受できるようにすることだ。光ファイ  バーのめぐらし方に関しても、厚生行政の立場からはっきり物が言える、福祉と  いうことを考えたらこういう形でめぐらすべきと物が言えるようにすべきではな  いか。 ○ 病気になってからどこへ行けばいいとか、福祉サービスが必要な状況になって  どういうサービスが受けられるのかといったような情報も必要だが、もっとその  前に、病気にならないための情報とか、健康生活に関する情報、健康生活指針に  関する情報といったものが国民サイドから見ると非常に欲しい情報ではないか。  21世紀に向けて、病気にならないための、あるいは予防するための施策を考え  る場合に、保健情報を視野に入れていただきたい。 ○ 24時間対応在宅介護支援システムを考えると、足りないのは人である。その  足りない人を情報ネットによってどれだけ支え切れるのか。その辺の効果を実証  していかないと、莫大な投資をしてシステムの導入に踏み切れるのは難しいので  はないか。 ○ 遠隔医療を例にとって評価すれば、理念は非常にしにくいものであり、今まで  かなり普及してきたけれども、今一歩という現状ではないか。それは技術的な問  題というよりも、現在はそういうことに熱心な医師がボランティア的にやってい  るところに問題がある。本当に普及させようとするならば病院に遠隔医療部を設  けるといった体制づくりが必要である。厚生省として、遠隔医療を医療としてき  ちんと位置づけて、それだけの人員の配置が可能であるように、収入等の面でバ  ックアップする体制を作るべきではないか。 ○ 厚生行政の規制は経済規制ではなく、国民をいろいろな被害からどう守るかと  いった社会規制である。情報化が進むことでかえって規制が広がるということも  あるのではないか。規制緩和をすべき部分と規制が必要となる部分とを一回整理  すべきではないか。 ○ 高度情報化社会においては、情報化の技術・システムを使って、医療や福祉の  システムをどのように変えていくのかということが重要である。 ○ 医療現場で普及するには診療報酬の問題が大きい。また、処方せんについては  捺印が要求されるため電子化ができない。医師のコードを決めて、処方薬局に登  録されている暗号を照会して本人であることが確認できたらパスにするとか、何  か方法が考えられるのではないか。 2.事務局から「パソコン通信による『情報化懇談会』の情報提供について」の資  料を説明。 3.次回懇談会は、4月28日の15時から開催することとなった。