1.本検討委員会設置までの経緯 (1) 前回の医師需給検討委員会の設置 医師養成については,将来の医師過剰への懸念が指摘されるようになったため,厚 生省は,昭和59年 5月に「将来の医師需給に関する検討委員会」(以下「佐々木委員 会」という。)を設置し,昭和59年11月に中間意見,昭和61年 6月に最終意見を公表 した。その意見は,昭和 100(平成37)年には全医師の1割程度が過剰となるとの将 来推計を踏まえ,「当面,昭和70(平成 7)年を目途として医師の新規参入を最小限 10%程度削減する必要がある。」というものであった。厚生省はこれを受けて,医学 部の入学定員の削減について関係各方面に協力を求めてきた。 (2) 本検討委員会設置の背景・理由 昭和61年の佐々木委員会最終意見公表以降,医療法改正による諸制度の創設及び施 行,高齢者保健福祉推進十か年戦略に基づく介護対策の充実等医師の必要数に影響を 及ぼす施策が推進されてきた。一方,医師の供給面をみると,我が国でもまもなく人 口10万対医師数が 200人を超えることが予想されるが,欧米諸国では人口10万対医師 数が概ね 200人を超える時点で,医師過剰に対する取組等が開始されている。 このような背景を踏まえて,厚生省は今後も増加し続ける医師数に対し,需給バラ ンスの将来状況を把握し,何らかの措置を講じる必要性につき検討するため,平成5 年8月に本検討委員会を設置した。