(1)医師免許取得者の約8割が臨床研修を行い、そのうちの約8割が大学病院と残   りの2割が臨床研修指定病院で研修を行っている。全ての臨床研修指定病院では   研修プログラムに基づく研修が実施されているが、全体として研修プログラムに   基づく研修並びにローテイション方式による研修がまだ十分に普及・定着してい   ない。  (2)医師法上、国家試験に合格し医師免許を取得した者は、直ちに単独で全ての医   行為を行える医師として扱われており、臨床研修は、免許取得後の医師の自発的   努力によって行われるものとして位置付けられている。    医学・医療の進歩等に伴い、現在の卒前の臨床教育では、臨床医として日常遭   遇する疾患に対する必要な知識及び技能を修得するのに必ずしも十分ではなくな   ってきており、臨床研修制度が医師として医学・医療の進歩を日常の診療に反映   させ得る基本的診療能力を修得させる役割を担っている。  (3)欧米諸国においては、卒後研修が十分に体系化されており、卒直後には、医師   としての基本的研修を行うことを義務付けている。  (4)診療に従事しようとする全ての医師が幅広い基本的な診療能力を身に付けるこ   とが出来るように、基本的には臨床研修を必修とするとともに、その内容の改善   等を図ることが望ましい。ただし、別紙のとおり調査審議しなければならない課   題が数多くあり、これらの課題を検討しつつ、必修とすることの是非及び必修と   する場合の具体的方法について、引き続き慎重に調査審議する必要がある。特に、   必修とする場合の方法、研修内容、研修施設、研修指導体制、研修修了の認定方   法、研修医の処遇の改善等については十分に検討する必要がある。