第6章 治験総括医師

1 治験総括医師は、個々の治験におけるいわゆる代表世話人を指すものであり、 複数の医療機関が参加して実施される場合においても、原則として1名である。
2 治験総括医師は、当該治験を総括する立場にある治験担当医師であることが 通例であるが、治験を実施しない医師又は歯科医師が治験総括医師となる場合も あり得る。この場合、治験総括医師は、治験の実施状況の把握、治験担当医師等 に対する適切な指示等GCPに規定されている業務を十分に遂行する必要があり、 名目的な治験総括医師であってはならない。
3 治験総括医師は、治験の実施に先立ち、GCP第12条第1号及び第16条に検討結 果に基づき、適正な治験実施計画書(第8章参照)及び被験者の同意を得るに際 しての説明文書(第3章、第4章及び第10章参照)を作成する。
4 治験総括医師は、上記3の作成及び変更について、治験依頼者と相互に連絡、 協議する。
5 治験総括医師は、治験の実施が医療機関において承認されたことを治験担当 医師より確認しなければならない(第7章の5参照)。この際、不承認とされた医 療機関があった場合には、不承認とされた理由を調査し、必要に応じ治験実施計 画書の変更等適切な措置を講ずる。
6 治験総括医師は、治験の実施に際し、各医療機関と治験依頼者の間で契約が 締結されたことを治験依頼者より確認しなければならない。
7 治験総括医師は、治験が治験実施計画書に従い適切に実施されていることを 随時確認し、必要に応じ適切な措置を講ずる。
8 治験総括医師は、治験担当医師から重篤な副作用が報告された場合等におい ては、必要に応じ治験実施計画書の変更等適切な措置を講ずる。
9 治験総括医師は、治験実施計画書を変更した場合、当該治験薬に関する新た な資料及び情報を入手した場合等においては、速やかに治験担当医師その他治験 に参加している研究者に伝達し、必要な指示を与える。
10 治験総括医師は、治験終了後、治験担当医師から提出された症例記録等に基 づき総括報告書を作成し、署名、捺印の上、治験依頼者に提出するが、この総括 報告書は治験の結果をまとめたものであり、治験総括医師が医学的科学的な見地 から作成するものである。なお、治験依頼者は、総括報告書の構成に関し、治験 総括医師に意見を言うことができる。
11 治験総括医師は、その業務に関する記録を作成することとされているが、記 録の作成及び保存の方法について治験依頼者と協議し、定めておくことが適当で ある。

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