■■■ アジソン病治療薬服薬指導 【疾患名】MP アジソン病(原発性副腎皮質不全)        (CP Addison disease) 【有病率】HI 比較的まれ 【好発層】HI 全年齢層(若年,高齢層で少ない)        性差関係なし(結核性:差なし,特発性:女性に多い) 【予 後】 【概要と成因】 MP 慢性の原発性副腎皮質機能低下症である.   副腎皮質細胞の90%以上が破壊されると,糖質コルチコイドであるコルチゾールや 鉱質コルチコイドであるアルドステロンの分泌が低下し,発症する.   〈成 因〉    1.特発性アジソン症(自己免疫性副腎炎)    2.副腎結核    3.副腎出血(抗凝固療法,敗血症)    4.真菌感染    5.AIDS    6.癌の副腎転移    7.アミロイド症    8.サルコイド症    9.ヘモクロマトーシス    10.悪性リンパ腫 CS 原因はかつての結核より自己免疫機序,ACTHに対する受容体の問題などが注目 されている.   原因別発生頻度は,結核性20%,特発性80%である. 【分類と症状】 HI 〈症 状〉   1.強度の疲労感,脱力感 2.色素沈着(最も顕著な症状)   3.食欲不振   4.体重減少   5.低血圧 【治療薬剤の分類と特徴】 MP 1.糖質コルチコイド  @ハイドロコルチゾン(コートリル錠,サクシゾン注,ソルコーテフ注)    Aデキサメサゾン(デカドロン錠・注)    Bベタメサゾン(リンデロン錠・散・注)   2.鉱質コルチコイド    Cフルドコルチゾン(フロリネフ錠) 【禁忌の薬(理由)】 IR @チオペンタール(ラボナール):アジソン病による血清K値の上K補給剤 (KCL等)昇を増強する.    K含有の輸液(ハイカリック,トリパレン等)   Aジクロフェナミド:低Na血症を助長し悪化させるおそれがあるアセタゾラミド (ダイアモックス) B塩化アセチルコリン:副腎皮質機能低下による悪心,嘔吐,腹痛(オビソート) 脱力,低血圧などの症状を本剤が増強する 【合併症と対策】 【生活指導】 MP 緊急事態(急性副腎不全)に備えて,自分がアジソン病であり副腎皮質ホルモンを 内服している旨を記載したカードを持参する. 【薬物療法以外の特記すべき治療法】 【疾病に対する注意すべき臨床検査】 MP @血中コルチゾール値(低値:5μg/dl以下)   AACTH負荷試験(血中コルチゾール値が低反応:12μg/dl 以下)   B血中ACTH値(高値) HI @血清Na,Cl濃度(低下)   A血清K濃度(上昇)   B尿中17-OHCS,17-CS値(24時間排泄が極めて低値) 【疾病に関する用語】   ACTH(adrenocorticotrophic hormone):副腎皮質刺激ホルモン   asthenia:無気力   hyperpigmentation:色素沈着過度 arterial hypotension:低血圧 【メ モ】 CS @日本では食塩摂取量が多いところから,コルチゾール単独あるいは電解質作用の 少ない合成ステロイドホルモン単独でもコントロールしうる例が多い.   A色素沈着改善のためにACTH抑制作用の強いデキサメタゾンが用いられること がある.   B副腎クリーゼ(主な症状は,悪心,嘔吐,腹痛,血圧低下,ショック)の場合は ,水溶性ハイドロコートン 100mg静注し,経過をみながら 100〜1000mgを点滴投 与する. 【参考文献】