1.インドメタシン ファルネシルと大腸炎
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| 成分名 | 該当商品名 |
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|インドメタシン ファルネシル |インフリー(エーザイ) |
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|薬効分類|消炎鎮痛剤 |
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|効能効果|下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛 |
| | 慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、 |
| | 頚肩腕症候群 |
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(1)症例の紹介
インドメタシン ファルネシルはインドメタシンのプロドラッグであり、平成3年
3月29日に承認された。本剤は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関
節周囲炎、頚肩腕症候群の消炎・鎮痛を効能とする薬剤である。これまでに、本剤を
服用中の患者で出血性大腸炎等の薬剤性腸炎が3例報告されているので、その症例の
概要について紹介する。なお、本剤の活性代謝物であるインドメタシンでも、類似の
潰瘍性大腸炎の報告がある。
報告されている症例は、肩関節周囲炎、脊椎管狭窄症の治療中に出血性大腸炎が発
現した症例、下肢関節痛の治療中に薬剤性腸炎(下血あり)が発現した症例、十二指
腸びらん、慢性扁桃炎を合併する若年性関節リウマチの治療中に薬剤性大腸炎(便潜
血あり)が発現した症例の3例である。副作用発現までの投与期間は16日〜7ヵ月、
女性2例、男性1例で、年令は16〜78歳であった。
報告された症例の一部を紹介する(表1)。
(2)文献の紹介
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)による大腸炎は、メフェナム酸、インド
メタシ ン、ジクロフェナクナトリウム等で報告がある(文献1)。
発生機序としては、大腸粘膜のPG合成の抑制による粘膜防御機構、粘膜血流や粘
膜修復作用などの減弱、あるいは、アレルギー反応や腸内細菌叢の変化等の機序によ
る可能性が考えられている。
出血性大腸炎については、広域合成ペニシリン等の抗生剤による例が知られている
が、NSAIDでも、メフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム等で文献報告があ
る(文献2、3)。
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|No.1 企業報告|
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|患者 性 女 |
| 年齢 61歳 |
| 使用理由[合併症] 肩関節周囲炎、脊椎管狭搾症[高血圧、高脂血症]|
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|1日投与量・投与期間:400mg、20日間 |
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|副作用−経過及び処置 |
|疼痛の改善のため、本剤及びアルファカルシドールを投与開始したところ、投与2|
|0日目の朝に、下腹部痛、下痢、嘔気、嘔吐が発現した。治療のため、20%グル|
|コース、メトクロプラミド、ドンペリドン、止瀉剤、生理食塩液、臭化チメピジウ|
|ムを投与した。昼にも、下腹部痛、下血、嘔気があり、20%グルコース、臭化ブチ|
|ルスコポラミン、ペンタゾシン、生理食塩液、臭化チメピジウム、維持液、マンニ|
|トール、メトクロプラミド、ジアゼパムを投与した。翌日の午前1時にも、腹部全|
|体の疼痛、下血、下痢があり、20%グルコース、臭化チメピジウム、ペンタゾシ|
|ン、幼牛血液抽出物、ファモチジンを投与した。その後、大腸ファイバーにより、|
|肛門より70cmのところにジワジワにじみ出すような出血を確認し、出血性大腸|
|炎と診断した。3日後には、大腸ファイバーにより回復を確認した。 |
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|併用薬:アルファカルシドール、エストリオール、塩酸エペリゾン、 |
| イプリフラボン |
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(3)安全対策
インドメタシン ファルネシルの大腸炎の発現機序として、大腸粘膜のPG合成抑
制の可能性が考えられるが、明瞭ではない。
現在、潰瘍性大腸炎の患者では、本剤の活性代謝物のインドメタシンで、本疾患を
悪化させたとの報告があるので、「慎重投与」の項にその旨を記載して注意を喚起し
ている。
今回、出血を伴った大腸炎の報告があったので、「副作用(重大な副作用)」の消
化管障害として記載している消化性潰瘍、胃腸出血に、出血性大腸炎を追記するとと
もに、本剤の活性代謝物のインドメタシンでS状結腸病変部位における穿孔の報告が
ある旨を追記して、注意を喚起し、本剤の適正使用を促すための情報提供を行うよう
関係企業に対し指導を行った。
<<使用上の注意(下線部追加改訂部分)>>
<インドメタシン ファルネシル>
副作用
(1)重大な副作用
消化性潰瘍、胃腸出血、出血性大腸炎、S状結腸病変部位における穿孔:まれに
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消化性潰瘍、胃腸出血、出血性大腸炎があらわれることがあるので、このような
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症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、本剤の
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活性代謝物のインドメタシンで、S状結腸病変部位における穿孔があらわれたと
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の報告がある。
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<参考文献>
1)Gray, R., et al.:Arch. Intern. Med.,152:625(1992)
2)岩瀬正典他:Gastroenterol. Endosc.,28(7):1619(1986)
3)呉英美他:消化器内視鏡の進歩,33:314(1988)