2.ドンペリドンとショック、アナフィラキシー様症状
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| 成分名            | 該当商品名             |
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|ドンペリドン          |ナウゼリン錠・細粒・ドライシロップ・坐|
|                |剤(協和醗酵)            |
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|薬効分類等|消化管運動改善剤                      |
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|効能効果  |(錠・細粒の場合)                     |
|     |下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、|
|     |腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)       |
|     |  1.成人:慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群       |
|     |      抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時      |
|     |  2.小児:周期性嘔吐症、上気道感染症           |
|     |      抗悪性腫瘍剤投与時               |
|     |(ドライシロップ(小児)の場合)              |
|     |下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、|
|     |腹部膨満、腹痛)                      |
|     |  周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症        |
|     |  抗悪性腫瘍剤投与時                   |
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(1)症例の紹介
 ドンペリドンは、昭和57年に承認された、消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹
部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)、抗悪性腫瘍剤又はレボドパ製剤投
与時、周期性嘔吐症、上気道感染症等に内服、直腸内投与する薬剤である。
 ドンペリドン注射剤によるショック様症状については、本情報No.62(昭和
58年8月号)で、また、ドンペリドン坐剤のショックについては、本情報No.
97(平成元年7月号)で紹介を行うとともに内服剤についても注目していくことが
必要とされたところである。これまでに、ドンペリドンの内服直後にショック、アナ
フィラキシー様症状(発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、口唇浮腫等)を発現したと
される症例が4例報告されている。
 報告された4例は、全例女性で、年齢は19〜70歳、うち2例が50歳以上であった。
 いずれの症状もドンペリドンの内服直後に症状が発現しており、薬剤との関係は否
定できない。
 報告された症例の一部を紹介する(表4)。
 
(2)安全対策
 ドンペリドンについては、坐剤において「一般的注意」の項に「ショックを起こす
ことがある。」、「副作用」の項に「ショックを起こすことがあるので観察を十分に
行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」と記載し、
注意喚起を行ってきた。
 今回、ドンペリドンの内服直後にショック、アナフィラキシー様症状(発疹、発赤、
呼吸困難、顔面浮腫、口唇浮腫等)を発現したとされる症例が4例報告されており、
いずれの症例も薬剤との関係は否定できない。
 ドンペリドンの内服に際しては、ショック、アナフィラキシー様症状が発現するこ
とがあるので、十分な観察のもとに慎重に投与する必要がある。
 ドンペリドンについては、錠・細粒・ドライシロップ・坐剤の「副作用」の項に下
記のとおり追加、改訂して、一層の注意を喚起することとし、関係企業に本剤の適正
な使用を促すための情報提供を行うよう指導した。
 
<<使用上の注意(下線部追加改訂部分)>>
<ドンペリドン>
副作用
(1)重大な副作用
 ショック:ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、
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 口唇浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、このような症状があら
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 われた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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表4 症例の概要
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|No.1                             企業報告|
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|患者 性          女                      |
|   年齢         19                     |
|   使用理由[合併症]  急性嘔吐症[かぜ症候群]           |
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|1日投与量・投与期間:10mg、1日                   |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過及び処置                           |
|ウイルス性嘔吐を伴うかぜ症候群に、ドンペリドン等を投薬した。ドンペリドンの|
|み服用後10〜15分後にそう痒感発生。再来院時、全身発赤、顔面浮腫、チアノ|
|ーゼ、口唇腫れ、鼻水、呼吸困難、血圧聴診できず、触診にて70/−mmHg、|
|脈拍122/分、体温37.4゜Cによりアナフィラキシー様ショックと診断。輸|
|液、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等を行ったところ、徐々に症状は|
|回復した。                                |
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|併用薬:なし                               |
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|No.2                      企業報告、モニター報告|
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|患者 性          女                      |
|   年齢         61                     |
|   使用理由[合併症]  上気道炎                   |
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|1日投与量・投与期間:10mg、1日                   |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過及び処置                           |
|上気道炎に、ドンペリドン、プラノプロフェン服用後、約10分後に手のしびれ、言|
|語障害、腹痛、嘔吐が発現。血圧50mmHgまで低下。脳CTは正常で、ステロイド静注|
|により血圧は回復し、4時間位で正常に戻った。               |
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|併用薬:プラノプロフェン                         |
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