1.テルフェナジンと心臓血管系症状
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|成分名             |該当商品名              |
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、テルフェナジン         、トリルダン(マリオン・メレル・ダウ) 、
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|薬効分類等:アレルギー性疾患用剤                    |
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|効能効果:気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿|
|     疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)                  |
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(1)テルフェナジンと心臓血管系症状
 テルフェナジン平成2年(1990年)1月に承認された抗ヒスタミン作用を有す
るアレルギー性疾患用剤である。テルフェナジンの投与によるQT延長、心室性不整
脈等の重篤な心臓血管系症状の発現については、既に本情報No.107(平成3年
3月号)で外国での発現状況について紹介し、肝障害、電解質異常、心疾患等がある
患者に対する注意を呼びかけた。次いでNo.118(平成5年1月号)ではその後
報告された国内における2例の症例を紹介し、外国でのその後の症例の増加とケトコ
ナゾール(抗真菌剤:経口剤は国内未発売)や、エリスロマイシンとの併用、肝障害
患者、過量投与によりテルフェナジンの血中濃度が上昇すること等の情報提供を行い、
必要な「使用上の注意」の改訂を指導している。しかし、その後も同様の報告が続き、
これまでに計9例が報告されており、症例の概要は次のとおりある。性別は男性3例、
女性6例、年齢は42〜79歳で心疾患の既往歴を持つものは9例中2例、投与から
心臓血管系症状(心室頻拍、QT延長等)発現までは4日〜約7ヵ月である。このう
ち1例は「禁忌」とされている抗真菌剤イトラコナゾールを併用例であった。また、
その他の8例中6例は肝障害を有する患者や高齢者での症例であった。
 報告された症例の一部を表1に紹介する。
 
(2)安全対策
 テルフェナジンに心臓血管系症状についてこれまでに情報提供及び「使用上の注意」
に記載させてきた内容は以下のとおりであるが、主に外国での報告状況を基にしてい
た。
a.アゾール系抗真菌剤ケトコナゾールの併用によりテルフェナジン未変化体の血中
  濃度が上昇し、QT延長、心室性不整脈等が認められること。また、同様の心臓
  血管系症状はエリスロマイシンやイトラコナゾールとの併用でも報告されている。
b.過量投与、重篤な肝機能障害を有する患者での報告が多い(本剤は肝臓で代謝さ
  れる薬剤なので、肝機能障害を有する患者ではテルフェナジンの代謝が阻害され
  るおそれがある)。
 今回報告のあった症例の中には、併用禁忌の抗真菌剤イトラコナゾールが同時に投
与されていた例や、肝機能障害を有する患者、高齢者での発現例が多い。すなわち、
「使用上の注意」が十分に守られているとはいえない状況で本剤が使用されているお
それがあり、以下に示すような本剤によるQT延長、心室性不整脈等の心臓血管系症
状の発現に関する注意を徹底させる必要がある。
a.テルフェナジンとイトラコナゾール、ミコナゾール、エリスロマイシンとの併用
  をしないこと。これらの薬剤を処方する際には必ず患者が現在服用している薬剤
  を確認する必要がある。
b.テルフェナジンと他のアゾール系抗真菌剤(フルコナゾール)、他のマクロライ
  ド系抗生物質を併用する場合には肝機能、心電図等の検査を行い、観察を十分に
  行い慎重に投与する。
c.重篤な肝障害のある患者には投与しないこと。テルフェナジンは肝臓で代謝され
  る薬剤であり、肝障害を有する患者に投与した場合、テンフェナジンの代謝が阻
  害されるおそれがある。
 このため、テルフェナジンについて新たに警告を設け、一般的注意、禁忌、慎重投
与、相互作用の項等の「使用上の注意」を下記のとおり追加、改訂し、一層の注意を
喚起することとし、関係企業に本剤及び併用薬剤の適正な使用を促すための情報提供
を行うよう指導した。
 
<<使用上の注意を記載(下線部追加改訂部分)>>
<テルフェナジン>
警告
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|本剤は未変化体及び肝臓で代謝されたカルボン酸型代謝物が薬理作用を持つ。下記|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|の(1)又は(2)等の要因により代謝が阻害され、テルフェナジン未変化体の血|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|中濃度が上昇した場合、まれにQT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを |
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|含む)などの心血管系の副作用があらわれることがあり、外国では心停止(死亡を|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|含む)があらわれたとの報告がある。下記の患者には投与しないこととし、また適|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|応患者の選択を慎重に行うこと。                      |
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜                      |
|(1)イトラコナゾール、ミコナゾール、又はエリスロマイシンを投与している患|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|   者                                 |
|   〜                                 |
|(2)重篤な肝障害のある患者                       |
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜                       |
|(3)QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、先天|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|   性QT延長症候群)                         |
|   〜〜〜〜〜〜〜〜〜                         |
| なお、本剤服用中の患者に失神があらわれた場合には、重篤な不整脈が発生して|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|いる可能性があるので、直ちに投与を中止し、心電図検査を含むて適切な処置を行|
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|
|うこと。                                 |
|〜〜〜〜                                 |
|また、本剤の使用にあたっては添付文書を熟読のこと。            |
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜            |
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一般的注意
(1)本剤を服用した患者で、まれにQT延長、心室性不整脈(Torsades de pointes
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  を含む)、あるいは外国では心停止(死亡を含む)などの心血管系の副作用が報
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  告されているが、ほとんど下記の場合に限られている。
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・テルフェナジン未変化体の血中濃度が上昇した場合
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・QT延長を起こしやすい患者又は心疾患のある患者に使用した場合
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   したがって、本剤投与に際しては
    1)肝臓の薬物代謝酵素の阻害作用のあるイトラコナゾール、ミコナゾール、
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     又はエリスロマイシンを投与している患者には投与しないこと。
     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    2)重篤な肝障害のある患者には投与しないこと。また、肝障害のある患者
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     には慎重に投与すること。
    3)QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、
     先天性QT延長症候群)には投与しないこと。
                  〜〜〜〜〜〜〜〜
    4)心疾患のある患者は慎重に投与すること。
    5)高齢者では、一般に肝機能が低下している場合が多いので慎重に投与す
      〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     ること。
     〜〜〜〜
   なお、本剤服用中の患者に失神があらわれた場合には、重篤な不整脈が発生し
   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ている可能性があるので、直ちに投与を中止し、心電図検査を含むて適切な処置
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  を行うこと。
  〜〜〜〜〜〜
禁忌
(1)イトラコナゾール、ミコナゾール又はエリスロマイシンを投与している患者
           〜〜〜〜〜〜〜
(3)QT延長を起こしやすい患者(低カリウム血症、低マグネシウム血症、先天性
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  QT延長症候群)
  〜〜〜〜〜〜〜〜
慎重投与
(1)フルコナゾール、ジョサマイシン、オレアンドマイシン又はクラリスロマイシ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ンを投与中の患者
  〜〜〜〜〜〜〜〜
(3)心疾患のある患者
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
相互作用
  イトラコナゾール、ミコナゾール又はエリスロマイシンとの併用により、まれに
          〜〜〜〜〜〜〜
  QT延長、心室性不整脈があらわれるので、併用は避けること。また、アゾール
  系抗真菌剤のうちフルコナゾール又はマクロライド系抗生物質のうちジョサマイ
  シン、オレアンドマイシン又はクラリスロマイシンと併用する場合には、観察を十  分に行い、慎重に投与すること。
 
 
表1 症例の概要
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|No.1                             企業報告|
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|患者 性          女                      |
|   年齢         63                     |
|   使用理由(合併症)  夜間そう痒(肝硬変(末期))          |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|1日投与量・投与期間:60mg、約5ヵ月間    |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過及び処置                           |
|テルフェナジンの投与開始約5ヵ月後の午後2時半頃に意識喪失発作が発現したが|
|数分で回復。その際、頭部CT、脳波には異常は認められなかった。心電図モニタ|
|ーを装着し様子をうかがった。午後8時、30秒間の痙攣を伴う意識喪失が再度発|
|現した。心電図モニターにて心室頻拍を確認、循環器医に相談し、塩酸リドカイン|
|50mg静注後、2000mg/24時間の速度で持続注入を開始した。    |
|翌日、不整脈はみられないが午後4時頃より不穏状態となる。塩酸リドカイン中毒|
|と考え、静注速度を1000mg/24時間に減量した。発現2日後、血圧132|
|/98〜120/90mmHg、意識ほぼ清明となる。            |
|発現3日後、QT延長はほぼ改善し不整脈はみられなかった。ところが夕方より徐|
|々に血圧が降下し始めた。ドパミンや輸液による治療を行ったが全く反応せず、そ|
|の翌日、午後11時51分急性循環不全により死亡した。           |
|                                     |
|臨床検査値                                |
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
|  検 査 項 目   副作用発現日 発現2日目 発現3日目 発現4日目 |
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
|赤血球(X10000/mm3)     240      −     −     −   |
|血色色素(g/dl)       9.5      −     −     −   |
|白血球(/mm3)        5620      −     −     −   |
|ヘマトクリット(%)     26.8      −     −     −   |
|ALP(IU/l)        158      −     −     148   |
|GOT(IU/l)         83      93     −     64   |
|GPT(IU/l)         43      47     −     31   |
|直接ビリルビン(mg/dl)    4.2     4.8     −     5.3   |
|間接ビリルビン(mg/dl)    2.2     2.5     −     2.8   |
|BUN(mg/dl)        16      16     −     19   |
|血清クレアチニン(mg/dl)   1.4     1.5     −     1.1   |
|尿量(ml)          2800     2300     700     200   |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|併用薬:人血清アルブミン、ウルソデスオキシコール酸、スピロノラクトン、  |
|    シメチジン、パモ酸ヒドロキシジン、フロセミド           |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|No.2                             企業報告|
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|患者 性          女                      |
|   年齢         79                     |
|   使用理由(合併症)  体部湿疹(脳梗塞、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、  |
|                   心房細動、QT延長)        |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|1日投与量・投与期間:120mg、約5ヵ月間               |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過及び処置                           |
|テルフェナジンの投与開始148日目の午前10時に胸部不快感と嘔吐が発現し |
|た。11時15分に病院に到着。この時の血圧は150/72mmHg、心拍数は|
|60/分で不整であった。午前11時40分に心電図にて Torsades de pointesが|
|認められたため、塩酸リドカインを50mg静注後、40mg/時間の速度で点滴|
|静注を開始した。午前11時55分に2回目の Torsades de pointes が発現し、 |
|その後10回程度再発を繰り返した。午後1時20分に心室ペーシングを開始し |
|た。                                   |
|午後9時40分の Torsades de pointesを最後に自然消失した。        |
|                                     |
| 臨床検査値                               |
|−−−−−−−−−−−−−−−−−   −−−−−−−−−−−−−−−−−|
|検 査 項 目   副作用発現日    検 査 項 目  副作用発現日  |
| RBC(X10000/mm3)   328       BUN(mg/dl)     25    |
| Hb(g/dl)      10.4       血清Cr(mg/dl)   0.6    |
| WBC(/mm3)     7700       Na(mEq/l)     138    |
| Plt(X10000/mm3)  22.9       K(mEq/l)      4.2    |
| Ht(%)        31.4       Cl(mEq/l)     109    |
| GOT(IU/l)      56       Ca(mEq/l)     4.2    |
| GPT(IU/l)      31       P(mg/dl)      3.5    |
| T−Bil(mg/dl)    0.6       Mg(mg/dl)     1.7    |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|併用薬:塩酸インデロキサシン、センノシド、ニコチン酸トコフェノール、   |
|   カリジノゲナーゼ、塩酸ニカルジピン、ユビデカレノン、インドメタシン、|
|   ジピリダモール、l−メントール・サリチル酸グリコール        |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|No.3                             企業報告|
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|患者 性          男                      |
|   年齢         76                     |
|   使用理由(合併症)  アレルギー性皮膚炎(肺結核)         |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|1日投与量・投与期間:120mg、4日間                 |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過及び処置                           |
|約5ヵ月間、イトラコナゾールが投与されていた患者にテルフェナジンが処方さ |
|れた。テルフェナジン投与開始4日目午前1時に意識喪失、四肢麻痺、次いで全 |
|身痙攣が生じた。ジアゼパムの静注により、痙攣は消失した。心電図モニタリン |
|グ開始時には、洞調律で、血圧は130/70mmHgに戻ったが意識レベルは |
|III−300であった。午前3時40分に心室性頻拍を生じ、動脈血酸素飽和が  |
|低下したため、気管内挿管し、人工呼吸器に接続した。対光反射は消失してい  |
|た。午前8時30分、自発呼吸は強まりをみせ、名前を呼ぶと開眼し、掌握反応 |
|を示すまで回復した。その後、3回ほど心室性頻拍が生じたが塩酸リドカインの |
|静注にて改善した。午後5時19分、意識清明となったため、気管チューブを抜 |
|管した。                                 |
|翌日も4回ほど心室性頻拍を再発したが塩酸リドカインの静注にて改善した。こ |
|の時には意識レベルの低下、自発呼吸の低下は生じなかった。         |
|翌々日、QTの延長はみられたが、心室性頻拍は発現せず、尿量も安定した。  |
|投与11日後、QTは正常化した。                     |
|                                     |
|臨床検査値                                |
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
| 検 査 項 目       投 与 前  投与4日後   投与2週間後 |
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
|GOT(IU/l)           22      57        34   |
|GPT(IU/l)           12      26        26   |
|LDH(IU/l)           323      411        437   |
|γ−GPT(IU/l)         19      16        26   |
|BUN(mg/dl)            8      13        19   |
|血清クレアチニン(mg/dl)      0.8      0.8        0.8   |
|Na(mEq/l)            140      133        134   |
|K(mEq/l)             3.0      3.7        4.3   |
|Cl(mEq/l)           95.7     96.1       94.1   |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|併用薬:イトラコナゾール、塩酸ミノサイクリン、塩酸ヒドロキシジン、    |
|    ファモチジン                           |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+