3.ランソプラゾールと血小板減少
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|成分名 |該当商品名 |
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|ランソプラゾール |タケプロン(武田薬品工業) |
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|薬効分類等:消化性潰瘍治療剤 |
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|効能効果:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、 |
| Zollinger-Ellison 症候群 |
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(1)症例の紹介
ランソプラゾールは胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍治療剤として平成4年(
1992年)10月に承認されたプロトンポンプ・インヒビターである。プロトンポ
ンプ・インヒビターは胃酸分泌の最終過程において酸分泌酵素であるH+, K+-ATP
ase(プロトンポンプ)の活性を阻害することで酸分泌抑制作用を発揮するといわ
れている。
ランソプラゾールの投与により血小板減少を発現したとする症例が現在までに5例
報告されている。報告された症例の年齢は19〜83歳、性別は男性2例、女性3例、
投与期間は4〜26日で、投与量はいずれも1日30mgであった。投与開始から血
小板減少発現までの期間は3〜20日で、発現後薬剤投与中止から回復までの期間は
未回復で経過観察中の1例を除き、2〜39日までに回復している。
いずれの症例もランソプラゾールの投与後に血小板減少を発現しており、薬剤との
関係は否定できない。
報告された症例の一部を紹介する(表3)。
表3 症例の概要
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|No.1 企業報告|
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|患者 性 女 |
| 年齢 83 |
| 使用理由(合併症) 多発性胃・十二指腸潰瘍(骨粗鬆症) |
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|1日投与量・投与期間:30mg 9日間 |
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|副作用−経過及び処置 |
|多発性胃・十二指腸潰瘍に対しランソプラゾールを投与したところ、投与6日目に|
|血小板減少が発現し、その後も悪化したため、投与を中止した。中止後5日目には|
|回復した。 |
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| 投与 投与 7日目 9日目 中止後 中止後 中止後 |
| 2日前 6日目 2日目 5日目 8日目 |
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| 血小板(x10000) 20.9 7.6 3.8 3.2 4.1 14.5 23.5 |
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|併用薬:ジクロフェナクナトリウム、アルファカルシドール |
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|No.2 企業報告|
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|患者 性 男 |
| 年齢 73 |
| 使用理由(合併症) 胃潰瘍(肺癌、肺線維症、慢性肺気腫、右癌性胸膜|
| 炎、骨転移、肺炎) |
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|1日投与量・投与期間:30mg 20日間 |
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|副作用−経過及び処置 |
|胃潰瘍に対しランソプラゾール、六君子湯の投与を開始したところ、投与14日目|
|に血小板減少が発現した。その4日後に患者が出血斑に気づき、さらに2日後、上|
|下肢及び口腔内に出血斑を認めた。血小板数は0.6万となっていたため上記薬剤|
|を中止し、血小板輸血及び副腎皮質ホルモン剤等の投与を行った。その後出血傾向|
|は続いたが、約1ヵ月後に軽快した。 |
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| 投与 投与 14日目 20日目 中止後 中止後 中止後 |
| 11日前 6日目 13日目 24日目 39日目 |
| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
| 血小板(×10000) 42.0 41.6 6.0 0.6 0.5 3.5 19.1 |
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|併用薬:六君子湯、ピペラシリンナトリウム、塩酸ミノサイクリン、 |
| カルボシステイン、リン酸コデイン100倍散、酸化マグネシウム |
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(2)安全対策
プロトンポンプ・インヒビターの血液障害についてはすでに本情報No.117(
平成4年11月号)でオメプラゾールの症例を紹介し、血液障害について注意喚起を
図っているが、その際にもランソプラゾールについてふれ、臨床試験時に軽微な貧血、
白血球減少等が疑われる症例があり、同様の注意が必要であるとした。ランソプラゾ
ールの「使用上の注意」には承認時より貧血、白血球減少等の記載を行っていたが、
今回新たに血小板減少が報告されたことから血液の項に血小板減少を追記し、血液障
害に対しさらに注意を喚起することとした。
また、他の消化性潰瘍治療剤での血液障害に関してはH2-ブロッカ−について本情
報No.58(昭和57年12月号)、No.94(平成元年1月号)で情報提供を
行い、また、No.106(平成3年1月号)には解説も紹介してきた。これら消化
性潰瘍治療剤の投与にあたっては、血液障害の発現に常に注意する必要があると考え
られる。
<<使用上の注意(下線部追加改訂部分)>>
<ランソプラゾール>
副作用
(3)血液:ときに貧血、白血球減少、好酸球増多、また、まれに血小板減少等が
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あらわれることがある。