3.ザルソカインとショック
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|成分名 |該当商品名 |
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|サリチル酸ナトリウム、カフェイン|ザルソカイン(宇治製薬) |
|、アロバルビタール、スルピリン、| |
|塩酸プロカイン | |
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(1)症例の紹介
ザルソカインはサリチル酸ナトリウム、カフェイン、アロバルビタール、スルピリ
ン、塩酸プロカインを含有する昭和29年(1954年)に承認を受けた神経痛、リ
ウマチ疾患等の疼痛緩解、諸熱疾患の解熱等に用いられる注射剤である。ザルソカイ
ンを含む注射用鎮痛・解熱剤におけるショックの発現については、すでに本情報No.
33(昭和53年10月号)で「サリチル酸塩又はピラゾロン系化合物を含有する静
注用鎮痛剤によるショック」として情報を提供しており、すでに「使用上の注意」に
もショックの発現について警告欄を設け、以前から医療関係者に対して注意喚起を行
っているところである。
ザルソカインの投与によりショックを発現したとする症例が5例報告されている。
報告された症例の一部を紹介する(表3)。
年齢・性別は、男女各2例、48〜66歳であった(不明1例)。いずれの症例も
投与直後に症状が発現しており薬剤との関係は否定できない。5例のうち3例が死
亡に至っている。
表3 症例の概要
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|No.1 企業報告|
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|患者 性 女 |
| 年齢 48 |
| 使用理由 解熱 |
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|投与量:1A |
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|副作用−経過及び処置 |
|気管支喘息の既往のある患者の感冒の発熱に対し、ザルソカイン、下記ビタミン剤|
|、20%ブドウ糖の静注を行った。投与後約5分で気分不良を訴えたため、処置室|
|へ連れていこうとしたが、途中で意識喪失となった。その後呼吸、心臓が停止し、|
|心臓マッサージ等の救急処置を施したが死亡した。 |
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|併用薬:塩酸チアミン・リン酸リボフラビンナトリウム・アスコルビン酸配合剤 |
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(2)安全対策
すでに「使用上の注意」にショックについての記載を行わせるとともに、経口投与
が不可能な場合及び緊急に解熱又は鎮痛が必要な場合にのみ投与を限定するなどの注
意喚起をしてきているが、同様の症例が最近も報告されているため、安全対策の徹底
を再度喚起するものである。すなわち、本剤投与によりショックが発現した場合には
重篤な転帰をとることも少なくないため、本剤の投与にあたっては、ショックの発現
を念頭におき、適応患者を厳選し、安易に使用しないことに特に留意すべきであり、
投与する場合は事前に十分な問診を行うことが重要である。さらに投与後は患者の状
態の変化に対応できるよう、救急処置の準備をしておくことが望ましい。
なお、本剤については再評価の作業を進めており、その有効性、安全性について現
在検討を行っている。
<<使用上の注意(現行)>>
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|警告:重篤なショックを起こすことがある。使用上の注意に|
|特に留意すること。 |
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一般的注意
2)ショックを起こすことがあるので、経口投与が不可能な場合、又は緊急に解熱
又は鎮痛が必要な場合にだけ投与を考慮すること。なお、本剤の使用に際しては、
常時、直ちに救急処置のとれる準備をしておくことが望ましい。
3)ショックなどの反応を予測するため、十分な問診を行い、投与後少なくとも
10分間は患者を安静な状態に保たせ、観察を十分に行うこと。
副作用
1)ショック:まれにショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、
胸内苦悶、血圧低下、顔面蒼白、脈拍異常、呼吸困難、喘息発作等があらわれた
場合には、直ちに中止し、適切な処置を行うこと。