1.血栓溶解剤t−PAと脳出血
+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+
| | 成 分 名 | 該当商品名 |
|成分名 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+
|該当商品名 |アルテプラーゼ(遺伝子組換え)|アクチバシン注(協和醗酵)|
| | |グルトパ注(三菱化成) |
| |シルテプラーゼ(遺伝子組換え)|プラスミナー注(東洋紡績)|
| |チソキナーゼ(細胞培養) |プラスベータ注(旭化成) |
| | |ハパーゼコーワ注(興和) |
+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+
| 薬効分類等 |血栓溶解剤 |
+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|効 能 効 果 |急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)|
+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
(1)冠動脈血栓溶解療法とt−PA
急性心筋梗塞における冠動脈内血栓の存在が明らかになってきてから、直接この閉
塞血栓を溶解して血流を再開させようという治療法の開発が行われ、我が国でも昭和
63年(1988年)9月に冠動脈内投与のウロキナーゼ製剤が、平成元年(198
9年)2月に静脈内投与のウロキナーゼ製剤が承認され、冠動脈血栓溶解療法が始ま
った。
組織プラスミノゲン活性化因子(tissue plasminogen activator:t-PA)は、バイ
オテクノロジーを応用した血栓溶解剤として平成3年(1991年)1月に冠動脈内
投与製剤(チソキナーゼ)が、続いて同年3月に静脈内投与製剤(アルテプラーゼ、
シルテプラーゼ)が承認され、この1年余の間に1万5千人以上に投与されたと推定
されている。また、平成4年7月にはチソキナーゼについても静脈内投与が認められ
た。
血栓溶解剤の副作用として問題となるのは出血の合併であり、なかでも特に重要な
のは脳出血の発現である。t−PAは血栓を構成するタンパク質フィブリンに対する
親和性が高く、フィブリン上で効果を発揮するので、血漿中の線溶系に対しては影響
が少ないと考えられていたが、やはり出血の合併は避けられない。特に最も問題とな
る脳出血の発現も報告されているので、その発現状況について紹介する。
(2)脳出血の発現頻度
tーPAについても他の新医薬品と同様に市販後の有効性、安全性をチェックする
ため、現在、使用成績調査が行われている。この調査は本剤を使用した全症例を母集
団とする抽出調査であり、副作用の発現頻度についてもある程度の情報を得ることが
できる。当調査は現在開始後1年余を経過したところであり、十分な症例数が収集さ
れているわけではないが、各t−PA製剤のうち現在までに収集された症例数が最も
多い静脈内投与製剤アルテプラーゼについての中間集計結果を紹介する。
アルテプラーゼの使用成績調査は、現在までに全国の105施設の医療機関で行わ
れ、398例について有効性、安全性に関する情報が収集された。このうち脳出血を
発現した症例は7例で、その発現率は全体では1.76%であったが、年齢別にみる
と、60歳〜69歳では2.2%、70歳以上では2.9%であった(表1)。
表1 アルテプラーゼの使用成績調査(中間報告)における脳出血発現頻度
+−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−−−+
|年齢(歳)| 0〜49|50〜59|60〜69|70〜 | 合 計 |
+−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−−−+
|調査症例数| 45 | 75 | 139 | 139 | 398 |
+−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−−−+
|脳出血発現| | | | | |
|症例数 | 0 | 0 | 3 | 4 | 7 |
+−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−−−+
|脳出血発現| | | | | |
|頻度(%)| 0 | 0 | 2.2 | 2.9 | 1.76 |
+−−−−−+−−−+−−−+−−−+−−−+−−−−−+
(3)脳出血発現症例の紹介
上述の使用成績調査により収集された脳出血症例のほかに、医師等から自発的に報
告のあったものを含めてt−PA製剤全体で現在までに合計21例の脳出血の発現が
確認されている(表2)。
表2 脳出血発現症例21例の製剤別内訳と各製剤の出荷量
+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+
| t-PA製剤の別 | 脳出血発現症例数 | 出荷量 注1) |
|(承認された用量) | | |
+−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+
|静 |アルテプラーゼ| | |
|脈 |(29.0万-43.5 | 14 注2) |14360回投与分|
|内 |万IU/体重kg) | | |
|投 +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+
|与 |シルテプラーゼ| | |
|製 |(2000万IU/ | 3 | 3560回投与分|
|剤 | body) | | |
+−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+
|冠投| | | |
|動与|チソキナーゼ | 4 | 5342回投与分|
|脈製|(最大640万IU/ | | |
|内剤| body)| | |
+−−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+
注1) 出荷量は、実出荷量(IU)をそれぞれの製剤の使用成績調査による1人
あたりの平均投与量(IU)で割って、何回の投与分が出荷されたかで示した。
注2) うち7例は表1の使用成績調査により収集された症例
報告された症例の一部を表3に紹介するとともに、以下に患者背景等について示す。
また、可能な項目についてはt−PA投与症例のうち脳出血を発現しなかった症例(
以下「非発現群」)と脳出血を発現した症例(以下「発現群」)との患者背景の比較
検討も行った。なお、年齢・性別等の患者背景については製剤間で大きな差異はみら
れていないので、ここでは上記(2)のアルテプラーゼでの使用成績調査症例398
例のうち脳出血を発現した7例を除いた391例を非発現群として用いた(非発現群
391例は発現群21例の母集団ではないので注意されたい。)。
a.年齢
発現群及び非発現群の年齢分布を表4に示す。発現群21例のうち全体の約62%
にあたる13例が70歳以上であり、さらにそのうち9例は75歳以上の高齢者であ
った。発現群と非発現群の年齢構成を比較してみると発現群では60歳未満の症例が
少なく、75歳以上の症例が明らかに多く、高齢者、特に75歳以上で脳出血の危険
性が高くなることがうかがえる。
表3 症例の概要
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|No.1 企業報告|
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|患者 性 女 |
| 年齢 78 |
| 使用理由 急性心筋梗塞 |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|投与量:アルテプラーゼ1350万単位 |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過および処置 |
|患者の入院時の臨床所見は次のとおりであったが、意識状態、神経症状は正常であ|
|った。 |
| 胸 痛:有 |
| 血 圧:150/80mmHg |
| 心拍数:90 |
| 心電図所見:ST上昇 :有 4mm(V1,2,3,4) |
| 異常QS波:有 |
| 陰性T波 :有(V4,5) |
|アルテプラーゼ注150万IUを約5分で静注し、続いて1200万IUを約80|
|分で点滴した。点滴終了約30分後、悪心・嘔吐、冷汗、呼吸困難が発現し、意識|
|喪失した。CTスキャンにて尾状核に近い部分に血腫を認め、大量に脳室内へ血液|
|が穿破していた。また、入院時には認められなかった皮下出血が著明であった。カ|
|ルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、濃グリセリン・果糖配合剤等による対症療法|
|で、CTスキャン上脳出血は吸収されたが、しばらく意識、意欲の障害が残った。|
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|併用薬剤:ファモチジン、塩酸セフォチアム、ジピリダモ−ル |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|No.2 企業報告|
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|患者 性 男 |
| 年齢 76 |
| 使用理由 急性心筋梗塞 |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|投与量:チソキナーゼ640万IU |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|副作用−経過および処置 |
|心電図上I,aVtにてST上昇を認め、直ちにヘパリン5000単位を静注した。さらに |
|10分後ヘパリン2000単位を追加した。冠動脈造影にて第1対角枝の完全閉塞を確|
|認したためチソキナーゼ640万IUを約30分かけて左冠動脈内に投与した。 |
|本剤投与終了後約50分後から500単位/時間でヘパリンの点滴を開始した。本|
|剤投与約4時間後のACTは190であった。本剤投与約7時間後から嘔吐がみら|
|れ、初めは意識清明であったが、約1時間後に意識喪失し瞳孔不整、対光・睫毛 |
|反射消失が認められた。CTスキャンにて右側頭から前頭葉にかけて直径70mmの血|
|腫を認め、脳死状態と判定された。 |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
|併用薬剤:ヘパリン、塩酸ジルチアゼム、硝酸イソソルビド |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
表4 年齢分布
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
| 年齢(歳) | 0〜49 | 50〜59 | 60〜69 | 70〜74 | 75〜 | 合計 |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
|発現群 注1) | 0 | 1 | 7 | 4 | 9 | 21 |
| (%) | ( 0) | (4.8) | (33.3) | (19.0) | (42.9) | (100) |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
注1) 全t−PA製剤
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
|非発現群 注2) | 45 | 75 | 136 | 74 | 61 | 391 |
| (%) | (11.5) | (19.2) | (34.8) | (18.9) | (15.6) | (100) |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
注2) アルテプラーゼの使用成績調査データ
b.性別
発現群及び非発現群の性別を表5に示すが、両群で差は認められなかった。
表5 性別
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−−+
| 性 別 | 男 | 女 | 合 計 |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−−+
|発現群 注1) | 14 | 7 | 21 |
| (%) | (66.7) | (33.3) | (100) |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−−+
注1) 全t−PA製剤
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−−+
|非発現群 注2) | 272 | 119 | 391 |
| (%) | (69.6) | (30.4) | (100) |
+−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−−+
注2) アルテプラーゼの使用成績調査データ
c.発現時期(表6)
21例中12例(57.1%)がt−PA投与終了後3時間以内に、19例(90.
5%)が24時間以内に発現しており、最も早い症例は、投与開始30分後(それま
でのt−PA投与量720万IU)に突然除脳硬直肢位となって意識レベルの低下を認
めている。
表6 発現時期
+−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
|投与終了からの時間|3時間以内| 3-24時間| 24-48時間| 合 計 |
+−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
| 症 例 数 | 12 | 7 | 2 | 21 |
| (全t-PA製剤) | | | | |
+−−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
d.投与量
投与量と脳出血の発現との関係についての検討は、各t−PA製剤の承認された投
与量が異なるため、非発現群がアルテプラーゼ投与群であることに対応してアルテプ
ラーゼでの発現症例について行った。
アルテプラーゼの承認された投与量は体重kgあたりアルテプラーゼとして29万〜
43万5000IUである。発現群21例のうちアルテプラ−ゼ投与例14例につい
てその体重kgあたり投与量は表7のとおりであるが、非発現群と比較しても投与量と
脳出血発現の関係は明らかでなかった。
また、投与量の少ない冠動脈内投与製剤チソキナーゼ(640万IU/body)でも
4例の脳出血症例が報告されている。
表7 アルテプラーゼの体重kgあたり投与量
+−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−+−−−−+
|体重kgあたり| 〜28.9 |29.0〜43.5|43.6〜 | 不明 | 合 計 |
|投与量(万IU)| | | | | |
+−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−+−−−−+
|発現群 注1)| 0 | 7 | 5 | 2 | 14 |
| (%) | ( 0) | (50.0) | (35.7) | (14.3)| (100) |
+−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−+−−−−+
注1) アルテプラーゼのみ
+−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−+−−−−+
|非発現群注2)| 37 | 219 | 97 | 38 | 391|
| (%) | (9.5) | (56.0) | (24.8) | (9.7)| (100) |
+−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−+−−−−+
注2) アルテプラーゼの使用成績調査データ
e.ヘパリンの併用
血栓溶解療法においては再梗塞防止の目的でヘパリンが投与されることがあるが、
ヘパリン単独でも出血を起こすことがあるので、発現群及び非発現群でのヘパリンの
併用について検討を行ったが、発現群と非発現群とに差は認められなかった(表8)。
なお、冠動脈内投与製剤チソキナーゼでは、冠動脈内へのカテーテルの挿入に伴って
ヘパリンを用いるのが一般的なので、本解析からは除外した。
t−PA投与終了後から脳出血の発現までの時間が短い症例も少なくなく、その間
に投与されたと推定されるヘパリン投与量からみても、出血とヘパリンの関係につい
ては必ずしも明らかではない。
表8 ヘパリンの併用の有無
+−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
|ヘパリンの併用 | 有 | 無 | 合 計 |
+−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
| 発現群 注1) | 10 | 7 | 17 |
| (%) | (58.8) | (41.2) | (100) |
+−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
注1) アルテプラーゼ、シルテプラーゼのみ
+−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
| 非発現群 注2)| 202 | 189 | 391 |
| (%) | (51.7) | (48.3) | (100) |
+−−−−−−−−+−−−−−+−−−−−+−−−−−+
注2) アルテプラーゼの使用成績調査データ
(4)安全対策
現在までに得られた情報によると、t−PA投与による脳出血発現の危険性は、高
齢者、特に75歳以上の患者で高いことが認められたが、その他の要因については明
らかでない。外国での臨床試験データでも、70歳以上の高齢者では70歳未満の患
者に比して脳出血の発現率が有意に高まることが報告されている(文献1,2,3)。
投与量については、外国の臨床試験で150mg(約8700万IU)投与群では1.6
%であった脳出血発現率が、100mg(約5800万IU)投与群では0.6%に減少し
たとの報告(文献4)があるが、(1)これらの投与量は日本で承認されている投与量に
比して2倍以上の高用量での知見であること、また、(2)前述のとおり現在までに報告
された脳出血発現症例で投与量が多い傾向は明確でないこと、(3)投与量が少ない冠動
脈内投与製剤でも報告されていること、さらに(4)75歳以上の高齢者での臨床成績が
乏しいこと等の点から、日本で有用性が認められている投与量の範囲内で減量投与す
ることが出血の危険性の減少に寄与するか否かは必ずしも明らかでない。外国におい
ても高齢者へのt−PA製剤の投与について議論が行われているようであるが、具体
的な投与量等が確立してはいない(文献5)。
死亡率のきわめて高い急性心筋梗塞に対し血栓溶解療法は有意に死亡率の減少を示
しており、有用性の高い治療法であるが、t−PA製剤の投与にあたっては、脳出血
発現に十分な注意が必要である。特に、脳出血の予後がよくないことを考慮すると、
現段階では、発現の危険性が高まる75歳以上の患者に対する投与にあたっては他の
治療法の可能性も含め本剤の適用を慎重に検討すべきである。
(5)症例調査への協力のお願い
脳出血発現のリスクファクターや防止策については不明の点が多く、投与量、ヘパ
リンの併用又は高血圧症や動脈硬化症等の合併症の関与等について今後さらに情報の
収集に努めることが重要であると考えられる。このため、今後のt−PA製剤投与症
例について、特に高齢者に関するデータを収集する調査を実施するよう関係企業を指
導しているので、協力をお願いしたい。
また、同じ血栓溶解剤であるウロキナーゼ製剤及びナサルプラーゼ(プロウロキナ
ーゼ)製剤についても同様に脳出血等の重篤な出血を発現するおそれがある。これら
についても情報の収集を図っていく必要があるので、併せて協力をお願いいたしたい。
<使用上の注意(下線部追加改訂部分)>
アルテプラーゼの場合(シルテプラーゼ、チソキナーゼについても同様に改訂)
一般的注意
(4)本剤の投与により脳出血等の重篤な出血が起こることがあるので、次の点に十
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
分注意すること。
〜〜〜〜〜〜〜〜
1)75歳以上の高齢者で特に脳出血の危険性が高まるのでこれらの患者には他の治
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
療法の可能性も含め本剤の適用を慎重に検討すること。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2)投与にあたっては、出血の危険性が増大するので出血の有無を十分確認すること。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3)投与中及び投与後は患者の臨床症状の観察を十分に行い出血の早期発見に留意す
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ること。また、血液凝固能などの血液検査を頻回に行うこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4)穿刺部位等からの出血を防止するため動脈・静脈穿刺の方法、管理等に十分注意
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
すること。
〜〜〜〜〜
5)ヘパリンは、再閉塞防止の意味で本剤との併用もしくは本剤の後療法に用いる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヘパリン並びに本剤は、単独でも出血を引き起こすことがあるので、特に動脈穿
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刺を行う場合は注意深くモニターする必要がある。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
慎重投与
(1)高齢者、特に75歳以上の患者(「一般的注意」の(4)の1)参照)
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副作用
(1)出血傾向:ときに脳出血、後腹膜出血、消化管出血等の重篤な出血、血尿、歯
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肉出血、カテーテル穿刺部からの出血等があらわれることがあるので、投与中は観
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察を十分に行うこと。なお、脳出血、後腹膜出血、消化管出血等の重篤な症状があ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
らわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高齢者
高齢者では出血の危険性が高まるおそれがあるので、慎重に投与すること。(「一
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
般的注意」の(4)の1)参照)
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<参考文献>
1)Topol,E.J.:Progress in Cardiovascular Diseases,34(3):165(1991)
2)Maggioni,A.P.,et al.:N.Engl.J.Med.,327:1(1992)
3)Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell'Infarto Miocardico.
GISSI-2, Lancet,336:65(1990)
4)Loscalzo,J.,et al.:N.Engl.J.Med.,319:925(1988)
5)Topol,E.J.,et al.:N.Engl.J.Med.,327:45(1992)